事例紹介/リフォーム

日射は不要、涼風歓迎
どうする? 西向き窓のエコリフォーム

-兵庫県・F邸-

Profile Data
立地 兵庫県神戸市
住宅形態 木造軸組2階建(1994年竣工)
住まい手 夫婦+子どもふたり+愛犬
リフォーム工期 2016年春(2日間)
窓リフォームに
使用した主なガラス
アタッチメント付エコガラス・
真空ガラス
利用した補助金等 省エネ住宅ポイント


西日にさらされて20年。暑さ厳しい寝室・子ども室

F邸外観。片流れ屋根の建物は前面道路に向く窓が小さく、空き地になっている西側に大きな開口が取られている。午後から日没までは遮られることのない日射が当たるが、同時に夏の涼しい卓越風をとらえる窓だ

以前は市内海側のエリアで賃貸マンション住まいだったというFさんご夫妻。1970年代から開発が始まった住宅地に1994年、この自邸を建てた。施主自身が設計した住まいは、外観からプラン、ディテールまで、多くの要素が型にとらわれない自由さを持っている

正面掃き出し窓は西、右手の上げ下げ窓は北を向く主寝室。掃き出し窓にはアタッチメント付エコガラス+外付けブラインド、上げ下げ窓は真空ガラスと、それぞれの窓にエコリフォームが施された

1階リビングのソファは冬場、北窓を背にして座るとスースーと冷気が流れるコールドドラフトがじかに感じられたという

六甲山をシンボルに、北に丘陵、南は神戸港をはじめとするシーサイドエリアが広がる神戸市。その北西部に位置する住宅地にF邸を訪ねました。

豊かな緑と起伏ある地形に囲まれた標高170mの住まいは、夏は西から涼しい風、冬は北東から強風が吹く環境です。
「西風を通しながらいかに西日対策するか。その両立がテーマでした」と振り返るFさんは、大手木材会社に勤務する建築・住宅のエキスパート。20年前に自ら設計した自邸のエコリフォームをすべて計画・取り仕切りました。

きっかけは、竣工から年月を経て不可避となった大規模改修です。外壁の洗浄や板金塗装のほか、我慢してきた“暑さ・寒さ・結露”を解決すべく、エコガラスの窓リフォームを決めたといいます。「仕事柄、断熱リフォームのことはよく知っていました」

F邸のメインの開口は、北側の前面道路を避けて西向きに設計されています。隣に家が建つことも前提でしたが、なぜか土地は20年以上空いたまま。おかげで西風はよく通るものの「昼過ぎから最後(日没)まで」と奥様言うところの厳しい西日にさらされ続けてきました。

2階の主寝室は掃き出し窓が西向きです。夏は昼からブラインドと遮光カーテンで閉め切っていましたが「クローゼットの中の衣類まで熱くなっていました」
就寝時はフルパワーのエアコンで1時間以上冷やしてから眠りにつき、タイマーが切れる朝方に暑さで目が覚めるのが常態。

同じく西に掃き出し窓のある子ども室も、昼過ぎ以降は暑さで居ることができず、受験期のお子さんは「部屋を移動しながら勉強していましたね」
朝だけ自室の机に向かい、日が回ってきたら北側の納戸、次には北東の和室へと順に“避難”していたそうです。

冬は冬で、コールドドラフトと結露が悩みでした。

主寝室のベッドは頭上に北向き窓があり、冷気が流れ落ちてくるため「窓枠のすきまにカーテンをはさんだりしました」と奥様は振り返ります。
同じ配置の窓がある1階リビングも同様で、ソファでくつろいでいるときの冷えに耐えられず「プチプチやスタイロフォームを直接、窓に張っていたんですよ(笑)」とこちらはFさん。

加えて激しい結露がカビを呼び、窓枠をつけずに壁紙を直接巻き込んだ仕上げ部分は、傷んではがれてしまったといいます。


家の大規模改修に合わせ、既存サッシにエコガラス入替リフォーム

20年前にエコガラスに入れ替えられたリビングの掃き出し窓。存在感のあるオーニングもこのとき一緒につけられた。手動のキャンバス布は2m以上張り出すことができ、庭全体を覆うのも可能

