事例紹介/リフォーム

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開口部にこだわった新築レポート -生活そのものを楽しむための、ふだん着の家 東京都 新井邸-


窓は、単なる家のパーツではありません。光の取り込み、風の通り道、断熱・防音、眺望、インテリアetc……と、 生活を快適に保つさまざまな役目をあわせもっています。そう、開口部にこだわるということは、生活にこだわるということ。 そんな生活にこだわるご家族のお住まいを拝見しました。


今月の家を手がけた建築家:新井 敏洋


取材企画協力:OZONE家づくりサポート
<建築家選びから住宅の完成までをコーディネートする機関です>

家を作るのにチョイスは無数だけど答えはひとつ

奥行きのあるアプローチを抜けた木の傍らに玄関が。

奥行きのあるアプローチを抜けた木の傍らに玄関が。

大きな木製サッシでのぞむ木のバルコニー。

大きな木製サッシでのぞむ木のバルコニー。

ここは東京都23区内とはいえ、まだ緑豊かなエリア。新井邸はこの住宅地の一角に建つ、木のバルコニーが印象的な一戸建てです。玄関脇には広葉樹が枝を広げ、四季折々にそれぞれの風景をつくりだしています。ここで暮らすのは、新井様ご夫妻、高3と中3の息子さん、そして奥様のお母様です。

設計は建築家である新井様ご自身。
「生活そのものを楽しみたい、もちろん仕事も生活の一部」という新井様、職住一体の生活は念願だったとか。そこで、息子さんたちの受験に影響しない時期にと2006年に、お子さんの学校などの周囲の環境の変わらないエリアで土地探しをしました。

土地を見たら、すぐ形が思い浮かぶという新井様。奥まっているため道路に面する箇所が少ないここの土地を見た瞬間、1本の大きな木を中心にしたL字型の家がひらめいたとか。契約と同時に設計を始め、2007年秋には引越しという超スピードで完成しました。

「普通の家作りは、どういう家がいいかを間取りを具体的に考えるところから入りますが、うちの場合、もともとある《土地の形》《建てられる家の大きさ》《必要なスペース》という条件の中で建てようとすると、間取りに迷う部分はなかったです」と新井様。あとはL字の建物に必要な空間をどう配置するかを検討し、細かな仕様については普段お客様に提案するものから自分の生活に必要なものをセレクトしたとか。

最初に図面を描いたのは新井様。次にいっしょに働く奥様によるチェックをへて、最終決定。
「キッチンなどの水周りや家事動線など、家事を中心にこなす人の目を通すことで、ふたりで作り上げた家といっていいですね」とプロ同士のご夫妻ならではの連係プレーがあったようです。


ふだん着で暮らす間取りって?

広がりを持たせたリビングスペース。正面に見えるのが西側の窓。

広がりを持たせたリビングスペース。正面に見えるのが西側の窓。

中3の息子さんのスペース。右にあるはしごを伝ってロフトへ。

中3の息子さんのスペース。右にあるはしごを伝ってロフトへ。

新井様は、「くつろげる家」というコンセプトで家づくりにかかわっています。それはご自宅の場合でも変わりません。

新井家の間取りは、1階は事務所、夫婦の寝室、そして同居のお母様の生活空間、2階はLDK、バス・洗面所、そして息子さんたちの居室。

まず北側の玄関を入るとそこは設計事務所。お子さまにとってご両親である新井様ご夫妻が働く場所です。ときにはお客様と打ち合わせ中ということもありますが、そこであいさつをして上にいくのが息子さんたちの日課です。「働いている姿を見せたいし、そこを通って2階に行くのは子どもたちの社会との接点ですよね」。

階段を挟んで事務所の東側は夫妻の寝室。ちなみにお母様の空間は事務所の北側に面した部分にあります。

2階は、階段を挟んで西にLDK、東には息子さんたちの居室エリアと振り分けられます。リビングはゆったりできるよう、視界をさえぎるようなものは置いていません。さらに東側の息子さんたちの空間まで見渡せるようになっています。

