事例紹介/リフォーム

ようこそ、我が家へ 〜中庭を家の重心に据えた至福の空間〜

開口部にこだわった新築レポート -光と影の巡る回廊のある家 東京都 S邸-


窓は、単なる家のパーツではありません。光の取り込み、風の通り道、断熱・防音、眺望、インテリアetc……と、 生活を快適に保つさまざまな役目をあわせもっています。そう、開口部にこだわるということは、生活にこだわるということ。 そんな生活にこだわるご家族のお住まいを拝見しました。


今月の家を手がけた建築家:黒崎 敏


取材企画協力:OZONE家づくりサポート
<建築家選びから住宅の完成までをコーディネートする機関です>

こだわりつくした「庭を囲んだリビング」

シンボルツリーのヒメシャラが家族を見守っています。

シンボルツリーのヒメシャラが家族を見守っています。

南面から中庭を望む。屋内と屋外が一体化。

南面から中庭を望む。屋内と屋外が一体化。

東京の郊外の閑静な住宅地の一角にある、コンクリートで囲まれたS邸。現代的でありながら、木を使った門扉やガレージが和の趣を感じさせる外観です。

広い空間をそのまま生かしたS邸の一番の特徴は、中庭を囲んだ広いリビング。平日はお仕事でお忙しく、週末をくつろいで過ごしたいというS様ご夫妻は自然が大好き。家をつくるにあたっても、そのライフスタイルをそのままにと、設計の黒崎先生のアドバイスもあり、地面の近くで暮らせる平屋で中庭が真ん中にあるコートハウスを選択。

「コートハウスは、"昼と夜"という1日の流れや四季折々の季節など自然をたっぷり感じられる仕様」と黒崎先生。

庭を囲んでいるのは、ダイニング、リビング、リビング拡張部分、ご夫妻の寝室と、まさにご家族の生活の場ですが、庭に面する側は全面ガラス。広々とした空間のどこからでも、自然が味わえるのは、家族がゆったり快適に過ごせることを第一にしたいS様ならではの間取りです。

ガラスは南面と西面に限ってはエコガラスを使用。日本の伝統的住まいは軒下を広くとって夏の日差しを防ぎますが、都市部では貴重な空の景色が妨げられます。そこでS邸ではS様のご希望もあり、その役割をガラスの機能に委ねました。大きなガラスだと暑さ寒さが気になるところですが、この冬は夜でも想像していたよりは暖かかったとS様(まだ夏は越していません)。とくに昼間は暖房なしで過ごせる日も多かったそうです。


3つの庭がいやしの秘密

門から玄関へのアプローチ。

門から玄関へのアプローチ。

玄関の扉を開けると中庭の緑がまぶしい。

玄関の扉を開けると中庭の緑がまぶしい。

屋上へ上がる階段も光と陰の立役者。階段の先はソーラーパネルのある屋上。

屋上へ上がる階段も光と陰の立役者。階段の先はソーラーパネルのある屋上。

浴室から坪庭&客間を望む。坪庭は客間にも浴室にも広がりをもたらす貴重なスペース。

浴室から坪庭&客間を望む。坪庭は客間にも浴室にも広がりをもたらす貴重なスペース。

S邸の庭は、中庭のほかにも2カ所あります。

まず、門から玄関に続く、左右をコンクリートとガラスで挟まれたアプローチ。目に入るのは正面に広がる空と玄関ドア、左手前には坪庭、左前方にはリビングが望めます。

そして玄関を入ると中庭とリビングダイニングが目に飛び込んできます。

この門からリビングダイニングへの空間は、外から帰ってきたときに気分を切り替えるという役割を果たしているとか。両脇が塀ならぬコンクリートですが、奇しくも黒崎先生とS様ご夫妻のふるさと金沢の町家の路地の風景に重なります。小さな路地を抜け、随所に中庭を望む道すがら、自然の風と香り、光と影の変化も楽しめる小径です。

随所に庭のある空間はいろいろなメリットがあるようです。「坪庭に面したバスルームは、バスタブも大きく快適。ちょっとしたリゾート気分です」とS様。

アプローチ、坪庭、中庭という3つの庭の他にじつは第4の庭があるとか。

それは屋上。現在はソーラーパネルが設置されているだけですが、将来的には屋上庭園を計画中だそうです。


ずっと住まい続けられるためのくふう

庭に面してグリーンが置かれているコーナーは薪ストーブを設置できるようスタンバイ。

庭に面してグリーンが置かれているコーナーは薪ストーブを設置できるようスタンバイ。

リビング壁面収納上のトップライトのおかげで天気のいい日は照明いらず。

リビング壁面収納上のトップライトのおかげで天気のいい日は照明いらず。

どんなに周囲に大きな建物が建っても、この中庭は変わらない。そんな普遍性も長く安心して住み続けられる要素。

どんなに周囲に大きな建物が建っても、この中庭は変わらない。そんな普遍性も長く安心して住み続けられる要素。

平屋でありながらコンクリートづくりというのはなかなか贅沢なようですが、地震への備えと、長く住まうためには理にかなった選択です。

「ライフステージによって、家族構成や住まい方は劇的に変わります。その点、コンクリートだと柱などの制約がないため、間取り変更などの自由度が飛躍的にアップします。何といっても耐久性もあり、安全です。」と黒崎先生。

実は先日新しい家族が増えたS様ご一家。時期を見てリビングの拡張部分は子ども部屋にしたり、そのあとのプランも漠然と描いているそうです。さらに、拡張リビングの上に屋上庭園をつくりたい、リビングに薪ストーブを、というように一つずつかなえたい希望もあります。

家は住まい手とともに変わっていくものであり、進化し続けてほしいものでもあります。S邸は、いまのこの家を充分に楽しみながら、将来もその楽しみが積み重なる形で続いていく、そんな予感がします。


家づくりのプロに質問します!
Q. 建築家にお願いする際、どうやって希望を伝えたらいい?

どういうきっかけであれ、巡り会えたのも何かの縁。建築家を「先生」とまつりあげるよりも、同士として信頼してほしいですね。

どういうきっかけであれ、巡り会えたのも何かの縁。建築家を「先生」とまつりあげるよりも、同士として信頼してほしいですね。

「希望」とひと言で言っても、箇条書きにできるものだけではないはずです。本当に大事なのは、ご本人も気がつかない、言葉になっていない要望の方だと思います。それを解ってもらうには、まずは建築家とたくさん話をすること。私たちは聞き役に回っていることが多いと思いますが、実は、話を伺いながら、隠れている大事なものを探し当てているんです。どれだけ言葉になっていない要望を探り当てられるか。それこそ建築家の、腕の見せ所だと思っています。


今月の家を手がけた建築家:黒崎 敏 取材企画協力:OZONE家づくりサポート <建築家選びから住宅の完成までをコーディネートする機関です>

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