事例紹介 / リフォーム
夏涼しく冬暖かく台風も安心
家族の心に効くエコガラス
東京都・K邸
- 立地
- 東京都八王子市
- 住宅形態
- RC5階建
- リフォーム工期
- 2022年8月(一日間)
- 窓リフォームに
使用した主なガラス - 真空ガラス
- 利用した補助金等
- 既存住宅における省エネ改修促進事業
(東京都)
家が建つのは『八王子の軽井沢』
西に高尾山、南北には多摩川と相模川。東関東の代表的な自然に囲まれた高台にKさんご夫妻の住まいはあります。
「“八王子の軽井沢”と地元では言っているんですよ。夏は涼しいけど冬寒いから」笑顔で話すおふたりはここに暮らして27年。1996年に当時の住宅・都市整備公団が開発した新しい団地に入居して以来、この地を愛してきました。
管理規約と使い勝手から“ガラス交換”リフォームを選択
困っていたのは窓の結露です。
数年前にリタイヤされてから毎朝の拭き取りはKさんの担当ですが「ガラス面から窓枠までびっしりついて、ひどかったですね」
とくに和室と西側の窓が激しく、高尾の山々から吹き下ろす冷たい風の影響を感じていました。その一方で「仕方ないこと」とも思っていたそうです。
そこへ、かつて同じ住棟で親しくしていた友人から「結露の解決にはエコガラスの窓リフォームがいいわよ」と聞き、情報収集を始めました。
団地内の管理規約上「サッシごと換えるリフォームができないのはわかっていた」ので、最初に試したのは内窓です。
「いいなあ、と思っていたのですが…。実際に見てみたら『これは掃除が大変だ!』となりました」Cさんが振り返りました。
エコガラスと自然の風と、ふたつの力で夏をより涼しく
工事は8月の暑い盛りに1日で完了しました。職人さんが3人来て、あっという間でしたよ、とKさん。
リフォーム当日、はからずもCさんはエコガラスの性能を肌で感じたといいます。
「リビングのガラスを取り替えたとき『あっ、もう暑くないのね!』と。直射日光が射してきてもワンクッションある感じでした」
ガラス交換の瞬間に立ち会って効果がよくわかった、とは、体験した住まい手からよく聞く話です。
夕方の直射日光を受ける西窓も、もちろん交換対象に。
角部屋住戸のK邸には、西を向く窓が3箇所あります。高尾山をはじめ関東山地の峰々を望み、足下に広がる豊かな緑も楽しめる魅力的な窓ですが、その一方で山から吹く風と強い西日にさらされ、障子や遮光カーテンは必需品。
西窓のある一室に書斎を持つKさんに「西日が差すときはどうしていましたか?」と問いました。
「午後3時頃には日が回ってくるので、遮光カーテンを閉めて。そうすると暑苦しいから(笑)移動しました」とのこと。エアコンはつけずに居場所の方を変えていたといいます。
もとより夏のK邸は、北向き玄関からの風が通れば空調いらずの涼しさ。直射日光と西日対策ができれば、暑さの問題はかなり小さくできそうです。
ここで重要な役割を果たしているのは、玄関扉に後付けしたブラインド付き通風ドアでしょう。さらに南向きベランダにはヨシズを立て、毎年夏には熱い日差しを遮ってきました。
窓リフォームで窓の断熱力は上がりましたが、その後も暮らし方は変わらないといいます。自然風が持つ、ある種の圧倒的な快適感を考えさせるエピソードでしょう。
では、風が通らないときは?
