事例紹介/リフォーム ビル

環境助成を使いこなせ!地域を支える企業が挑んだオフィス省エネ改修(前編)

-山形県 山形建設-

Profile Data
立地 山形県山形市
建物形態 鉄骨造3階建て(1974年竣工)
利用形態 事業所(本社社屋)
リフォーム工期 2011年1月〜2月
窓リフォームに使用したガラス エコガラス『さくらんぼ』
利用した補助金等 平成22年度第2回国土交通省建築物省エネ改修推進事業
施工 竹原屋本店

環境助成を使いこなせ!地域を支える企業が挑んだオフィス省エネ改修(前編)




地元密着企業のプライドと責任感がめざすエコ

一部を除くすべての窓にエコガラスの内窓を設置した。

未曾有の震災からの復興をめざしている東北地方。比較的被害の少なかった山形県も、みちのくの一員として避難者支援等に取り組み続けています。

山形建設は、県を代表する企業のひとつ。1916年の創業から一貫して地域に根付き、学校など公共建築から民間の建築物、道路や橋といった土木施工までを行う総合建設業として、山形の土台を支えてきました。

本業のほか、地域への社会貢献・環境活動にも長年力を入れてきた同社が今回取り組んだのが、国土交通省の助成事業に応募し採択された、自社社屋のエコ改修です。
環境時代の新たな事業の形を「地元で率先してやってみたい」という、県内屈指の企業としてのプライドと責任感に裏打ちされた取組みと言ってもよいでしょう。

パートナーは、こちらも創業100余年の老舗ガラス店・竹原屋本店です。


まずは自社社屋でトライ。環境時代の新しい提案

本社エコ改修の指揮を執った、山形建設・本間正浩営業企画部次長。
北国でも夏の暑さが厳しい山形の気候にフィットする遮熱エコガラス『さくらんぼ』。

実施したのは、社屋全部の窓にエコガラスの内窓を設置(一部ガラス交換)する工事。建物外皮の省エネ改修として「平成22年度第2回国土交通省建築物省エネ改修推進事業」の助成を受けました。

応募を提案した竹原屋本店代表取締役の五十嵐慶三さんは「山形建設の後藤完司社長とは『エコガラスは省エネの重要なポイントだね』と以前から話していました。この助成事業の公募について知ったとき『建物全体の開口部に樹脂内窓を設置することで省エネ効果10%以上をめざし、申請をしてみましょう。計算根拠を提出して無事採択されたら、ここで培った経験と実積を、事業所向けのエコ提案として今後新たにPRしていってはどうでしょうか。ぜひ、そのお手伝いをさせてください』と申し上げてみたのです」。

改修の推進役となった山形建設営業企画部次長の本間正浩さんは「工場や事務所のエコ改修自体は以前からやっている仕事です。でも、今回のように補助金をもらってというのは初めてでした」と話します。
「『こういう補助金があるから改修しませんか』というお客さまへの提案を今後の営業活動につなげて行きたい、という思いは当然あります。それにはやはり、自分たちで最初にやってみないと」

加えて社屋の竣工は1974年。「もう35、6年になりますから、お話をいただいたときにはだいぶ傷みが出てきていましたね」
環境重視の潮流にともない新たな営業ノウハウが求められる中、老朽化した自社社屋を舞台に、新しい挑戦がこうしてスタートしたのです。


通常業務を続けつつ、すべての開口部をエコガラスに

内窓設置工事の様子。通常、ひと窓30分~1時間で取付けできる。
工事は業務時間内に行なわれた。振動や騒音も少なく、仕事への支障は少ない。
耐震ブレースがあり内窓が付かない会議室の窓は、既存サッシを生かしガラスのみを交換した。

工期は2011年1月から2月までの約1ヶ月。
手前に耐震ブレースが入った箇所を除く社屋すべての窓に、Low-E3ミリ+A12ミリ+F3ミリのエコガラス『さくらんぼ』標準装備の内窓がつけられました。建物外皮全体の約17%にあたる面積です。

『さくらんぼ』とは、竹原屋本店も参画し県内のガラス店仲間でつくる「チームやまがた」が推奨する、夏暑くて冬寒い盆地独特の気候風土にフィットする山形仕様のエコガラスの愛称です。気候の変化や温度設定に敏感な郷土の特産品からその名をとりました。

業務スペースから会議室・集会室・社長室まで、鉄骨造3階建ての社屋全体が工事対象になりましたが、業務への影響はまったくなかったといいます。

この"通常業務を行ないながらの改修"について、本間さんいわく「内窓以外の機械設備が絡む工事内容だったら、よほどの事前準備や調整がないと大変でしょうね」。

施工を担当した竹原屋本店・五十嵐さんは「内窓設置は非常に短納期で、足場なしでも工事が行なえます。本間さんの段取りのおかげでスムーズにやれました。音だけは『我慢してけろ』ってお願いしましたが」と笑顔で振り返りました。

