工務店・ガラス店のみなさま/スペシャルインタビュー

窓ひとつから家を変える

中林 靖貴(なかばやし・やすのり)
1972年生まれ。福岡商業高校(現福翔高校)卒業後、父の経営するガラス生産・販売・施工会社勤務を経て2004年にNIPを創業。福岡・長崎エリア~山口県と九州北部地域を商圏に、新築ビルから住宅の窓リフォーム、店舗内装リフォームまで多岐にわたるガラス施工販売事業を展開する。2011~2012・2014〜2015年AGCリグラスゴールドステイタス認定、2012年エコリグラスカップ西日本第3位、2015年リグラスカップペアスマート特別部門全国第一位。

ガラス業界の現状を直視し、抱える課題に舌鋒鋭く切り込む姿勢が印象的。その裏には高い誇りとともに自らの身を置く世界への憂慮があり、新たなビジョンを模索しつつ歩み続けるスタンスへとつながっている。

地域では、日本バスケットボール協会(JBA)公認のD級コーチライセンス・C級審判ライセンス保有者として小中学生のミニバスケットチームを指導。ひとりひとりの個性を尊重し育てる暖かいオーラに多くの子どもたちが信を寄せ集まる。「人が好き。人のために何かしたい」核となる思いは仕事でも趣味でも変わらない。一級ガラス施工技能士


エコガラスには絶対の自信あり。けれど“その先”を考える時期が来ている

事務所の接客コーナーでお話をうかがった。ガラステーブルも商品説明のスペース


相手の目をまっすぐ見て話し、説明する。「性能数値の話はできても、エコガラスの効果自体は説明できません。体感については『使ってください』と言いますね」


ガラス業界の今後について話が及ぶと厳しい表情になった。「こういう発信をすべきなのは、僕ではないんじゃないですか」今回のインタビューも当初は分不相応と固辞されたが、同郷・福岡の建材界の雄である渡辺藤吉本店よりその実績を踏まえて登場を促され、ご了承いただいた。感謝したい

──2015年、高機能ガラス『ペアスマート』の販売実績全国第一位となられました。
エコリフォームに力を入れたきっかけは。

父の会社での勤務から2004年に独立し、ビルやマンションの新築から個人住宅、店舗関連までいろいろな仕事をしてきました。
その中で自分にとってやりがいがあるのは何かと考えると、住宅リフォームやショップの内装工事といった“人と直接ふれあって話や提案ができる仕事”が好きだったんですね。これが自分のスタイルだ、エコに特化しようと思いました。

エコガラスは“いいものだ”という絶対の自信を持って使っています。
環境やエコは時代の要請であり、お客さまの「入れてよかったよ」の言葉と笑顔をもらいながら質の高い仕事ができる。新築で数をこなす仕事は無機質であまり好きじゃないかな(笑)

常に考えているのは“プロフェッショナルとしてのプライドを持つ”こと。
プロだからこそできる提案や工事、そして本当にいい製品に見合った値をつけていきたいんです。だから安売りはしないし、できない。お客さまの希望と折り合いをつけながら、お互いに「ありがとう」と言えればいいですよね。

──お客さまへの説明や工事方法の提案はどのように?

熱貫流率やU値などの数字をわかりやすく説明するのは得意です。全メーカーの性能資料を自分用に作っていますが、お客さまに見せるのは基本的にカタログに出ている数値。あとは、お客さまが何をしてほしいのかをよく考えることでしょうか。

必ず話すのが、弱いところやネックとなる部分についてです。
例えば九州で多く使われるのは遮熱力の高いグリーンのエコガラスですが、シルバーと比べるとやっぱり室内が暗くなる。そこはしっかり伝えます。明るさは人の気持ちを左右するし、そのときどきの流行もありますから。

──エコガラス関連の需要は続いていますか。

エコポイントが終わってからは問合せが減っています。ある程度まで、もう行き渡ったのかもしれません。

建物の温熱環境を良くするのは日本の課題だと思うし、複層ガラスからLow-E、その上へと、開口部をグレードアップしていくのはガラス業界の使命だとは感じています。

でも、そろそろ先を考え、発信していく時期ではないでしょうか。エコガラスの次にどこに行くのか、誰も見えていない。国も急ぎすぎ? の感があります。
ゴールがどこにあるのかを知りたいんです。

これからのガラスがどうなっていくのか、何をすれば喜んでもらえるのか。エコガラスだけにこだわらず、ガラスメーカーが先頭に立って“次のストーリー”をつきつめていってほしいですね。僕たちはサッシ屋さんの使い走りではないのですから。


