事例紹介/リフォーム

補助金活用で窓・床・天井をトータル断熱

窓から快適、リフォームレポート -埼玉県 T邸-

Profile Data
立地 埼玉県三郷市
住宅形態 木造2階建(1995年竣工)
住まい手 夫婦+子どもひとり
間取り 4DK
窓リフォームに使用した主なガラス エコガラス
利用した補助金等 国土交通省省CO2先導事業
省エネ改修促進税制(固定資産税+所得税の減税)
工事費用 約210万円(うち補助金70万円、後に減税あり)


きっかけはテレビのリフォーム番組

朝日を浴びるT邸。シングルガラスの窓と薄めの断熱材が入った建売住宅は、日当り良好だが断熱性能は低く、1階は冬の結露と床からの冷え、2階は強い日射熱による暑さが問題だった。
東南と南西に窓がある1階居間は、Tさんの寝室も兼ねた主な居場所。右手にダイニングキッチンが続いている。左手の腰窓は東南向きで、夏には緑のカーテンがしつらえられる。

冬が来るたびに結露と寒さで困っていた我が家も、エコリフォームすればもっと快適になる。このことをTさんは、ケーブルテレビの番組で知ったといいます。
築17年の家の冬は、窓の結露を毎日拭かなければならず、さらに「年を取ってきた身には、しみるような」寒さでした。

番組では既存住宅のエコリフォームの実際を目の当たりにし、それまでなんとなく耳にしていた「内窓設置」が身近になって、インターネットで施工者やコストについて調査。エコガラスをはじめとする機能ガラスのプロ・旭建硝の中西さんに出会い、工事を依頼します。
「この家でも窓のリフォームができたら、多少なりとも暖かく居心地よくなり、結露も心配なくなるだろうと」決断を下したのです。

当初のTさんの希望は、家中の窓に内窓をつけることでした。現役時代に観光バスの仕事をしていたTさんは、各地のスキー場などで二重窓を見る機会が普通にあり、効果は知っていたのです。

さらに、数年前に建てたご長男の家が「二重の窓で、結露がまったくないんです。それを見て、ますますいいなと思っていました」。

中西さんとTさんの二人三脚が始まります。
T邸を訪れた中西さんは、窓の状況から家のつくり、冷暖房機器の使い方まで詳細にチェックしました。そして提案されたのが「窓リフォーム+天井・床の断熱」つまり、窓だけでなく家全体に関わるエコリフォームだったのです。


プロのアドバイスで窓・床・天井の同時断熱工事を決心

1階のストーブが置かれるダイニングキッチン。南西向きの掃き出し窓のほか、北西面にも窓が並ぶ。ひどい結露が悩みの種だった。
「庭が見えるので残したかった」という、居間の雪見障子からは奥様が丹精する植栽の緑が眺められる。ここには内窓をつけず、エコガラスへの交換リフォームとした。
シンク前の出窓も、内窓は設置せずエコガラスに交換されている。窓台部分が今まで通りに使えるほか「油がはねやすいキッチンでは内窓の樹脂サッシの掃除も大変なので、ガラス交換をおすすめすることが多いです」と中西さん。
浴室は、内窓設置工事であくビス穴からの水漏れ等を考慮し、既存サッシに曇りガラスのエコガラスをはめ込んだ。
ご次男の部屋は2面の窓の両方に内窓を設置。日射熱の伝わりが激しかった2階天井裏には、前から入っていた50ミリの断熱材の上に、新たにグラスウールの断熱材を吹き込んで、合計300ミリの厚さとした。
玄関脇の窓にもエコガラスの内窓を設置。ダークブラウンの窓枠で落ち着いた雰囲気となっている。

T邸の1階には、続き間になった和室の居間とダイニングキッチン(DK)があります。暖房機器は石油ストーブ1台とコタツ、ホットカーペット。DKの真ん中にストーブを置き、ふすまを開け放って居間も暖めていました。

三方に窓があり、北側には窓のある板張りの玄関ホールと浴室などの水まわりが配置された空間は厳しい寒さ。しかし「エアコンがいやでね。上ばかりあったかくなるし乾燥するしで、やっぱり石油ストーブがメインです。足元も冷えていました」とTさん。 居間にあるエアコンの出番は、夏場だけだそうです。

夏は、奥様の寝室とご次男の部屋がある2階の暑さが問題でした。
「暑さが頭の上から降りそそいでくる」とは息子さんの言葉。在室時は当然ながらエアコンをフル稼働して、しのいでいました。

中西さんいわく「2階は窓からの日差しが朝早くから入り続けるので、日射熱で夏がひどく暑いのはすぐに想像できました。ここはエコガラスの内窓じゃないと絶対にダメだなあと。屋根の焼けもあり、断熱材も入れなければと思いました」

決定したリフォーム内容は、1階は雪見障子のある掃き出し窓とキッチンシンク前の窓を除く全部の窓への内窓設置と床下の断熱。2階はすべての窓への内窓設置と天井裏への断熱材の施工でした。

