工務店・ガラス店のみなさま/スペシャルインタビュー

ガラスを1枚入れるたび、幸せにつながっていく(前編)

新田健太郎(にった・けんたろう)
1979年生まれ。2006年、石川県のサッシ店営業部に勤務。2008年、新田建商入社と同時に「エコガラス専門」を提唱、環境に配慮した商品の取扱いを前面に打ち出し、一般ユーザー、工務店双方へのエコガラス普及をめざして積極的な取り組みを続ける。幼少よりスキーに親しみ、大学2年時にモーグル全日本チームに抜擢。その後オリンピック代表の有力候補選手として、国体やワールドカップなど国内外の大会を連戦・活躍した。雪で鍛え上げた強い精神とさわやかなスポーツマンシップで日々ガラスに向かう熱い姿勢は、会社HP内の個人ブログ「あたたかいズボンをはけ!」に詳しい。2級建築士、環境マイスター


「人としてやらねばならない」と、エコガラス専門宣言

国道バイパス工事により、慣れ親しんだ地から2ブロックほど先に新たな事務所・店舗をかまえた。取材は移転の前日。忙しさを感じさせない笑顔で迎えていただいた。
3代目社長の新田実さん(写真左)は、息子が「エコガラス専門」を打ち出したときのことを「ああ、いいね、と(笑)もとから同じ考えでしたが、文字にして人前に出すことで『そうなんだ専門なんだ!』と、改めて決心が固まる思いでした」と振り返ってくれた。

――モーグルスキーの選手として何度もワールドカップで活躍した後、家業であるガラス店の4代目として、窓職人の道に進まれましたね。

2006年に引退し、その後サッシ屋さんで2年間、営業の修行をしました。戻ったのは2008年です。

――スキーを仕事にする選択肢もあったのではと思いますが…

その考えはまったくありませんでした。小さい頃から父親が工場でガラスを切ったりするのを見ていて、自分もその仕事をするのが当たり前というのが中学生の頃からずっと頭にありましたから。

――修業先から戻られた後、お店は「エコガラス専門」をうたうようになられました。

はい、僕が「やるぞー!」って言って(笑)

――環境とお財布にやさしいガラスを積極的に扱っていく、という意思表明ですよね。

温暖化による雪不足で国際大会が中止になったこともあり、スキーをやっていた頃から地球環境の変化には敏感でしたが、実は石川県での営業マン時代に、ガラスの仕事と「エコや環境」がバーンと結びついた事件があったんです。

もともと営業は苦手でした。それを克服しながら「商売をする感覚」を身につけるつもりで勤めたのですが、売上目標に近づきたい一心で、新築分譲住宅に単板のガラスサッシを提案してしまったんですよ。
上司から叱られました。「北陸の住宅で単板ガラスを入れる奴があるか、お前は住む人の一生を踏みにじるようなことをしたんだぞ」…
僕の中で死ぬまで忘れることのない、大きな出来事です。

そのときなんです、ガラスを扱うときに「人としてやっていかねばならないこと」が、自分の中に入ったのは。

――人として、ですか。

僕らがいるのは、えらく恵まれた業界だと思うんです。自分の扱う品物によって人の人生が変わり、地球の環境にも影響がある。そう思ったら、やらなきゃならないことがあるでしょう? 商売以上に、そこが一番大きいですね。


ゴリ押しせず、自然に、エコガラスをお勧めする

自らを「基本的に、押しの強いタイプじゃないんです」と分析。エコガラス専門といっても一方的な話し方はしない。お客さまが会話の中で寒さを話題にしたり、窓の結露に気づいたタイミングでデモ機体験を勧めるなど、自然な流れを大切にする。
旧店舗の工場で、事務を担当する由起さんと。お店を支える若夫婦の明るさは、壁に貼られたスローガンにもよく表れている。

――実際の業務の中でエコガラスの占める割合はどの程度でしょうか。

会社の標準仕様なので、7割~8割は行ってるんじゃないかと。一般のお客さまへの提案は、特別な理由がない限りエコガラスです。

工務店さんの場合は、先様の予算もあるのでゴリ押しすることはないですが、ことあるごとに「エコガラスエコガラス」と伝えるようにしています。それで発注いただくこともありますね。