振動があったり暖房を止める必要があれば、やはり工事は業務時間外になります。いきおいコストは上がりがち。その点でも、仕事に支障が生じない窓のエコ改修は事業所にとって「効果がすぐ実感でき、熱的快適性の向上につながる、手っ取り早い有利なやり方と言えます(本間さん)」

ちなみに当事者である従業員の方の声は?「仕事中に工事が気になったことは、とくにありません」すでに内窓設置が終わり、取材時には通常利用されていた集会室についても「以前から暖房がない部屋で、朝礼時などはとても寒かったのですが、今はまったく感じなくなりました」

働く人にも優しいエコ改修となったようです。


補助金申請・獲得への高いハードル、その実際は

山形の山並みを望む3階集会室の窓。以前は凍えるほど寒かったという朝礼も、内窓設置後は快適な時間に。
本間さん(右)と竹原屋本店・五十嵐さん(左)。プロ同士のコンビネーションが補助金対象事業の座を射とめた。

この事業での国土交通省の補助金は、全事業費の三分の一以内です。
いうまでもなく小さな額ではありませんが「国のお金が出るので、もちろん一筋縄ではいかないつもりでいたのですが…」と苦笑まじりで本間さんが振り返るほど、申請から採択にいたるまでのハードルはかなりの高さだったようです。

実は応募した助成は、同事業の第2回目にあたるものでした。前年度にも同様の助成事業が行われたものの、五十嵐さんいわく「業界を通じて情報が伝わったこと自体が、かなりあとになってから。平成22年度の1回目も、あると知った時点ですでに締切まであと数日でした。応募期間が短くて、準備できないんですよね」。

しかし五十嵐さんはあきらめず、1回目を見送った後も「またあるのでは」とアンテナを張り続けました。そして2回目の公募が発表された時点で間髪を入れず「ダメ元で申請のお手伝いしてみたいんだけど(笑)と後藤社長にお話を」したのです。

これに限らず公共の助成・補助金事業は総じて募集期間が短く、告知も限られたメディアで行われるため、気づいた時点で間に合わなかったという話はよく聞かれます。
補助金獲得までの道のりには、ある種の情報戦的要素もあるのかもしれません。

申請書類で求められたのは、工事の内容や建物全体に対する改修面積の割合、さらには改修による省エネルギー効果の算定まで。
しかし、内窓設置のように"設備機器を設けない躯体(外皮)改修のみ"の場合、もっとも煩雑な省エネ効果の数値算定も「簡易な計算ができる扱いになっていました。

内窓の場合は、構造躯体(外皮)を改修するもので、エネルギー消費量の10%以上の削減が見込めるもの、というのが条件だったので、さほど煩雑ではなかったんです(本間さん)」

そうはいっても、説明会も開かれない中での初めての助成応募は「よく通ったなあ(笑)」と五十嵐さん。しかも2回目は応募件数が初回より増え、応募者の約7割が落選という、狭き門をクリアしての快挙だったのです。


省エネ改修ノウハウの蓄積が新たな営業ツールに

本社エントランス。額装されて並ぶのは、年2回掲載する山形新聞の一面広告。社屋省エネ改修の実践も、ここで広く周知された。
室温測定
工事後の集会室の室温は2月半ばで暖房なしでも15.6度だった。温度関連のほか、冷暖房用エネルギー消費量の測定も続けられる。

太陽光発電やエコキュートなどの設備機器設置と比べて簡易とはいえ、助成申請手続には建築物全体や改修部位の面積数値、さらに建物立面図の添付などが必要でした。

短い期間で記載漏れもなく書類を作成・提出できたのは、やはり建設会社としてのノウハウあってのことでは? と水を向けると、本間さんは「そうですね。竹原屋さんとうちで一緒にやってきた成果です。そういう協力関係がないと、なかなかスムーズにはいかないかもしれませんね」。

言い換えれば、今回の経験が新たなノウハウとして蓄積され、補助金を利用しての省エネ改修を考える事業所に向けての新営業ツールを獲得したということでしょう。

申請が通った後、同社は毎年2回、新年と盛夏に出している山形新聞の一面広告に、この省エネ改修実践について記載し一般に向けて周知しました。
即座に反応があり「大小あわせて4~5件くらい問合せが来ましたね。うちでもできるんだろうかって、自社ビルを持つ企業の代表の方から(本間さん)」
その中には実際に工事が始まりそうな案件も含まれ、実現の折には「竹原屋さんと一緒にやりますよ」。

地域を支える2つの企業が連携し、時代の潮流を見据えて実践した挑戦が、いま新しい仕事を生み出そうとしている…そんな瞬間に立ち会った気がしました。

山形建設の社屋エコ改修プロジェクトは現在も進行中。工事完了後も測定を続けている暖冷房用重油と電気の消費量、そして働く人々の室内環境に対する感覚の変化…省エネ効果の実際が見えるのはこれからです。


取材・文:二階幸恵
撮影:中谷正人

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