事例紹介/リフォーム

ようこそ、我が家へ 〜贅肉のない住まいで過ごす心豊かなひととき〜

開口部にこだわった新築レポート -大人仕様のシンプルな家 東京都 石橋邸-


窓は、単なる家のパーツではありません。光の取り込み、風の通り道、断熱・防音、眺望、インテリアetc……と、 生活を快適に保つさまざまな役目をあわせもっています。そう、開口部にこだわるということは、生活にこだわるということ。 そんな生活にこだわるご家族のお住まいを拝見しました。


今月の家を手がけた建築家:石橋 利彦


取材企画協力:OZONE家づくりサポート
<建築家選びから住宅の完成までをコーディネートする機関です>

印象的な大きなガラス、そのわけは・・・

冬は日差しをふんだんにとり入れることができる大きなガラス。

冬は日差しをふんだんにとり入れることができる大きなガラス。

ホール部分は外と中をつなぐ空間。

ホール部分は外と中をつなぐ空間。

通りに面した大きなガラスがとにかく印象的な石橋邸。建築家の石橋先生がご自身で設計した自宅です。
まず目につくのが、道路と隔たりがない大開口。ガラス面が地面に対して鈍角に傾いているため、前の道を歩く人たちの姿がガラスに映り込まない。圧迫感を与えることがありません。
この傾きにはふたつの大きな理由があります。下向きになっているため、ガラス面が汚れにくいこと。もうひとつは夏の日差しを入れすぎないこと。なるほど、この通りは家の西側なので、夏の西日対策は当然の心配りです。もちろん、冬の低い位置からの日差しは充分取り込むことができます。

石橋邸の窓の工夫はほかにもあります。家の北面と南面には、縦長の窓が天井から床まで、規則正しい間隔で並んでいます。
「これは、光を取り入れるための窓。ここは南北の敷地ぎりぎりまで隣家が建っていますので、高い位置に窓がないと十分な光がとれません。それでも、細長い形にしているので、窓の総面積はふつうの家と同じくらいで済んでいます」
効率よく光を取り入れるための工夫であると同時に、ほかからの視線を集めすぎないということもあるようです。上部ははめ殺しですが、下の方は開くようになっているので、夏には南北に風が通り、心地よいそうです。


大きなガラスはゆるやかに外につながる空間

ホール部分は吹き抜け。ゆったりしたスロープが見た目にも優しい。

ホール部分は吹き抜け。ゆったりしたスロープが見た目にも優しい。

玄関は二カ所。通りに面して右側と左側、向き合うような位置に設けています。どういう使い分けをしているのかと伺ったところ、「特にないですよ」と石橋様。
「ちょっとよくわからないくらいがいいんです。玄関とか勝手口とかわかりやすい作りでは、何だかつまらないでしょ(笑)」
玄関を入るとすぐシックなモノトーンのタイルの床。そのまま1階の廊下部分になっていて、玄関ホールと廊下という境目がありません。

「最初はタイル張りの廊下なんて…と思ったけれど、使ってみてよかったと思いました」と奥様。床をタイルにしていることで、そのまま水ぶきができるし、目にもそれほど違和感がなく、むしろ合理的だと思っているとか。
タイルの下は床暖房にしているため、冬でもひんやりした感じがありません。もっとも、冬は正面の大きなガラスから取り込まれる光がホールをはじめ家中を巡るおかげで、昼はぽかぽか。暖房はほとんど必要ないということです。
奥様は「おかげでここに来てから、長袖のセーターは不要になりましたよ」。


リビングを中心に家族5人が心地よく過ごせる住まい

くつろげるバスルームは広々と!

くつろげるバスルームは広々と!

モノトーンのシンプルな色彩のリビングは無駄のないシックな空間。

モノトーンのシンプルな色彩のリビングは無駄のないシックな空間。

リビング奥から外を望む。奥のしきりは全面収納。

リビング奥から外を望む。奥のしきりは全面収納。

石橋邸にお住まいなのは、石橋様ご夫妻と成人したお子さま二人、そして奥様のお父様の5人。大人が5人ということで、1階はお子さま二人と奥様のお父様の居室とバスルーム、2階はLDKとご夫妻の寝室と、それぞれの個人の空間と一緒にくつろげる場所をわけたメリハリをつけた間取りになっています。