工事の手元をお客さまにどんどん見せる

次々に持ち込まれる難題に取り組み、解決する作業場。何気なく置かれたバットは野球部出身のあかし。仕事に対する考え方にも影響している

LEDで青く輝くオリジナルのガラス看板が事務所入口で迎えてくれた

──お客さまの依頼内容に何か傾向はありますか。

難しい仕事が持ち込まれることが多いです。コンクリートの壁に溝を彫って、サッシなしで3m×2mの複層ガラスを直接入れてほしい、しかも外側から、とか(笑)

でも、基本的に「できない」とは言いません。これは父の教えでもありますが、自分が断った後に誰かに「できる」と言われてしまうのがいやなんですね。
お客さまとイメージを共有しながら、できる方法を探っていきます。

──ますます難しい仕事が増えますね(笑)

はい。でも、自分にしかできない仕事をやっていきたいんです。それがプロだと思うし、スタッフにも常にその自覚を持って仕事をしようと話しています。

工事にうかがうと、仕事を見ていてくださるお客さまがいるでしょう? そんなとき、僕たちは“見せる作業”をするんですよ。新しいガラスがどうおさまっていくのか、そんな部分はとくにお客さまも見てみたいようです。
見せながら話しながら、スピードは変えず、しかも失敗しないのは実は難しい。でも“見せてあたりまえ、成功してあたりまえ”がプロですから、どうぞ見てください、と。

「プロは違うね」の一言を引き出すのが大事。そこまで見せれば“このガラス屋さんは安心だ”と、お客さまはすべて預けてくれます。
施工も加工も「すごいね」と言ってもらえるレベルの技術がなければ、他店との勝負に負けてしまう。

──ご自身は一級ガラス施工技能士の腕前をお持ちです。

ガラスを切り、削るのは、昔はあたりまえでした。でも今はそれができない人も増えている。そんな中で、昔の技術を持ちながら今のやり方も知っていることは武器であり、仕事に奥行きが出てくるんです。

同様のことが設計士の世界でも起こっていて、年配の設計士さんはすごく勉強していますよ。学んで、新しいものをつくろうとしている。おかげで僕たちに持ち込まれる仕事は難しくなっていますが(笑)

技術を磨くのは野球の打率を上げるのと同じです。
プロ野球の選手は10回中3回打てば一流と言われます。でも僕たちは10回中10回成功しなければ。見せ、感動させ、そして失敗はしない。そこをつきつめるのがプロだと思います。


提案しながら、自分がワクワクする仕事を

事務所と接客コーナーを隔てるのは、くもりガラスとドットパターンを組み合わせたパーティション。「ただのフロストより面白いかと思って」日夜デザインを探究する心がここにも現れている

看板は上下にLEDを仕込むことで、通常は光が届かない小口部分も美しく光るようにしたという。ガラスのプロならではのアイディアと工夫は、異業種とコラボする際の大きな武器だろう

破顔一笑。他者とふれあい、対話を楽しむことがモチベーションの源泉

──これから先、どんなことをやっていかれますか。

自分自身がワクワクするような仕事をしたいです。このガラスをどう入れたらうまくいくのかなと思いながらとにかくやってみる。
最初から絶対できないと想定したら、面白いものはできないでしょう。
誰もやっていない、人が無理だと言う仕事を、自分の技術とキャリアを生かしてやっていきたいですね。

──意匠性の高い仕事の依頼も多いのでは?

デザイン面の提案をする機会は多くいただいています。建てた後のグレードアップ的なもので、工務店を通さずお施主さんから直接依頼がくるんです。
例えば、国内にあまり入ってきていない海外のデザインガラスみたいなものを入れたいとか、住宅のキッチンにガラス衝立てを立てたいんだけど、といった感じで。

──デザインセンスも問われますね。

試されていると思っています。だから常に流行には敏感でいたいし、かつ人と違う提案ができるようにしています。
変わったものをほしい人が増えている実感はあるので、オリジナルのデザインガラス的なものをつくったり、加工に関わりたい気持ちはありますね。機械設備などにお金もかかるのでニーズがないと難しいのが実情ですが…

いつも考えているのは、誰かとのコラボレーション。発想をもらってそこにアクセントをつけていくような仕事の機会があれば、積極的にやりたいです。オブジェや映像、LEDとガラスのコラボなんかもいい、ひとつで3つくらい楽しみがあるような。

提案しながらつくっていく、そんな仕事をしていきたいですね。


取材日:2017年4月10日
取材・文:二階幸恵
撮影:中谷正人

株式会社NIP
株式会社NIP http://www.nip-co.jp/index.html
福岡県福岡市
社員数 4名
事業内容 窓リフォーム/ガラス工事全般/ガラスフィルム工事/オーダーミラー工事/住宅リフォーム

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