事例紹介/リフォーム

四間四方で“足るを知る”
大人のデザインエコハウス

静岡県・T邸

Profile Data
立地 静岡県磐田市
住宅形態 木造軸組平屋建
住まい手 夫婦
建築面積 59.62m2
延床面積 52.99m2



夫婦ふたりで新たに住まう小さな家

周囲に妻入りの家が多い中、ガルバリウム鋼板仕上げの平入切妻屋根が目を引く。ほぼ手をつけていない外構には、数年後に行われる下水道工事終了後に本格的な植栽を施す予定

基本設計では奥様が間取り等の計画、Tさんは材料調達や施工面の折衝等を主に担当。デザインは共同で検討した。実施設計から大工、各種設備業者まで、施工を依頼したのはすべてTさんの友人知人や仕事仲間だという。平野硝子でガラス販売・施工の仕事をするTさんも含め、プロが集まってつくり上げたセルフビルド建築といったところだろうか

建坪16坪・平屋建。かわいらしいその住まいは、諏訪湖に端を発し213kmを流れて遠州灘に注ぐ天竜川にほど近い、静かな住宅地に建っています。
「夫婦ふたりでゆっくり過ごせる小さな家に」と話すTさんご夫妻が自ら基本設計し建てたのは、四間四方の正方形平面を持つ家でした。

もとの住まいは隣の敷地。数年前に帰ってきた息子さん家族と二世帯居住していました。
しかしふたりの元気なお孫さんを含めた6人暮らしが徐々に手狭となり、たまたま売りに出たこの土地を手に入れたのです。

間取りはシンプルそのもので、玄関を入ってすぐに14畳のリビングダイニングとキッチンがあり、南側半分の床面積を占めています。北側半分には寝室・収納スペース・水まわりを納めました。

遊びのないストイックさがコンセプトと思いきや「これだとローコストにできるし、どこへでも手が届きますからねえ」と、こちらの気負いを見透かしたようにTさんが笑いました。

おっしゃる通りのヒューマンスケールな心地よい空間で、ご夫妻ふたりの新たな暮らしが今年1月から始まっています。


高い位置に小ぶりの窓がいっぱい。そのわけは

寝室は東と北に高窓があり、プライバシーを確保しつつ、開ければ隣家や裏山の緑が室内に取り込める

隣家との東面境界は砂利が敷かれ清潔な印象。窓のうち奥のふたつはそれぞれ寝室と書斎にあたり、もっとも手前の細長い窓は玄関の明かり取り

キッチンで手元に光を落とす窓も小ぶりのすべり出しタイプ。目隠しや防犯機能とともに「引き違いよりカッコいいでしょ(笑)」とTさん

リビングの南壁はほぼ全面が窓。T邸唯一にして象徴的な大開口だ

奥様が手塩にかけた鉢植えの植栽が、深い軒の下で伸び上がる。冬の日射を取り込むため、選んだのはすべて落葉樹。春は新緑、秋は紅葉と四季を通じて楽しめる

この家のもうひとつの特徴に“小さめの高窓”があります。

リビングの掃き出し窓とキッチン、玄関の明かり取り以外は、どの窓も床から1.2m以上の高さにつけられているのです。サイズも縦横ともに60cm~80cm程度がほとんど。

理由は周辺環境でした。

T邸の両脇には、隣家の軒がすぐそばまで迫っています。「境界部分に幅があれば目隠しになる木を植えたかったんですが、敷地が狭いので」と奥様。
思い通りの植栽が難しいとわかった時点で「普通の窓では開けづらくなるだろう」と、考え方を変えたといいます。

高い位置に小さい窓をつけてプライバシーを確保し、開け閉めの機構も横すべり出しタイプを多く採用しました。
開口部の施工を担当し、取材にご同席いただいた平野硝子社長の平野尚司さんいわく「すべり出し窓は引き違いと比べて外の風をつかまえやすいし、頭が入りにくいので防犯性も高いんですよ」

いくつもの心配が解消され、奥様は「気候の良い時期は全部の窓を開けています。小さい窓は室内が暗くなるけれど、やはりプライバシーは大事ですから」。

それとバランスを取るように、南向きのリビングには幅2.5m、高さ2mの大きな掃き出し窓がつけられました。
「家の中から窓越しに緑を見ているのが好き」という奥様の思いを映し、窓外にはモミジやマルバノキなど鉢植えの樹木が並んで、枝葉を延ばしています。
「全部、前の家の庭木から一部持ってきました。雑木林をイメージしています」


寒くなくてローコスト。小さな家は省エネ優等生

採用したのはいわゆる“遮熱高断熱タイプ”のエコガラス。「暖房の熱も逃さないので、この地域ではこれがスタンダードです」と平野さん

浴室の窓からは、スラットを開けた外付けブラインド越しに西からの日差しがよく入っていた

トイレの窓には型板タイプのエコガラス

窓は、すべてエコガラスです。

「地球温暖化防止に一番いいのはエコガラスなのに、あまり知られていませんから。せめて自分の家はと思って」
地域ボランティア活動にも取り組み、環境に対する高い意識を持つTさんらしい言葉でしょう。

多くの時間をリビングで過ごしている奥様には、室内の温熱状況と環境の整え方、体感を尋ねました。

「エアコンの設定温度は19℃ですが、つけるのは朝晩だけ。日中はリビングの窓から日が入って暖かく、ホットカーペットだけです」

リビングにいてエアコンを動かす時は、寝室や玄関、洗面所など他のスペースに通じる建具は閉めるとのこと。建具はバリアフリーを考慮しすべて引き戸ですが、とくに玄関ホールとの境にある引き戸は断熱仕様にして、外気をシャットアウトできているそうです。

ただ、水まわりに暖気がないと聞いて、入浴時やトイレでのヒートショックが心配になりました。温度差はありませんか?