ブラインドドアを閉めなければならない、外出時の様子をうかがってみました。
「全部閉め、窓にはレースカーテンを引いて出かけるのですが、帰ってくると前よりも部屋の中が涼しい感じがするんですよ」
ガラスを換える前と比べて、帰宅時の室内が暑くないというのです。
クリアの林さんも「窓リフォームされたお客様には、夏の外出時は遮光カーテンなどを引いて日射を防ぐことをお勧めしているのですが… レースカーテンだけでも大丈夫なんですね」と驚きを隠せません。
エコガラスの遮熱効果はシングルガラスより当然高いものの、壁と違って“透明”という特質もあり、日差しが直接当たる場合の熱を100%防ぐのは現時点では困難。日射遮蔽ツールとの併用が推奨されています。
とりわけ外付けブラインドや庇・スダレ・緑のカーテンなど窓の外側につける“外部遮蔽”ツールは、窓の手前で日差しを遮ってくれ室内に入れないので、カーテンや室内ブラインド以上に効果的。
K邸では南と西の計5箇所の窓に、いずれかの時間帯で直射日光が当たります。そこにレースカーテンだけを引き、ドアブラインドと窓を閉めて外出しても、帰ってくれば部屋が涼しいとは…
エコガラスの遮熱力はもちろんですが、やはり周囲の豊かな自然環境が作用しているのでは、とも考えたくなります。
地球温暖化にともない、高まる一方の都市の熱を下げるために緑が果たしてくれるだろう役割を、改めて思いました。
暖房器具も重ね着も減って暖かい冬に。でも窓枠の結露は変わらず
冬場の様子もお聞きしましょう。
エコリフォームのきっかけになった結露は「ガラス面にはなくなりました。でも既存のアルミ枠には今まで通りにつくので、拭いています」とKさん。
共用部のため今回の工事対象にできなかった窓枠の実態は、今もこの国の窓で多く使われているアルミサッシが抱える問題を、静かに伝えてくれるようです。
近年は樹脂製や木製のサッシも増えつつあります。アルミより熱伝導率が低い素材でつくられる窓枠の普及もまた、今後の住環境向上には欠かせない要素ではないでしょうか。
一方、寒さの改善は体感されていました。
「和室で寝るのですが、布団を何枚もかけていました。リフォーム後はずいぶん減りましたね」とCさんはにっこり。
さらに「窓とカーテンの間の空気が信じられないくらい冷たくて。前はこんなものを置いていたんですよ」と見せてくれたのは、段ボールでつくったお手製の防寒衝立です。
この気持ちわかる! 思わずうなずく読者も、少なくないのではないでしょうか。お役御免は何よりです。
暖房の仕方も変わりました。
K邸のメイン暖房は、リビングに置かれたガスファンヒーターです。以前は廊下につながる扉を閉めてリビングと襖を開けた和室だけ暖めていました。ほかにヒートショック対策として温風ヒーターを浴室やトイレに、さらにKさんの書斎にはオイルヒーターを設置。
リフォーム後は、廊下を通ってトイレに行くときも「寒さは感じません。ホンワカしている感じ」
温度ムラもなく、水回りの暖房は脱衣所の温風ヒーターだけとなりました。
リビングのヒーターも設定温度を25℃から21℃に。窓にエコガラスが入って暖気が外に逃げづらくなり、室内が早く暖まって維持されるので、強く暖め続ける必要がなくなったのです。
服装も変化しました。ダウンベストに靴下の重ねばきだったCさんの部屋着はカーディガン一枚になり「この冬は、朝起きてパジャマのままでいろいろやっても大丈夫でした」
就寝前までの暖房空気が窓から外に流れ出ず、翌朝まで保たれているのでしょう。
寒い季節もちぢこまらず厚着せず、家中どこでも軽々といられる。イメージするだけで、ちょっとうれしくなるお話ではありませんか。
住まう人の心も落ち着く 窓リフォームがつくる安心
もうひとつ、Kさんは興味深いお話を聞かせてくれました。
「角部屋なので台風のときは窓がガタガタして心配でした。フワーッとした風圧もガラス面に感じていたし。今はそれがなくなって安心、心理的にもよかったです」
長い時間を経た窓には気密の低下やガタつき、戸車の不具合といった経年劣化がどうしても表れやすくなります。
板ガラスは風圧に強い性質ですが、固く平滑に見えていても強烈な風を受ければ、しなることもある物質。
エコリフォームでは、既存サッシを使う場合にも細かい調整が施されるため、窓全体をメンテナンスできるチャンスともいえるでしょう。
- 取材協力
- (株)クリア/クリアさんの窓の店
https://clear-g.co.jp/
- 取材日
- 2023年5月11日
- 取材・文
- 二階さちえ
- 撮影
- 小田切 淳