窓ガラスはほぼすべてがエコガラスです。
当初から室内全体の温熱環境が安定するよう願ったご夫妻にこたえ、杉浦さんはこの家に“改正省エネ基準値以上・断熱等性能等級4以上”の環境性能をもたせました。UA値は0.55W/(㎡K)と、国内トップクラスの数値です。
ここで必須とされたのが窓や壁など建物外皮の断熱性能なのです。
「エコガラスは、黙っていても当たり前ですよね」と、以前はハウスメーカーに勤務されていたTさん。網入りガラスのほか、大開口には防犯合わせガラスが採用され、どちらもエコガラス仕様です。
壁や屋根、基礎の断熱材には発泡ウレタン等を選び、外皮全体に高い断熱力を与えました。
そしてもうひとつ、特筆したいのが“全館空調”です。
杉浦さんはご夫妻が希望していた床下エアコン設置を発展させ、柔らかいダクトホースを床下に通して環境を整えて床のガラリから吹き出す、新しい空調システムの採用を提案しました。
窓辺のガラリに手を当てると、穏やかな涼風が流れ出ています。これを各部屋のほか玄関土間・洗面・収納スペースまで設置することで、全館を空調領域としたのです。
家族の中で空調担当というTさんは「今は28℃設定で24時間稼働しています。エアコンではなく“空調”ですね。風が体に直接当たらず足元からそよそよ出てきて、違和感がない。各部屋にエアコンを置かずにすむし、夜になれば26℃くらいまで下がって、冷えすぎるくらいですよ」
取材に訪れたこの日、外気温は34℃まで上がりましたが、室内の温度計は29℃を指し湿度は47%。じっとしていれば汗もかかない状態でした。
「ちょっと動いて汗が出るくらいが、ちょうどいいと思っているんですよ」
建坪38坪の家を1台のエアコンでまかない「7月の電気代は2万円くらいだったかな」とTさん。
この夏は酷暑だったものの、高い外皮断熱性能と高めの温度設定による24時間稼働で、ランニングコストはかなりおさえられたのではないでしょうか。