しかし奥様からは「寒さは感じないんですよ。浴槽にお湯を張る時の温度設定も、前の家では43℃でしたが、ここは41℃で大丈夫です」と明るい言葉が返りました。

T邸の水まわりスペースは、建物の西面で直線的に配置されています。お隣も平屋なので午後にはたっぷり西日を受けますが、このとき入り込む熱をエコガラスが逃さず保っているのかもしれません。

西日はとかくネガティブな印象があるものの、冬場の浴室など住まい手の滞留時間が短い箇所では、パッシブな熱源として実は役に立っているのかもしれない…と、目を開かれる思いでした。

さらに、省エネ面はどうでしょうか。
オール電化のT邸では、エネルギー消費量はそのまま電気代に表れます。
「2月3月でひと月1万2000円くらい。入居から今までを平均して、毎月1万円ちょっとですね」

暖房から照明、調理、給湯まですべてまかなってこの金額。小さなエコハウスの大きな魅力といえるでしょう。


思いを込めて自ら設計。デザインされた“足るを知る”住まい

外壁の色とマッチした外付けブラインドで西からの日射を調整

前面道路側から見たリビングの窓。網戸になっている左側と比較するとエコガラスのミラー効果がよくわかる

キッチン南側の縦すべり出しスリット窓で食器棚周囲に採光している。「もう少し床近くまで延ばしてもよかったかな」とはTさんの言葉

地窓転じて高窓となった寝室北側の窓は、エコガラスの内窓をつけて断熱力をより高めている。畳ベッドのある部屋に合わせ、和紙の意匠を取り入れた製品を採用した

玄関ホールを背に笑顔を見せるTさんは「これから建てる人は、ガラスのことにも関心を持つといいですよ」とも。すると間髪を入れず「そう、ガラスのことはガラス屋に聞きに行けばいいんですよ!」と平野さんがツッコみ、一同爆笑となった

外壁も屋根もダークブラウンのガルバリウム鋼板で仕上げたT邸は、シャープでモダンな印象。住まい手のデザインへのこだわりがあちこちで感じられます。

窓まわりの日よけ手法もそのひとつでしょう。西を向く水まわりの窓には、室内から手動で動かせる外付けブラインドがついています。
外壁と色をそろえたスタイリッシュなブラインドは、窓を開けたままで外部からの視線を遮断でき、日射の調整もできるものとして選ばれました。
夏場の浴室などで威力を発揮するとともに、室内にブラインドを吊るすよりも効果が高い“外部遮蔽”も実現されています。

一方、奥様とTさんのバトル? が続いているのが、リビングの掃き出し窓まわりです。

道路に面しているため日中はレースのカーテンを引いていますが、奥様は「本当は開けっ放しにしたいんです。植栽で目隠ししたいけれど、外構工事はまだ先。だからすだれを掛けたいですね。風情もあるし」

ところがTさんは「すだれは格好悪いから… エコガラスはミラー効果があるから大丈夫!」
道から見ても確かに内部の様子はほとんど見えず、エコガラスの特徴であるミラー効果が遺憾なく発揮されています。
けれど、室内にいる奥様が「やはり見えているのでは」と不安になるのもよくわかります。ほほえましくも真剣なやりとりです。
それでも次の夏にはすだれ用の金具をつけるそうで、奥様の希望がかなう日もそう遠くないかもしれません。

双方譲らないこだわりも、やはり自ら設計したこの家への思い入れあってのものでしょう。

実際の設計過程では多くの変更や妥協を経験したことが、おふたりの言葉の端々からは感じられます。
窓ひとつとっても、つけるつもりだった部分にちょうど筋交いが入っていたり、地窓にしたかった寝室の窓は位置が低いと外から丸見えになるなど、思いもかけない展開があったといいます。プロの設計者とは違う苦労や失敗も当然あったでしょう。

しかしおふたりのそんな姿をかたわらでずっと見守ってきた平野さんは「プロに委ねて固められてしまうより、このやり方こそすばらしいですよ。 満足感が違います」と力を込めました。
Tさんも「これから家をつくる人は、ひと部屋でもいいから自分でやってみるといいかもしれませんね」とにっこりしました。

できあがったのは、コンパクトで無駄がなく、必要十分で「自分もこんな家に住みたい」と、平野さんをはじめ多くの同世代が共感する小さな家。
それは「若い時は吹き抜けや複雑なデザインにしたくなるけれど、20年くらい先を考えてプランニングした方がいい」と語るベテランならではの“足るを知る”思いと、建材の素材から形、色に至るまでどこまでも納得できるものを追求していく“デザインへのこだわり”が融合した、まさに大人のカッコいいエコハウスでした。



取材協力 平野硝子
URL http://www.wakuwaku-glass.com/
取材日 2018年4月3日
取材・文 二階幸恵
撮影 中谷正人

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