そこで驚きなのは息子さんたちの部屋。部屋というよりスペースといったほうがふさわしいような空間が並び、それぞれベッドと机、そして本棚とクローゼットが寮のように配置されています。

「要は勉強と寝る場所なので、個室は最低限のもので十分。微妙な時期でもあり、ひきこもらないようリビングから気配が共有できるようにと思いました」。

…とはいえ息子さんたちの逃げ場もきちんと確保してあります。それはロフト。息子さんたちのスペースの南側にあるロフトは空間としてはリビングとつながっていますが、ほとんど見えません。ここにはゲーム機やマンガなどがおいてあり、治外法権だとか。


くつろげる家に必要なものは生活に合わせた空間

1階の事務所スペースも大収納で使い勝手抜群。

1階の事務所スペースも大収納で使い勝手抜群。

家族のお気に入りが家の随所に並ぶ。

家族のお気に入りが家の随所に並ぶ。

階段脇には本収納のための大スペースが…

階段脇には本収納のための大スペースが…

階段脇の本収納の裏面はお気に入りを集めたディスプレイスペース。

階段脇の本収納の裏面はお気に入りを集めたディスプレイスペース。

事務所のある総面積約100平米の2世帯住宅。それでいてゆったりと感じられる新井邸。その秘訣は収納です。実は子ども部屋の南側にあるロフトはリビングの上部までつながっていて、超大型収納として、季節ものや普段使わないものの置き場所となっているのです。ロフトは建築面積の2分の1までは計算に含まれないということで、ロフトをうまく活用し、生活空間とは別に収納を確保したのだそうです。そのほか使いやすい箇所に収納が配置されています。

「住宅は、それまで家族が住んでいたときの持ち物がすべて配置されたときこそ完成のとき」と言う新井様。それらを包み込んで、快適にすごせてこそ、くつろげる空間だと語ります。


仕様は合理的かつ快適なもの・・・すべては好きなもの

季節の香りをもたらすエントランス周り。

季節の香りをもたらすエントランス周り。

2階まで続く南の細長い大きな窓。

2階まで続く南の細長い大きな窓。

木を多用した内装は統一感もあり、落ち着いたムード。

木を多用した内装は統一感もあり、落ち着いたムード。

お客様の希望を具体化する仕事をしているからこそ、自分の好みがはっきりわかるという新井様。仕様を決めるにあたってチョイスは一つ、迷いはなかったといいます。

たとえば壁はシナ合板、床はナラの無垢材、床暖房はガスで…という風にどんどん決めていったそうです。

そして窓。新井邸では、家の中から外を眺める位置にある窓はすべて木製サッシ。もともとエコである木を使った家作りが得意な新井様、「内装も木を使うので、窓枠も木製のほうが見た目もしっくりきます。もちろん、機能を求めるならエコガラスと思いました」と、木製サッシにはすべてエコガラスを使用。さらに住宅地の木造住宅ということで、耐火性能が保障されているタイプを選びました。「ガラスの内部に網が入っていないので、外を眺めるとき違和感がなくていいですよ」。

そして、新井邸で一番大きな窓は、玄関の正面、階段に面した1,2階にかかる縦長の窓。南側はあまり眺望がよくないということで、ここ以外の南には大きな窓を作らなかったという新井様。「窓の役割は光と風を取り込むこと。うちの場合はここから光を取り込み、1階と2階の両方にめぐらせることで十分と判断しました」。

その結果、夏の暑さはほとんど入り込まず快適、もちろん冬の結露もなく保温効果抜群だとか。

家族でくつろいで暮らす家として完成した新井家。「どんな条件でも、住む人がくつろげる家って可能だと思いますよ」。


今月の家を手がけた建築家:新井 敏洋 取材企画協力:OZONE家づくりサポート <建築家選びから住宅の完成までをコーディネートする機関です>

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