木村 昇(きむら・のぼる)
1964年生まれ。大学卒業後、大手サッシメーカーで修行、1988年木村ガラス入社。2008年、代表取締役社長に就任。2012年リグラスゴールドステイタス認定店。
創業者・現会長でありアイディアマンの職人でもある父を助け、多くの職人と多様な業務を抱える会社を率いる。一級ガラス施工技能士、ベターリビング特定住宅部品取替工事管理者。
木村 眞由美(きむら・まゆみ)
1963年生まれ。高校卒業後、サッシメーカーにて6年間勤務後、1988年木村ガラス入社。夫である木村 昇社長と力を合わせ、とくにエコガラス・エコリフォーム部門のキーパーソンとして情報収集から顧客対応、見積、広報宣伝業務までを担う。迅速かつ顧客の立場に立った対応・提案とその明るい人柄に、多くの施主が厚い信頼を寄せている。ベターリビング特定住宅部品取替工事管理者。
木村眞由美(以下KM)
2009年、環境省の補助金事業があったときからです。取引のある問屋さんが販売店向けに勉強会を開いてくれ、補助金交付対象となった2軒のお客さまの工事をさせてもらいました。
戸建て住宅で1軒は真空ガラス、もう1軒はエコガラスの内窓設置でした。
KM
そのときは、まだそこまでは(笑)
当時の会社は工務店さんの下請けや改修工事、ビルサッシの仕事がほぼ7~8割で、一般のお客さまとじかに接するのはガラス修理程度でしたから。
木村昇(以下KN)
ただ、公共工事や工務店さんの下では、忙しいときは忙しく暇になるとパタッと仕事がなくなる。その隙間をどうにか埋めていきたいという思いはありましたね。
KM
一般向けのエコリフォームは未知の世界でした。お客さまとどう接してアドバイスしたらいいのか。こちらをプロと思っておられますから、それに対してどう答えたらいいのか…
KN
自分たちにもまだわからない部分が多く、未熟だったので、アドバイスが中途半端になってしまったりもしましたね。
事務所に内窓をつけて勉強したり、お客さまのところにいっては勉強しながら対応する、という感じでした。
KM
勉強会は頻繁にあり、問屋さんやメーカーさんにも勉強しなさいしなさいと言われ続けました(笑)今となってはいいきっかけになったのかな。
KM
当時集まった販売店で、今も月に一度勉強会をやっています。メーカーさんも来て、補助金やエコポイントも含めた一番旬な情報をどんどん入れてくれるので、それをチラシに反映することもできます。
私はもう4~5年通っていますが、月に一度集まるのはやっぱりなかなか大変で、今でも参加しているのは当初の半分の5店舗くらい。
みんなで同じ目標に向かって走っている感じです。情報交換もできて、知識も深められるんですよ。
KN
売上そのものでは、結構やっています。2015年のエコポイントがあったときは、2月から10月の期間で1400万円の売上がありました。
KN
ご連絡をいただくと、最初は私ひとりでうかがってサラッと寸法を測ります。それからお客さまの悩みを聞いて、こういう窓やガラスがいいですよと説明・アドバイスをし、ご希望に沿って御見積しましょうかと。
KM
見積は私がつくります。吸い上げた情報をもとに必ず何通りかつくって、お客さまの選択肢を増やしますね。それからまたお邪魔し、補助金や減税関係があればそれも合わせて細かくご説明。申請もしますよと。
やると決まったら、もう一度社長とふたりで行ったり、職人と一緒に現場を確認することもあります。
KN
やっぱり大きいですね。もともと工事はしたいけど…という思いがある方が、それをきっかけに踏み切るという感じです。
KM
大きな買い物なのに、終わってみないと結果が出ない。こういう工事は一歩前に踏み出すのが本当に難しいです。何かが背中を押してくれないと、なかなか決断できないと思います。
柏市には独自の補助金があり、エコポイントと抱き合わせで使えるのでかなりの還元率になるんですが、市は年に一度の広報誌とあとはHPに載せるだけ。こちらでチラシに載せたりしないとお客さまは全然知りません。チラシを見て、半信半疑で電話をくださるんです。
安くない買い物ですから、同じ工事をして何十万円も違うのはどうかと思うんです。経済的に大変なご事情があるお客さまなら、なおさらですよね。
いつもできるだけいい方法を考えて、補助が出る時期まで工事を待ちましょうと提案することもあります。
KM
地元で長くやっていくためにはそれも大事じゃないかな、と思っています。
KM
20名ほどで、住宅・ガラス・ビルサッシ・スチール・ステンレス・取付部門に分かれています。
KN
いつも相談しています。家によって納まりが違うので、やり方から。打合せ時点で現場に連れて行くこともあります。
こちらの考えを話すと「こっちの方がいい」とか「これはダメだよ」とはっきり言ってくれるので、逆に常に相談しながら進めますね。そうでないときれいに納まらない。
KM
します。「このお客さまはすごくきれいに住んでおられるから、終わった後の掃除をいつもより気にしてね」とか。細かいことでも、言ってあげるのと言わないのではあとで違いますから。
なるべく気がつく職人に行ってもらってもいます。
エコの工事をやると、職人のモチベーションが全然違うんですよ。
新築の工事ではお施主さんの顔が見えないので、仕事しても感謝されることはありません。だけどエコリフォームでは「ああきれいになった、ありがとう」と感謝されて帰ってくる。達成感があるんだと思います。
今日はどうだった? と聞くと、今まではしなかったいろんな話をしてくれるんです。寸法が甘かったとか現場の環境のことなど、こちらがわからなかったことを話してくれ、勉強させてもらっています。
相談したときのノリも違います。とくに内窓は家ごとに額縁が違うので入り組んでいますが「こうしよう」「どの材料を使おうか」といろいろ出てきます。
それはありますね。
職人を信頼してあげないと。見積やお金や発注関連は私たちにできても、実際に工事をして結果を出すのは彼らですから。
KM
築35年とか40年以上の古いお家の場合、寒いから内窓をつけたいとおっしゃられても、壁も床も断熱材が痩せてしまっていて思うような結果が出ないことがあるんです。
そういうお家に対して〈これだけのことをやるとこうなる〉というシミュレーションやアドバイスは難しいです。古いですからねとは言えませんし。
KN
「窓は良くなりますが、床などの断熱材は痩せていますよ」というお話は必ずします。せっかくお金を出すのにもったいないですから。
KM
ありますね。
ちょっとしたことはうちの大工さんでもできますが、大きなリフォームになるときは弊社のお客さんである工務店さんに行ってもらったりします。
そのときはお客さまに紹介だけして、うちを通さずに直接やりとりしてもらうんですよ。
KM
『知識がない、自信がない分野には踏み込まない』それがうちのポリシーです。自分たちの知識・技術がある仕事は気持ちよく受けて、それ以外は「ここは信頼できる工務店さんだから」と紹介して、あとはおまかせしています。
お客さまも直接の方がうれしいし、そこで信用していただけますね。信用されるのが、やっぱり一番じゃないかな。
KM
会社全体で見れば、私が力を入れているエコの仕事なんて全然小さいんですよ(笑)
でもいろいろ勉強すると、これから先やっぱり大事なことだからやっていかないと。この地域は既築住宅が多く、団塊の世代も多いのでまだまだ需要がありますし、他のこと以上に突き詰めてやりたいと思っています。
エコの仕事は絶対喜んでもらえるから。一番の喜びは、お客さまに喜んでいただけることなんです。