事例紹介/リフォーム

ようこそ、我が家へ 〜極寒酷暑なんのその 北の大地のパッシブハウス〜

開口部にこだわった新築レポート -北海道 A邸-

Profile Data
住宅形態 木造地上2階建(エアサイクル工法)
住まい手 夫婦+子ども3人+両親
建築面積 136.62m2
延床面積 174.71m2



今月の家を手がけた建築家:(株)下浦ハウス


冬と夏の気温差60℃の地でパッシブな家を建てる

見事な十勝晴れの下、日を受けて佇むA邸。住まい手がこだわった「勾配ある屋根」がアクセントとなっている
融合型二世帯住宅はLDKと和室を共有し、キッチン奥に両親の寝室、2階にAさんファミリーの居室。中央に配置された階段は玄関からの目隠しの役目も果たす

日高山脈のふもと、畑や牧草地など北海道らしい風景が広がる十勝平野は全国有数の日照時間を誇るエリア。夏は30℃、冬は−30℃を記録する「温度差60℃」の地として知られ、四季の移ろいも鮮やかです。

夫婦ともに教職に就き、転勤族だったAさんご一家がオホーツク地域から十勝へとやってきたのは2010年。3人のお子さんが通う学校やご両親との二世帯居住を考えた家づくりに取り組み始めます。そんな折<冬暖かく夏涼しい、パッシブで健康な家>に取り組む工務店・下浦ハウスの住宅見学会を訪れ、この土地を紹介されました。

「パッシブ住宅ってどんなものなんだろう? 最初に考えたのはそれでした」見学会に足を運んだきっかけを奥さまはこう振り返ります。
「エコ住宅が時代のひとつの流れになってきた頃で、エネルギーは<つくり出すもの>か<使わないもの>なのか、いろんな考え方があるんだなあと思っていたんです」

ご夫妻の思考はさらに進みます。冬の寒さに加えて「夏のことも考えました。十勝では夏はエアコンをつける家が多いのですが、そこでエネルギーを使うのはいかがなものか、と」
そんな中、エアコンを置かない会場で説明を受けたエアサイクル工法は「めぐり会いでしたね」

厳寒と酷暑が同居する典型的な内陸性気候である十勝の地で<一年中パッシブで快適に過ごせる家>での新しい暮らしは、2012年11月の終わりに始まりました。


ストーブを焚かずに<自然の暖かさ>を実現。健康と省エネもついてきた

全居室とも真空ガラスと樹脂サッシの窓を2枚単位で設置した。片方はFIX、もう片方は外開きとし、採光と夏場の通風を確保
各居室は窓の下にパネルヒーターを装備。エアコンもストーブも置いていない
20畳のリビングダイニングを暖めるのは天井からの輻射熱だけ。5枚ある窓の外の気温は0℃を下回っている
一日中日の当たらない北面でも、エコガラスの窓は凍りついていなかった

北の大地のパッシブハウス、その実力をうかがってみましょう。

A邸の窓は、大きさや場所を問わずそのすべてがエコガラス+樹脂サッシ。引き違い窓はなく、外開き窓とFIX窓を用いることで家全体の気密性を高めています。
外の冷気はシャットアウトされ「−20℃の日でも、北側の窓でさえ凍りつくことはないですね」

外壁は二重に断熱材を使い、その中を自由に流れて床下や小屋裏を行き来する空気の層でさらに断熱性能を上げています。

暖房機器は「リビングは天井輻射暖房、あとは各部屋のパネルヒーターだけです」北海道では一般的な石油ストーブや床暖房、エアコンもないとのこと。 天井輻射暖房は1階LDK部分の天井裏にヒーターパネルを取りつけ、そこから放射される遠赤外線が壁や床、居る人を直接暖めるしくみです。

取材に訪れた日は快晴で最高気温0.1℃最低気温−4℃でしたが、室内はセーターなしでいられる暖かさ。天井の表面温度は34℃、壁や床は窓際でも17℃ありました。
「自然な暖かさで、空気が透き通っている感じがします」と奥さま。Aさんが「今までの家では、暖かいというよりも「暑い」という感覚。寒暖の差がすごく激しいんですよ」と続けました。

一歩入れば真冬もTシャツ一枚で過ごせるといわれる北海道の家ですが、実はストーブをガンガンに焚き、その周囲は顔が熱くて居られないほどで「室温28℃で、短パンTシャツ姿でいたりします。北海道の悪いところ」
その一方で熱源から離れれば寒くなり「トイレに行くときは気合いを入れていくんですよ(笑)」

