建材トップランナー制度
『建材トップランナー制度』とは、建築材料の省エネ性能を向上させて住宅・建築物の断熱性能の底上げを図る制度です。
2013年の施行以来、独自の判断基準をもとに、窓のガラスやサッシ、断熱材など各種建材の省エネ性能アップをめざし続けています。
そして2023年、国内の政策に合わせてさらに高い目標値を掲げました。
政府は2020年に、地球規模の気候変動問題の解決に向けて2050年までに温室効果ガス排出をゼロにする『2050年カーボンニュートラル』実現を宣言し、エネルギー政策の道筋を示す『第6次エネルギー基本計画』を策定しました。
この計画が住宅・建築・建材についても高い省エネルギー性能を求めたため、『建材トップランナー制度』も従来の基準を見直し、住宅の窓についてはZEH(ネット・ゼロ・エネルギーハウス)と呼ばれる高い性能水準を目安に、目標値を定めたのです。
対象となる窓及びガラス
建材トップランナー制度は住宅関連の窓において、木造の戸建住宅・低層共同住宅・小規模建築物の窓を対象としています。ガラスとサッシは分けて考えられ、対象や基準もそれぞれ定めています。
ガラス(複層ガラスのみ。単板ガラスは含まない)
ガラスの仕様
エコガラスS Low-E複層ガラス (中空層16ミリ/断熱ガス入り) | エコガラスS ダブルLow-E三層複層ガラス (中空層9ミリ×2/断熱ガス入り) | |
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ガラス 断面イメージ | ||
ガラス中央部の 熱貫流率※1 | 1.4[W/(㎡・k)] | 1.1[W/(㎡・k)] |
JISの 断熱性能区分 | T5 | T6 |
- ※1 平成28年省エネルギー基準に準拠したエネルギー消費性能の評価に関する技術情報(住宅)による(出典:国立研究開発法人建築研究所)
ガラスの構成
概要
ガラス構成 |
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ガラス総板厚み10mm以下の複層ガラス |
ガラス総板厚み10mm超の複層ガラスのうち片側が3mm及び4mmのガラスを使用しているもの |
ガラス総板厚み10mm超の複層ガラスのうち三層以上の複層ガラス 片側が3mm及び5mmのガラスを使用しているもの |
詳細
複層ガラスのうちLow-E膜を塗布・蒸着していないガラスのみを使用した『一般複層ガラス』 |
複層ガラスのうちLow-E膜を塗布・蒸着したガラスを使用した『Low-E複層ガラス(エコガラス)』 |
Low-E複層ガラスのうち、2枚の板ガラス間の中空層に不活性ガス(アルゴンガス、クリプトンガス等)を封入した『不活性ガス入りLow-E複層ガラス(エコガラスS) |
Low-E複層ガラスのうち、3枚のガラスで構成される『3層複層ガラス(エコガラスS)』 |
経済産業省「総合資源エネルギー調査会、省エネルギー・新エネルギー分科会、省エネルギー小委員会、建築材料等判断基準ワーキンググループ サッシ及びガラスに関するとりまとめ」(令和4年3月10日)より一部抜粋
サッシ
開閉方式
引き違い/すべり出し/FIX/上げ下げ
材質
アルミ/アルミ樹脂複合/樹脂/木材
2030年度目標基準値
窓の省エネ性能は『熱貫流率(U値)』を基本に考えます。窓のU値は建物内外を窓を通じてどの程度の熱が伝わるか表し、数値が小さいほど断熱性能が高いことを示します。
国土交通省・経済産業省・環境省で構成される『脱炭素社会に向けた住宅・建築物の省エネ対策等のありかた検討会』では、2030年に求められる窓の断熱性能として、U値2.08を算出しました。
この数値が、建材トップランナー制度における窓の性能目標基準値です。
U値はガラスとサッシで異なり、窓全体のU値はその組み合わせで決まります。目標に見合った性能を実現するために、設計時には注意が求められます。
区分 | 目標基準値[W/(㎡・k)] | |
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サッシ | 引き違い | 2.16 |
縦すべり出し | 2.06 | |
横すべり出し | 2.04 | |
FIX | 1.87 | |
上げ下げ | 2.30 | |
複層ガラス | 1.67 |
2030年に窓に求められる断熱性能をベースに算出。