工務店・ガラス店のみなさま/スペシャルインタビュー

「妥協」の選択肢はない。それが仕事(後編)

中村由多佳(なかむら・ゆたか)
1973年生まれ。大学卒業後、自動車部品メーカーで製品の実験に携わる。父の怪我をきっかけに1998年に丸正屋に入社。2000年よりエコガラスの取扱を始める。2004年日本板硝子ガラスグランプリスペーシア大賞東京支部10位、2005年同賞7位、2006年同賞5位。2009年日本板硝子スペーシア出荷量関東圏5位、同年旭硝子エコリグラスカップインナーウインドまどまど部門全国第6位。2010年代表取締役就任。旭硝子リグラスゴールドステイタス、日本板硝子スペーシア取扱認定店。
職人の矜持と研究者のまなざしを併せ持ち、膨大に蓄積されたその知識と技術は常に惜しみなく顧客満足に向け注がれる。軽妙な語り口の裏に隠された繊細さと生硬なまでの実直さに対する周囲の信頼は、年間2000件を超える個人/法人客向け業務および多数の公共施設向け業務や建物管理会社提携業務にもよく表れている。


仕入れて、切って、加工する技術を持ってこそガラス屋

ガラス屋ならではの技術が求められない仕事だけしていれば価格競争に巻き込まれても仕方がないのでは、と危惧する。「採寸も切断もできないとしたら、淘汰されちゃうと思うんです」
父の代から続く、大和市内の集合住宅や公共施設でのガラス修理を大事にし続ける。「古い建物の修繕は細かくて難しい仕事ばかり。そこで技術が身につきましたから」

――お仕事の中で、エコリフォームはどの程度の割合ですか。

会社の間口の半分はリフォーム、もう半分はガラス修理をやっていきたいんです。

ガラス屋さんには仕事のパターンがいくつかありますが、うちでは年間業務日数の95%以上で朝から仕事があります。そこで比率が大きいのが、実は修理なんですよ。

人間やっぱり「半日だけ仕事やって終わり」ではダメなんじゃないか、という気持ちが僕の中にあるんです。売上のほかに技術を高めるという点でも、修理こそガラス屋の一番の基本。だからたくさんやりたいし、うちの職人さんにもいい腕を持ってほしいと思っています。

ずっとそうやってきて、今では「よそで断られたんだけどお宅ならできる?」と頼まれたり、町場のガラス屋さんにできないと言われた大きなガラスの割れ替えの仕事が入ってくるようになりました。
他で断られた仕事ができるか、が勝負。技術職として生き残るにはやはりそこだと思います。

ガラス屋として当たり前のことをやっているだけで、特殊な技術があるとは思っていません。ただやっぱり、毎日違う現場で状況や寸法、サッシを見ながら作業台でガラスを切っている人とそうでない人とでは、腕は絶対違うと考えているんです。

――最近はガラスを切らないガラス屋さんも増えてきていると聞きますが。

加工されたものだけ仕入れて仕事をする、ということですね。
うちからすると、それは考えられない。ガラスを切るのがガラス屋で、曲がった欄間にうまくガラスを入れるのがガラス屋の技術で、そこでお金をもらうわけです。そうでないと、完成品しか扱わない商売が破綻したときに生き残れないし、技術が何も残らない。
「ガラスを切らないガラス屋」自体が、僕は仕事の仕方として違っているのではないかと思います。

自分で「この材料じゃなきゃダメなんだ」と仕入れて、切って、加工して、そこまでやるから商売。そこに価値を見出してお客さんはお金を出してくれる。それが本質だと思うんですよ。


「職人の誇り」を胸にエコガラスを扱う

エコガラスの普及・認知のされ方はまだまだ、と考える。「どんなにいい省エネエアコンを使っても窓が良くなかったらそれは生きてこない。それを知ったときに、みんながもっと窓の方を向くと思っています」 1人で行う作業にこだわり「1人1人の技術力の高さは、生き残るための絶対的なポイント」と、従業員にもその姿勢を求める。

