田辺 嘉和(たなべ・よしかず)
1972年生まれ。自動車整備士、長距離トラックドライバーを経て大手サッシメーカー系工事会社に勤務、ガラス・アルミ建材の加工・工事から見積まで一連の業務に携わる。1997年拓信建材商事を創業。岐阜・愛知を中心に、個人ユーザー対象の窓リフォームやエクステリア工事を手がけ、現在に至る。2011~2016年リグラスゴールドステータス認定。2013年度リグラスカップリグラス総合部門中部エリア第3位、2014年度リグラスカップペヤプラス部門中部エリア第1位。
休日は本格的なアウトドアマンの顔に。家族とともにキャンピングカーを駆り、百人規模のグループキャンプから登山、スキー、スノーボードを楽しむ。“仕事するのは遊ぶため”と会社は土日完全休。「社員が楽しく生活できないとね」と笑った。防犯設備士、増改築相談員
戸建住宅の小規模リフォームです。この地域はニュータウンでもマンションより戸建てが多いんですよ。
商圏は各務原・土岐など岐阜県内中心です。以前は愛知県にも行っていて、6年間で30万km走りましたが、やはり商圏は狭い方がお客さまの希望をより深くうかがえますよね。
窓の工事はできるだけ一日で終わらせるようにしています。ベランダや手すりなどのエクステリアでも同じ。このあたりは共働きの方が多いので、短い時間でニーズにお応えすることで喜んでもらえるんです。
ほとんどのお客さまがフリーダイヤルでご連絡くださるので、その場でアポを取り、カタログや資料、サンプルを持って直接会いに行きます。
電話はすべてこのイヤホンマイクに転送して、365日24時間受けています。
何に困っているのかをまずお聞きして、その後に一番いいものからご提案しています。
お客さまが考えているのは“暮らしの環境をよくすること”ですから「ガラスでこんなに生活が変わります」と。
ガラスって、10年後にいいものが出てもそうそう取り替えないでしょう? 今一番いいのを入れておけば、20年後も少なくとも買い替えはせずにすみますから。
以前参加した講習会で、コンサルタントの方に「割れたのと同じガラスを入れるなんておかしい。せっかくお客さまに会えるんだから、断熱でも防犯でも『今はこういうガラスが世の中にあります』と説明するべきじゃないか」と、かなり厳しく言われました。
それ以来、意識して「家を変える機会ですよ」と話すようになりましたね。
よく勉強し、うちのHPを見て「この工事をしてほしい」と希望されるお客さまも多いです。
でも、それを鵜呑みにするのは違うんじゃないかと。例えばネット上にある“内窓をつければ防音にもなる”とか“複層ガラスで防犯できる”といった間違った情報をそのまま信じておられるときもありますし。
価格で考える方は、うちには向かないのではと思っています。
金額だけでなく、きれいにちゃんとした仕事をさせていただけるお客さまとおつきあいしたいですね。定価がある以上、正当な金額で正当に仕事をしたいんです。
価格競争はいやになります。自分がどんなにがんばっても利益にならないのではね…。
ガラスもアルミサッシも定価がないような今の状況は、この業界の悪いところではないかと思います。
窓のエコリフォームでは、住まいの環境を見てそれに合ったご提案をします。5箇所は内窓、3箇所はガラス交換という感じで使い勝手を考えながら、お客さまと話をしていきます。
サンプルは使いますが、データは持っていかなくなりました。性能を表すのは難しくて、お客さまには感じてもらいにくいかなあと。サンプルも、家の中の実際の状況とは違います。
だから今は、自宅を“体感できる展示場”にしようと考えているところなんですよ。
家のあちこちで商材を使っています。リビングの窓はガラスが1枚ずつ違うし、最近では玄関ドアを一番新しいものに換えました。外壁も部分的に、お客さまにお勧めしているものを張っています。
ここでリフォーム相談会イベントを開催する機会があり、それがきっかけでした。
そんなに人は集まらなかったけれど、自分自身の“気づき”になったのです。自分の思い・考えをどう見せ、訴え、どのように表現しアピールするのか。それは結局、お客さまに対する説明・提案することと同じなんですよね。
かつては“工事に行く仕事だから実店舗はいらない”と考えていた時期もありました。
でも今は地元の方に常に対面できる、そんな会社になりたいと思っています。ご高齢の方が歩いてこられて「ガラスが割れたんだけど」と言っていただけるような。
昨年から3ヶ月に一度『まどから通信』を発行しています。1000部刷って周辺の団地に撒き、それとは別に、既存のお客さまに必ず自分で届けに行く。
こうすることで、三月に一度は必ず会うことができます。こちらから会いにいくことで、困った時に電話する“お客さまの頭の中のリスト”に残れるように。
既存のお客さまとどうつながり続けるかが大事だと思っています。
はい。
ひとつの工事が終わるたびに「次はここをやりたい」と言ってくださって、売上累計が1000万円くらいになっているお客さまもおられます。理由を聞いたら「あなたが来ると楽しいから」とおっしゃって。そういうのは本当に幸せです。
最初の工事から2年たって突然「リフォームしたいから頼む」とお電話をくださったお客さまもいました。他社との比較もせず、ピンポイントで選んでくれた。うれしかったですね。
エコガラスによるエコリフォームは、僕らの“使命”だと思うんですよ。
車で移動していて古い団地が目に入ると「やらなきゃならないこと(=エコリフォームを必要としている家)がこんなにもある、と感じます。
でもそこに住む方から連絡をもらえていないのは、アピールできていないということじゃないのか。
照明をLEDに換えるより窓ひとつ換える方が絶対に省エネになるのに、それをアピールできていない。最近、本当にそう思います。
一般の方だけでなく、建設業界内部の人でも「複層ガラスの室内側が割れたから、1枚だけ換えてくれない?」と言ってきたりするんです。正しい情報を広く伝えなければなりませんよね。これはメーカーさんにもやってほしいことです。
エコリフォームをきちんと知ればお客さまは真剣に考えたり調べたりしてくれますから、僕らももっと説明する機会をもらえる。ちゃんとしたことを伝えられるようになるんです。
足場から大工、屋根、塗装まで、家を一軒建てられるだけの職人ネットワークは持っています。
お客さまのもとに通い続けていると「キッチンが壊れたから直してほしい」といったご依頼が出てきます。せっかく言ってくださったのをお断りしたくない、だから拓信建材商事として仕事を受け、仲間を協力業者として迎えるんです。お客さまに不安を与えないよう、最後まで窓口になることにしています。
でも、僕が最初に手がけるのはいつも“お客さまの窓ひとつ”から。
「家を窓からどう変えるか」を常に考えている、“窓から何かをする”のがうちの会社です。お客さまとつながるのも窓から。窓から入って、家の中を快適に変えていきたいんです。
だからチラシも『まどから通信』なんですよ(笑)