Builder’s Voice 工務店・ガラス店の声
1957年、祖父の代から続く工務店の家に生まれる。専門学校にて建築設計を学び、卒業後は東京都内の工務店に入社、関東一円の大型団地・公団などの現場監督を経験。1984年に独立、1995年つるおか工務店を創業し現在に至る。
豊かな体躯と豪快な立ち居振る舞い、ざっくばらんな語り口に、施主への繊細な気遣いと思いやりが同居する。建設途中で部位の仕様をコスト据え置きでグレードアップすることもしばしば。そんな人物を多くのOBは『つるちゃん』と呼んで愛し、拠点とする御宿町一帯では施主と工務店の関係を超えたコミュニティが構成されている。趣味は旅行のほかオートバイと釣りで、一級船舶および大型自動二輪車免許を所持。二級建築士
地元で初めて2×4を建設。ハウスメーカーがつくらない家を
出身地の御宿町を拠点に、2×4の輸入注文住宅を建てておられます。
仕事は公団住宅や団地の現場監督から始めました。最初に手がけた仕事がたまたま埼玉県の2×4タウンハウスだったんです。
その後、千葉県内で大手デベロッパーが同じような計画を立ち上げたとき、誰も2×4を知らなくて「やってくれないか」と僕に声がかかりました。見よう見まねで頑張って建てました。御宿町で初めての2×4をつくったのも僕です。
それからポツポツ仕事が来て、1995年に法人化しました。その後も2×4をやり続け、輸入コンテナから建材を直接出してきて建てたこともあります。
シアトルやサンフランシスコ、カナダといった2×4の本場に何度も視察に行って、すごくよかった。「こういうのをやりたいな」と思いながら帰国し、今後もこれでやっていこうと決めました。
手がける建築の99.9%は2×4の輸入住宅です。
在来工法ではなく、なぜそこまで特化を?
専門家としてのインパクトですね。
もちろん在来工法もできますが、ラーメンを食べたいと思ったとき、専門店と普通の食堂ならどっちに行きますか?(笑)
ハウスメーカーがつくらない家をつくらないと、との思いもあったし。自分には何があるだろう?と思った時、それが2×4だった。
仕事がなくて大変な時期もありました。
ハウスメーカー全盛で地元の若い人がみんなそっちを選び、親の代からの縁も切れてしまったんです。よそへの就職を考えるくらい、“底”を見てしまいました。
某ハウスメーカーのフランチャイズに入って営業研修なども受けました。けれど、あるお客さんに言われた「どの会社を選んでも同じ」という言葉をきっかけに、FCはやめました。
やはりアメリカ視察で見たような住宅をつくりたい、と思いましたね。
やがて、追い風が吹きました。
住宅メーカーと契約まで済ませていた方が「本当は南欧風がよかった」と言って、うちに来てくれたんです。ハウスメーカーに違約金を払い、スペイン瓦の輸入手配までお客さまご自身でやってくれました。そうしてできた家の竣工写真を輸入住宅雑誌に送ったら掲載され、流れが変わりました。
そこで「これからはアーリーアメリカンだけでなく南欧の家も知らなければ」とスペインに視察に行ったら、すばらしくて。それ以来バルセロナやマドリード、バレンシア、イビサ島などに毎年行くようになりました。
外観から室内まで、海外の住宅デザインをじかに見て勉強する。
はい。その上で、お客さまが描くデッサンをもとに家をつくっていきます。
輸入タイルやアンティークの照明を取り入れ、海外メーカーの食洗機やオープンキッチンを採用するなど、設備についてもたくさん学んできました。
たくさんの窓があり、夏涼しく冬暖かい家。だからエコガラス
お客さまへの提案時、スタンダードとする要素は。
手づくり感を大事にしたいので、無垢材を多く使います。
ハウスメーカーの家はできすぎというか、きれいすぎますね。同様に壁はクロスよりコテ塗りをおすすめします、予算にもよりますが。
ほかに『つるおか標準』として輸入タイルや輸入建材の採用を提案します。それ以外だと少しコストが上がります、とね(笑)
意匠面では、切妻屋根や特徴のある窓かな。
格子を入れて半円の異型ガラスも組み合わせた窓は、僕が考えました。これを見るだけで“つるおか工務店の家”とわかるように。
計画や間取り面では、広いLDKや高い天井など“大きな空間”を提案します。
お施主さんは最初は別荘として建て、その後定住する方も多いようです。ある種、非日常の空間ですね。
窓はね、南房総はいい風が吹いて、朝晩は涼しく日中暖かい土地柄。そして都会じゃないから、まわりに気がねなく窓を開けられるんですよ。
だから室内が明るく、風がよく通るように窓を多くし、北面にも大きな開口をつけるようにします。
窓が多い分“夏は涼しく冬は暖かい性能”が欠かせません。僕自身が暑がりで寒がりですし(笑)
サッシは断熱性能の高い樹脂製で、二重カギが付いているなど防犯性にも優れるものを使っています。
ガラスはアルゴンガス入エコガラス。断熱・遮熱性能はもちろん、お客さまには「外から見て、中が見えないでしょう?」とも説明しています。中に入ると明るいですよ、と。
エコガラスの断熱力のほか、ミラー効果の訴求力も感じられるお話です。
建ててからのつながりこそが大切
日頃の営業はどのように?
マッチングサイトや住宅雑誌を活用しています。HPのブログは毎日更新しているし、口コミもありますね。
DMは2ヶ月に一度、発行しています。
DMに入れるチラシに、とてもインパクトが…
汚い手書き文字で書いています、これを武器にしようと思って(笑)その方が読んでもらえるんですよ。
資料請求は毎日届きます。請求してくださった方には、なるべく雨の日の午前中に電話するようにしています。
OB顧客の方々とも、長く密なお付き合いを続けておられます。
建てたら終わり、では寂しい。建ててからのつながりを大事にしたいんですね。
家づくりはいろんな方と知り合えて楽しいし、これからも知り合っていきたい。いろんな人生を聞きたいです。
人を集めて楽しくやりたいから、餅つきやパーティーなどのイベントも開いています。最近はコロナでやれていませんが。
そういった機会をつくる中で、お客さま同士も友達になっていくんですよ。
ここで損得を考えたらダメ。たとえ最終的に他社で建てたとしても、いい人はいい人なんですから。
そんな鶴岡さんのスタンスに、多くの人が集まるのですね。OB顧客の住まいの見学会も頻繁で、信頼を感じます。
みなさん、喜んで見せてくれますよ。
- 取材日
- 2022年3月16日
- 取材・文
- 二階さちえ
- 撮影
- 渡辺洋司(わたなべスタジオ)
- 社名
- 有限会社つるおか工務店
- URL
- https://daiku.co.jp
- 電話
- 0470-68-4848
- 住所
- 千葉県夷隅郡御宿町
- 社員数
- 5名
- 事業内容
- 輸入住宅・2×4工法建築の設計施工/リフォーム・リノベーション