工事は2011年11月に実施され、住まい手の暮らしに支障もなく、3日間で無事終了。

1階では「雪見障子を残してほしい、という奥様のご希望があった居間の掃き出し窓、油はねで汚れやすいキッチンの窓、さらに浴室の窓は、既存サッシを残してガラスだけをエコガラスに交換しました」と中西さん。それ以外の窓にはエコガラスの内窓がつけられました。

さらに床下は、薄く入っていた断熱材が撤去され、120ミリ厚の新しい断熱材に入れ替えられています。

2階では、ベランダに面する掃き出し窓から階段踊り場上部の小さな窓まで、すべてにエコガラス入りの内窓を設置。日射熱が降りそそいできた天井裏には、新たに分厚い断熱材が施工されました。


冬の灯油使用量3割減、夏の電気料金月1万円

真冬のコタツをのぞけば、居間の暖房は隣のDKの置かれた石油ストーブ1台のみだが寒さは感じないという。温度計も居間においてあり「昨年2月に暖房をつけないときも、最低で14.5℃ありました」
ダイニングからキッチン側を見る。玄関ホールにつながる室内扉は、工事後は真冬も開け放して、ストーブの暖気が流れるようにしている。
冷房専用機のついた奥様の寝室も、階段を上ってくる1階のストーブの暖気で十分過ごせるという。
障子のついていた窓には、組子の枠に和紙調に加工されたエコガラスがはめ込まれた内窓がつけられた。

T邸エコリフォームの効果は、さまざまな形で表れています。

冬は窓の結露がなくなったほか「灯油の消費が確実に3割は減っています。その年の寒さによっても違うと思いますが、買う回数が減りました」とTさん。

価格の変動が激しい灯油では「いくらかかったか」より「何リッター買ったか」が使用量を的確に反映します。購入回数の減少はTさん宅の灯油消費量が確実に減ったことを示すといえるでしょう。

体感面では「朝も全然苦にならずに起きられます、楽になりましたね。家族も満足しています」
以前は閉めていた1階DKと玄関ホールを結ぶ室内扉も、工事後は開け放つようになりました。DKに置かれたストーブの暖気が、ホールから階段を通って2階まで流れるといいます。

玄関前の板張り床も「裸足で歩いたときの冷たさがだいぶ和らぎました」床下断熱の効果がダイレクトに表れているようです。

2階では、豊富に射しこむ日差しの熱が外に逃げなくなり、暖められた室内の空気が長く保たれるようになりました。
暖房機器のない自室で過ごす奥様の服装も「前は綿入れの半纏を着ていたのが、今は着なくなりましたね」とTさん。

夏場の冷房はどうでしょう。
家族が長い時間を過ごす居間のエアコンは「設定温度26℃~27℃で、除湿モードにしています。これは工事前と変わりませんが、こまめにつけたり消したりして稼働時間が短くなりました」。

T邸では居間以外に2階の奥様の自室とご次男の部屋にエアコンがあり、合計3台使われていますが、エネルギー使用量を反映する電気料金は「一番高いときでも1万円くらい」。
エアコンの効きもよくなり、奥様がかける冷房も「1時間もたたないうちに寒くなるので、すぐ消すって言っていました」


数値データに表れた断熱力

T邸の冬期(2012年2月11日~13日)の温熱環境計測グラフ。1階のストーブ1台のみ運転している状況で計測した。水色の線が表す外気と比較し、室内の各計測ポイントでの温度の変化はゆるやかで、かつ11℃を下回ることがないことがわかる。(データ提供:旭建硝)
T邸の夏期(2012年7月22日~26日)の温熱環境計測グラフ。1階のエアコン1台のみ運転している状況で計測した。冬期同様、温度変化の波はゆるやかで、外気温が37℃近いときにも、室内では各ポイントとも30℃をほぼ下回っている。(データ提供:旭建硝)
北東と東南に窓のある2階和室(6畳)で①外にすだれを掛けて窓を閉め切った場合、②すだれをかけずに窓を開放した場合、の夏(2012年7月22日~26日)の室温計測グラフ。冷房はかけていない。紫色と黄緑色の線が示す①の値は、赤色と青色の線が示す②の値と比べて明らかに低く、しかも安定しているのがわかる。(データ提供:旭建硝)
2階の室温計測の舞台となった和室。左の窓は北東、右の窓は南東を向く。和風調のエコガラスの内窓が設置されている。

T邸の工事は、国土交通省が省CO2を実現する建築プロジェクトに補助金を交付する「住宅・建築物省CO2先導事業」に採択されたリフォームです。工事後の室内温熱環境について、施工を担当した中西さんによって計測調査が行われました。
そこでは、窓と床・天井断熱を組み合わせたエコリフォームで得られた効果が、数値の形で表れています。