―― 一般のお客さまは、最初からエコガラスを入れるつもりで「専門」の新田建商さんに依頼されるんですか。

いえ、多くはご近所の方ですから「新田さんなら何か知っとるだろう」(笑)というお客さまがほとんどだと思います。大々的にチラシを撒くこともないので。

――では、一からエコガラスを説明されることも多いですね。

はい。実験装置で一発「はい、これさわってみて」と。お客さまは「ああ~!」100%そうおっしゃいますね(笑)
最初からエコガラス一手で話して、複層ガラスについてはあまり触れません。見積の段階で「もうちょっと安くならんがかねえ」と言われたときに初めて「こんなガラスもあるよ」という感じで話をさせてもらっています。

たまに単板をおさめることもありますが、個人的にはとても残念な気持ちになります。罪悪感というか、「いいのかなあ…」って思いながら工事しています。

――エコガラスで喜んでいただく場面も、たくさんあるでしょうね。

印象に残っているのは、エコガラス専門でやるぞと言ってからすぐに、真空ガラスを入れさせてもらったお客さまからいただいた葉書です。そこのおじいちゃんが「孫と雪景色を楽しみながら、雪やこんこの歌を口ずさんでいます」と。

――北陸の雪といえば、たいていの人には…

普通はいやなもののはずですよね(笑)寒いし冷たいし。そんな中でおじいちゃんと孫が真空ガラスの窓辺で「ああきれいだね」と話している、そんなイメージなんです。
今でもその葉書は大事にとってあって、見るたびに心に響きますね。


よりよく上手に伝えたい! 仕事の中身もガラスの性能も

取材時はまだ準備中だった新店舗は、家族全員が知恵を出し合って設計した。道路側スペースはガラス張りにし、ショールームとして活用する。
走っている車からもよく見える大きな看板は、業態が一目瞭然。一般ユーザーも安心して困りごとを相談できるように、との気配りが感じられる。
「たとえば網戸が欲しいと思ったとき、8号線沿いのお店に書いてあったなあと思い出してもらえるような、必要に迫られたとき頭の中にポンと出てくる、そんなお店になれればいいと思っています」

――2011年11月にかまえた新しいお店は、通りからもよく見える明るい店舗です。

メインの部分をガラス張りにしました。ここに、真空ガラスや内窓、網戸など、季節がら必要になるようなものをちょっと置いて、お客さまに見てもらえるような形にしたいと思っています。

――新田建商のショールームですね。

それほど立派なものじゃないんですが(笑)お客さまに、よりよく伝わるようにしたいなあと。

看板も工夫しました。
以前の看板は取引先メーカー名が大きく書いてあるだけで、どちらかといえばプロ向けというか、一般のお客さまが困ったときに「電話をかけてみよう」という感じではなかったんです。
新しい看板では、業態をわかりやすくしました。扱っているものをいくつかに絞って載せて、窓ガラスでもカギでも、何かが必要になったとき「そういえばあのお店にあったな」と思いついてもらいやすい、そんなメッセージを発信できるものにしています。

――「お客さまに伝える」ことに、とても心を砕いておられるように思えます。

そうですね。なんとかしてうまく伝えたい、そういう気持ちがいつもあります。
エコガラスに関しては、デモ機体験のほか、以前の事務所では引き違い窓の片方だけを真空ガラスにして、冬になれば結露の状態がお客さまとの打合せスペースから見えるようにしていました。
話しながら「あれ?」となって、その後さわってもらって、さらに「あれ??」と(笑)

別件で来られたお客さまでも、何かの拍子で結露や暑さといった話がぽろっと出たときには「ほらほらこれです」とデモ機にさわってもらうようにしています。簡単にわかってもらえますので。

――それが後になって、ガラスの交換のお仕事につながったりすることもありますか。

ありますね、やっぱり(笑)エコガラスのすごさがお客さまの中に「感覚」として残る、伝わる、というのが、とてもあるんだろうと思います。


取材日:2011年11月19日
取材・文:二階幸恵
撮影:中谷正人
(有) 新田建商
有限会社 新田建商
富山県魚津市
社員数 6名
業務内容/ガラス・アルミ建材・エクステリアの施工販売

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