室内の温度ムラがなく、外気温氷点下の環境で家の端にある無暖房トイレ内でも11℃が保たれているA邸は、ヒートショックの心配もなく健康面でも安心な家といえるでしょう。

光熱費はどうでしょう。A邸ではオール電化を採用しています。「電気料金は1月で4万円くらい。石油ストーブを焚けばそれだけで4万5万はかかりますから、安いはずです」と奥様。
真冬の北海道で、暖房のみならず給湯や照明など暮らしに関わるエネルギーのすべてを、このコストでまかなっているというのです。
取材に同席いただいた下浦ハウスの下浦玲子専務も「この金額は、一般的な工法で建てた北海道の家の33坪くらいに相当します。この家は延床面積53坪ですから、二分の一程度で済んでいることになりますね」とうなずきました。


心地よい落ち着きをつくる、大きすぎない縦長の窓

縦長の窓から射し込む冬の日差しがリビングの奥まで届く。団欒の象徴であるテレビの位置も絶妙
リビング脇の和室と広縁にはときにマッサージチェアも持ち出される。家族でごろんとくつろげる気持ちのいいスペース
1階南側に並ぶ、リビングから広縁にかけての縦長窓。大きすぎない窓は夏場、庇なしでも直射日光の入り込みが少なく、暑さでも知られる十勝地方の家にフィットする
トップライト降り注ぐ2階フリースペースでは、息子さんが勉強中。北向きが原則とされる天窓だが「北海道では南側につけます。でないと結露でボタボタ水滴が落ちてきちゃうんです(下浦専務)」

パッシブで空気が澄んだ住宅で植物が元気に育つのは、あちこちの住まいでよく聞く話

パッシブな住まいであるほか、A邸には別のコンセプトもありました。それは<落ち着ける家>。あちこちにこの思いが反映されています。

その最たるものが窓でしょう。
A邸にはたくさんの窓があり、日中は照明なしでいられる明るさが確保されています。しかし多用されているのは、横幅が狭く縦に長い形の窓。リビングの南面にもいわゆる大開口といえるものは見当たりません。なぜでしょうか。

「明るいけれど明るすぎない家にしたかった。家では落ち着きたかったんです。家族みんなが本を読むこともあり、柔らかい光がいい。直射日光では読めませんから」とAさん。

1階部分が南北に長い平面であることも、縦長窓の選択につながりました。冬期は南側の窓から5メートル半も奥まったキッチンスペースまで、日の光が届きます。

そのほかに存在感を発揮したのが「実はテレビです(笑)前の家にいるときから茶の間にテレビがバーンとあり、そこに全員集まってご飯を食べ、観ている番組についてああだこうだと話をするんですね」
家族に話題を提供し、団欒を演出するツールとしてのテレビを大切に考え、当初の計画では3枚並ぶ予定だった南側の窓を2枚にし、中央にテレビを据える現在の配置となりました。

リビングと隣り合う和室と、北海道では珍しい広縁も、7人家族めいめいがゆとりを持って過ごせる空間づくりに貢献しています。 「広縁は寝ころんだりべったり座れるくらいの広さにしました。本を読んでもいいし、和室とつながっているので両親にもくつろいでもらえればと思って。もちろん洗濯物も置けますし」
両親、子どもたち、そして自分たち夫婦もみんなそろって、このあたりで本を読んだりしらべものをしていることがありますよ、とAさん。

広縁にふたつ並ぶのは、幅780mm・高さ1870mmのこれも縦長窓です。ひとつはFIX、もうひとつは外開きで、洗濯物の出し入れも便利。冬は日だまりになる暖かい縁側です。

もうひとつ、A邸の印象的な風景をつくっているのが2階フリースペースの天窓です。

「私が仕事や勉強をする場です、あまり使っていませんが」とAさんが笑うその空間は2階フロアのほぼ中央に配置され、つくりつけのカウンターがあり読書や調べものにうってつけ。ふたつの天窓から光が降り注ぎ、不思議な静謐感をたたえています。
「夏に開けると空気が家の中にこもらず、とてもいい窓なんです。これもパッシブですね」下浦専務がにっこりしました。

広縁に並ぶゼラニウムが、日差しを受けて輝いています。「前の家からこちらに持ってきて以来、植物がすごく伸びるんですよ」人に優しい家は生きるものすべてに優しいのでしょう。
窓の外の雪景色も暖かく感じる、柔らかなひとときでした。



取材日:2013年2月9日
取材・文:二階 幸恵
撮影:中谷正人

今月の家を手がけた建築家:(株)下浦ハウス

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