調査はリフォーム後の2月と7月の計2回。真冬と真夏両方の外気温と室内温度の状態を、数日間にわたり温度計で測りました。

計測ポイントは1階は床・床から1.2mの位置・天井の3ヶ所、2階は床から1.2mの位置。さらに2階では、真夏に窓を開け放った場合とエコガラスの内窓を閉めてすだれを掛けた場合に床と天井の温度の違いがどうなるか、の調査も行われました。

結果を示したグラフでは、窓と床・天井の断熱を強化することで家の中が外気温の影響を受けにくくなり、一日の温度変化がゆるやかになっていることがわかります。また、エコガラスとすだれによる夏場の遮熱効果も、はっきりと数字に表れました。

調査を振り返り、中西さんは「Tさんには、あつかましく温度計をたくさん置かせてもらって(笑)ご協力いただきました。僕にとってすごくありがたい現場だったんです」と語ります。
それを受けて「やれることをやっただけで、とくに協力したつもりはないんだけど(笑)こちらの身になって中西さんはいろいろ考えてくれたから、それにお応えしないとね」とTさん。

信頼関係があるんですねと水を向けると、Tさんからは得たりとばかりに「そう、厚い信頼関係です。人間って、そうじゃないですか」と返ってきました。

エコリフォームは省エネ効果のほかに、施主と施工者の理想的な関係をも作り出したようです。


補助金を活用したリフォーム計画を立てて成功

計測データの説明をする旭建硝の中西繁樹さん。今回のT邸リフォームでは窓のほかに床・天井の断熱材の様子も直接目視で確認し、予算も勘案しながらトータルな断熱リフォームを計画・提案した。建物の断熱性能を示す熱損失係数(Q値)は、工事前の7.2W/㎡Kから、工事後は2.8W/㎡Kと大幅に下がった。これはT邸のあるIV地区の次世代省エネ基準である2.7W/㎡Kとほぼ同等。
たくさんのガラスで明るい玄関は、熱の出入りの激しい箇所でもある。本来はリフォーム対象となるが、十分な性能を出すにはタタキ部分の土間工事が同時に必要とされ「そんなに大掛かりになるなら建て直した方がいいことになるので(Tさん)」今回は見送りとなった。
できる工事をやって少しでも快適に過ごせればいい、内窓は出っ張るというけど、それよりも暖かさが重要…施主のTさんはいつでも自然体。何が大切か、についてブレることのない姿勢が、施工者との協働によるバランスの取れたエコリフォーム実現につながった。

ところで、当初は窓の断熱だけを考えていたはずのT邸が、どのようないきさつで床や天井を含むトータルなエコリフォームを行うことになったのでしょうか。

「少し足せば、つまり補助金が受けられればもっとできる、という話になったんですよ」と中西さん。
Tさんも「最初は躊躇したんです。でもアドバイスの中で工事の予算を出していただいたとき、国交省の補助金があることもうかがって、考えてみることにしました。多少の上乗せでより快適に暮らせるならということで、だんだんと上下の断熱に進んでいった感じです」

結果、工事費の1/3に当たる補助を受けることができ、さらに所得税と固定資産税の減税対象にもなりました。
「そういうことは全然知らなかったし、そのつもりもなかったので、得をした感じです」

ある程度の資金を用意して本格的に行う、できる範囲で少しでも快適に過ごせる状態をめざす…住まい手の考え方やお財布事情によってさまざまなスタイルがあるのがリフォーム。効果が高いとわかっていても、実際の予算と折り合わない工事ももちろんあります。
そんなとき、ざっくばらんに相談できる施工者がいてくれることは、お施主さんにとって重要かつ大きな安心材料となるのではないでしょうか。

たとえばT邸の玄関は、ガラスのあかり取りが多く明るい反面、外からの熱の出入りが激しい箇所です。本来はエコリフォームの対象と考えられますが、ガラスだけでなくタタキ部分の土間の断熱施工が必要になるなど大掛かりな工事が予想されたため「今回はやめましょう、とお話しました」と中西さん。

工事しないという選択があることも、頭に入れておきたいものです。

取材も終わりに近づき、プロの目で見て今後のアドバイスは? の問いに、間髪を入れず「石油ストーブよりも全熱交換器付きのエアコンをおすすめします」と答えた中西さん。Tさんのエアコン嫌いを知りつつ、省エネや健康の観点から丁寧な説明が続きます。
奥様の部屋のエアコンが古いのでそこから換えてみようかな、と笑いながら返したTさんが、そのあとに言い添えた「中西さんは、この家のアドバイザーですから」という言葉が、暖かく心に残りました。


有限会社旭建硝


取材日:2012年11月27日
取材・文:二階幸恵
撮影:中谷正人
エコリフォーム成功のポイント
  • 窓に限定せず状況に合わせたトータルな断熱を考える
  • 補助金交付を勘案したリフォーム計画
  • 施主と施工者相互の信頼関係

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