玄関脇にあるシングルハングの上げ下げ窓。F邸でもっとも多く使われている開口で、すべて出窓仕様になっている。この家のコンセプトを表す代表的なデザインのひとつだろう

主寝室と並ぶ形で掃き出し窓がつけられている子ども室。午後の早い時間から、西寄りの日射がたっぷりと射し込んでいた

エコリフォームは2016年の春。3室+納戸のある2階と、キッチン・浴室・リビング西面を除く1階窓の、計11箇所が対象です。
既存のサッシはすべて残し、アタッチメント付エコガラスと真空ガラスに入れ替える方法を選びました。

実は20年前、F邸は一部エコリフォームをしています。「居る時間が一番長いから」と、リビング西面の窓3箇所をエコガラスに入れ替えたのです。夏の西日と冬の結露を撃退するためでした。
つまりは長年、部分的にエコガラスの効果を体験し続けていたということ。今回は満を持しての全体リフォームともいえるのです。

そのリビングがある1階では、5箇所の窓ガラスが真空ガラスに入れ替えられました。
どれも60cm幅の上げ下げ窓で、下部の窓を把手で動かすシングルハングタイプです。もとからのアルミサッシをそのまま生かし、洗面やトイレはプライバシーに配慮してくもりガラスにしました。

2階は6箇所です。
ふたつの西面掃き出し窓をアタッチメント付エコガラスに入れ替え、さらに外付けの電動ブラインドを設置しました。
4つの上げ下げ窓は1階と同じく真空ガラスへの入替です。

2日間の工事を終え、やがて夏を迎えたとき「とくに2階西側の環境ががらりと変わりました」


西日は入れずに風を招き、夏の部屋が快適に

外付けブラインドを下ろした主寝室の掃き出し窓。隣の子ども室と比べて、室内への日射が抑えられているのがわかる。この状態で網戸にすれば、涼風だけを室内に呼び込める

終日勉強部屋として使えるようになった子ども室

洗濯機奥の壁に切られているため手が届きにくく、結露の拭き取りが大変だったという洗面・脱衣所の窓。くもりタイプの真空ガラスに入れ替えられ、結露も気にならなくなった

主寝室は、日中閉め切って出かけるのは変わらないものの、奥様が職場から帰宅した後は「窓を全部開け、扇風機も使って部屋に風を通す。それだけで熱が取れるようになりました。就寝時もそのままですね」

単身赴任中のFさんが帰ってくる週末以外は、ほとんどエアコンを使わなくなったというのです。使う際も「就寝前の1時間くらい弱モードで回すだけで、しかも私は布団をかぶっています」
暑がりだというFさんを横目に笑いながら話す奥様に、すかさずFさんが「しかも効きがよくなったよね」と返しました。外気の熱をシャットアウトするエコガラスの断熱性能を雄弁に物語るエピソードでしょう。

日射熱から逃れながら3つの部屋の机を点々としていたお子さんも、自分の部屋で終日落ち着いて勉強できるように。そしてこの春、見事に大学合格を果たしています。

冬の辛さも軽減されました。

主寝室では北窓のコールドドラフトを真空ガラスがしっかり防ぎ、首の冷えもなくなりました。
1階も同様で、ソファに座ってもすきま風のような寒さが感じられなくなり、壁紙のはがれを招いた南窓の結露も消滅。
洗濯機の向こう側にあるため「遠くて拭くのが大変だった」と奥様が振り返る洗面窓の結露も、気にならなくなったのです。

当然ながら電気料金も下落。「我慢せず、しかも経済的に暮らせるのが一番です」Fさんがにっこりしました。


お勧めは“エコガラスと外部遮蔽のセット”

羽根の幅が10cmほどあり、一般によく見かけるものよりがっちりとした印象のブラインド。完全に閉めれば窓との間に空気の層ができ、断熱の一助にもなる

外付けブラインドの日射遮蔽性能を考慮し、2階の掃き出し窓は断熱タイプのエコガラスに。ちなみに1階リビングの掃き出し窓は遮熱型エコガラスで、ブラインドは室内についている