ゆったりとすごせるリビングがほしい!というのがご家族のいちばんの希望。そのため、天井を高くとり、シンプルにモノクロで空間をまとめました。それは、まさに「大人のほっとできる場所」。ご夫妻にとって、リビングのソファーに腰掛け、正面の大きなガラスを通して外を見るときが一番落ち着く時間だとか。

石橋邸には、細かい工夫があります。たとえば、南側の壁に取り付けた大型テレビ。背面の黒い壁と一体感があり、テレビと気がつかないほど。「テレビは黒い壁に配置するのが、テレビを部屋にとけこませるだけでなく、目に負担が少なくベスト」と石橋様。

さらにメインの照明は天井にうめこんだ蛍光灯で目立ちません。しかもカバーがないので「明るいですよ」

そしてなんといっても物が外にでていないので、視界がすっきりとしていて気が散りません。そのために活躍しているのが階段脇一面の腰位置までの手摺り兼収納です。パソコンやワイングラス、書籍など様々な物が収納されているとか。

「おかげで家事もすごく楽!」と、掃除のしやすい家を第一希望にしていた奥様は絶賛。医療関係で活躍するキャリアウーマンの奥様は、仕事をしながら大部分の家事を担っていらっしゃるので、住まいやすさと家事が効率よくできることは不可分なのです。

「物が外にでていないからホコリがたまらないうえに、床がフローリングでフラットなので掃除がしやすいんですよ」。手入れが楽であると言うことも、ゆったり過ごすための重要なファクターなのです。


機能的なだけでなく、セキュリティや安全対策もばっちり!

スタイリッシュで使い勝手も重視した石橋邸。さらにドア部分にはダブルで鍵をとりつけ、防犯にも配慮。しかも下のサブの鍵は外からしか開かないようになっています。
「泥棒は小窓から侵入して、玄関から挨拶をしてでていくもの。このように、外からしか開かない鍵があるところは、泥棒の出口がありません。たいていの泥棒は下見をしますから、このような仕掛けの家は敬遠します」と石橋様。ちょっとしたことに暮らしやすさと安全を共存させるヒントがあるのです。


2階の天井を高くとるために、1階の床を通常よりも低い位置にしています。つまり土台の位置が低くなっているのです。それは、町並みを守るための高さ制限を遵守するためには必須のことですが、決してネガティブなことではないのです。
重心が低くなるため、地震に際しても揺れにくいというメリットがあるのです。あることをかなえるためにほかを犠牲にするのではなく、さらにほかの良さも実現させるのは、さすがプロだと感心します。

家造りは生活を見直すいい機会

住めば住むほど、居心地がよくなり落ち着いてくるとおっしゃるお二人。

住めば住むほど、居心地がよくなり落ち着いてくるとおっしゃるお二人。

南側の外部ドアにはもう一人の家族である小猫の出入り口が。

南側の外部ドアにはもう一人の家族である小猫の出入り口が。

石橋邸はこの地にあった古い昭和家屋を建て替えて、2年前に竣工したもの。
「古い家に長く住んでいたので、住まいはこういうものだ」ということが知らず知らずのうちにしみこんでいたんです」と奥様。
それが新築を機に、住まいにとって必要な物を考え直して、いまのようなシンプルでメリハリのある間取りになったそうです。さらに、持ち物を整理して、ライフスタイルを見直し、不要な物やこれから使わない物は極力手放し、生活用品も最低限のものにスリム化を図りました。
特に大きな変化は、本を処分したこと。いままでは自宅でお仕事をすることもあったというお二人ですが、新築を機に、仕事を極力自宅に持ち込まなくなったと言います。
現在、仕事を終えて帰宅したあとお二人は「ゆったりと大好きなワインを楽しむこと」が日課だとか。子育ても終わった大人が豊かに過ごす時間がここにあります。


家づくりのプロに質問!
Q. 建築家と家を造るときに成功するコツは何でしょう?

やはり大事なのは相性のいい建築家を選ぶことですと、石橋先生。

やはり大事なのは相性のいい建築家を選ぶことですと、石橋先生。

まずは、要望をきちんと建築家に伝えることです。プライバシーに関わることで言いにくいこともあるかもしれませんが、そういうことが家づくりには重要だったりします。また、ご家族で意見をまとめる必要はありません。いろいろな意見があるという現実を伝えていただくことで、それぞれの人の望みを最大限に生かした住まいづくりのお手伝いができるのです。


今月の家を手がけた建築家:石橋 利彦 取材企画協力:OZONE家づくりサポート <建築家選びから住宅の完成までをコーディネートする機関です>

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