――エコガラスはいわゆる完成品の形での仕入れとなりますが、腕に覚えのある職人としてどのような姿勢でのぞまれていますか。

製品選びからガラスの構成、採寸、なによりも組み立ての精度が、技術の有る無しで違ってくると考えて取り組んでいます。

「組み立てなんて誰がやっても同じだよ」って言われるかもしれないけど、やっぱり違うんです。慣れている、とでも言えばいいのかな。

うちの職人さんはみんな、一週間に少なくとも180枚はガラスを入れ替えていて、窓にまつわる取り扱い作業の量は圧倒的です。しかも広いスペースで余裕を持って作業できるのは10軒に1軒くらいで、たいていは狭いところに入っていって家具を避けながら無理矢理入れる、そんなのがすごく多い。それを1人でやっています。

だから、慣れていない人が床に擦って傷をつけたりしそうなところでもスムーズに入れられる。そこに職人の誇りがありますね。

――ガラスを切らないエコガラスの仕事も、プロの技によって確かな違いが表れてくるということですね。扱いを増やすという選択もあるかと思いますが。

商売としてはもちろんもっと売りたいです(笑)
でも、エコガラスに執着しすぎると商売の仕方が少し窮屈になるんじゃないかな、とも考えているんです。


仕事は人生の修行の場。妥協の選択肢はない

辛いときはどうやって乗り越える?「今までやってきた仕事が自分のバックボーン。それを信じて自信を持つこと。あとはお袋が言ってくれる『大丈夫だよ』の一言かな(笑)」

――「直接ガラスに手をかけること」に対する、強いこだわりを感じます。

ガラス屋は社会の歯車のひとつなんです。そこで自分が十分機能して人の役に立てるなら、本当にうれしいですね。
だから窓やガラスのプロとして、徹底的に極めたいんです。仕事って、20歳から60歳までのたった40年しかできないでしょう? その中で何かを極めようとしたら、たぶん僕はひとつの分野でしかできない。技術職として考えれば。

――自分のスタンスは専門職、技術職であり、マネージャーではないという意味ですね。

はい。例えば大手ハウスメーカーで住宅を建てるとしましょう。でも、いい家をつくるポイントになるのは、実は「大工さんがどういう釘の打ち方をするか」じゃないですか。そこのレベルが高くなければトータルのレベルは上がらない。
自分はその部門を担う者として極めたい、ということなんです。

仕事は、人生の中でも主要な「修行」をする重要な場所のひとつととらえています。だからうまくいったりダメだったり、いろんなことが起こるわけで、自分はそこに「割り振られたのだ」と思っているんです。
そこで関わる人を大事にしたいし、頼られたことには責任を持って対応しなくちゃならない。家族や生活のためにもがんばらなければいけないし、仕事をしていく上で大人になっていく、そんなふうに考えています。

だから、お客さまを通じての紹介工事が多いのはうれしいですね。相談してくれた悩みを払拭できる仕事ができて、それを喜んでもらえたのかなあ、と。

――ご自身の仕事に対する厳しさは、どこからくるのでしょう。

僕ね、変な責任感とか正義感がなんだか強いんですよ(笑)一度やり始めたらやり抜きたいし、途中での挫折はあり得ない。やり続けて失敗するのはしょうがないけど、あきらめという考えは自分の中にはありません。

ひとつひとつをいい加減にせず一生懸命やって、そこに「妥協」という選択肢はない。それが仕事だと思っています。


取材日:2012年10月3日
聞き手:二階幸恵
撮影:渡辺洋司(わたなべスタジオ)
有限会社 丸正屋
有限会社 丸正屋
神奈川県大和市
社員数 9名
業務内容/各種ガラス・窓・ドア修理、窓リフォーム、その他サッシや窓に関する商品の販売・施工

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