2階にはシングルガラスのままの窓が2箇所ある。階段ホールの掃き出し窓と趣味室の引違い窓がそれで、どちらも東南を向き、冬の卓越風を受ける窓だ。リフォームしない理由をFさんに尋ねると「朝日がよく当たるので結露してもすぐに消えるし、日中はポカポカと暖かい。夜は階下の温かい空気が階段に沿って上がり、暖めています」と答えが返った。加えて滞留時間が短い場所であることも構想外とした理由のひとつなのだろう

西面に大きな窓が並ぶリビングは前面道路からの視線もなく、ブラインドが全部上げられて明るい。西日はエコガラス+ブラインドのほか、ファサードから延長するかたちで3mほど張り出された袖壁でも遮られている

理詰めで緻密なリフォームを進めたFさんと、おおらかな感性で暮らしを楽しむ奥様。良き住まいにはその両方が不可欠かも

20年越しに2度目のエコリフォームを敢行したFさんに、その極意? をうかがうと、間髪を入れず「窓はエコガラスとブラインドをセットでやるのがいいですよ」

2階西面掃き出し窓に設置された外付けブラインドは、ゆるいカーブを描く羽根が室内に射し込む日光を調整するとともに、ガラスに直接当たる日射熱や冬の冷気をも防ぎます。室内に入り込む熱だけでなく、ガラスそのものにかかる負荷をも軽減しているのです。

ブラインドといえば室内に下げるものが一般的ですが、日本伝統のスダレやヨシズにも見られるように、室内に初めから熱を入れない“外部遮蔽”のしくみはさらに合理的。エコガラスによる断熱リフォームの良き助っ人として機能してくれます。

さらに今までヨシズやタープなどさまざまなものを試してきたというFさんからは「ヨシズは風をあまり通さないし、1シーズンですぐダメになるからどうかなあ…」とのつぶやきも。
確かにF邸のように“西日は遮りながら西風は入れたい”といった通風重視の場合には、羽根の角度を自由に変えられるブラインドの方がヨシズよりも利があるかもしれません。

既存サッシを生かしたガラス交換を選んだ理由も、Fさんは明快でした。
「サッシごと交換と比べて工事が早く、費用対効果も高いし室内インテリアも変えずにすみます。内窓は開け閉めに手間がかかるのと、カッコいいと思うものがない(笑)」

しかしここで「でもサッシにはまだ結露がつくんですよ」と奥様。おっしゃるとおりで、長年使った既存サッシは気密の低下が避けられず、リフォーム後に枠部分だけが結露するのは、実はよくある話なのです。
ただし結露面積自体がとても小さくなるため、リフォーム後は「気にならない」といった声もまた多く聞かれます。いずれにしても、ガラス交換のエコリフォームを選択する際には知っておきたい現象でしょう。

奥様が挙げたデメリットはもうひとつありました。それは「上げ下げ窓が重くなった」こと。
シングルガラスの窓を真空ガラスに入れ替えれば、単純にガラスは倍になり、もちろん重さも増えます。シングルガラスと同じ機構での開け閉め方では、それまでなかった負担がかかってくるかもしれないのです。
力の弱い高齢者や女性が住まい手の場合には、こういったことも頭のどこかに入れておきたいものです。

西にふたつの掃き出し窓と縦長のFIX窓、さらに南北それぞれに上げ下げ窓が切られたF邸リビングは三面採光。「明るくて、朝から夕方まで照明は要りません。ほかのお宅は昼から電気をつけている家もあるようですが…」と奥様。
これは周囲の多くの住宅が南にリビングと開口を配置する中であえて北にリビングを置き、西向き窓をつけた設計に負う部分も多いようです。

リビングの“南面信仰”はいまだ健在。けれど目の前に生活道路があれば窓にはカーテンを引きたくなり、さらに都市部やニュータウンではすぐそばに隣家が建ち上がって日照が変わる可能性もあります。
その一方でガラスの性能や外部遮蔽、そして設計に工夫があれば、たとえ西に大きな窓があっても快適さはつくれるはず… いくつもの示唆を与えてくれた、西日は入れず西風を迎え入れる快適な白い家でした。


取材日:2017年5月20日
取材・文:二階幸恵
撮影:中谷正人

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