小城清二郎(おぎ・せいじろう)
1953年生まれ。一級建築士。
大学建築学科を卒業後、大手不動産会社で集合住宅や戸建住宅の設計を担当。1998年、実家である大竹市の老舗材木商(株)小城六右衛門商店内に、建築設計部門としてリファインおおたけを開設。店長としてスタッフを束ねつつ自ら設計図面を引き、顧客折衝から施工監理まで全業務の先頭に立つ。「トータルにすべてを見ることで、"自分のもの"としての愛着を持てる。そんな家を提供したいという気持ちがあるんです」
不動産会社で主にマンションや戸建住宅のプランをつくっていました。
結構実験的なものも企画させてもらい、小規模の支店にいたときは設計以外に営業や近隣交渉まで、とにかくなんでもやりましたね。
材木の販売のほかに建築も始めるということで、家に戻ってきたんです。高齢化で地場の工務店さんが減り、自分らで仕事を作っていかなければ生き残る術がない、という状況がありました。
大竹市の世帯数規模の場合、リフォームだけではペイしないので、新築や外構の設計、造作家具まですべてやります。置かれた地域の環境や地勢によって左右されるんですよね。
不動産会社で渉外や営業にも携わった経験が、今では血となり肉となっています。
自由な開口部がいいなあとは思いつつ、木造住宅はまず構造的に合理性を持っていなければならないので、耐力壁とのからみでいつも悩んでいます。
ケースバイケース、あえていえば「バランス」ですね。壁を優先するときもあれば、他で調整して窓を自由にとることも。
単純に角を耐力壁にしてまん中に窓を持ってくるのではなく、もっと自由に、と思っています。
窓から風景や季節感を取り入れることで、家の居住性を高めることもできますね。
たとえば大竹市では、毎年11月になると宮島の上に輝くオリオン座が見えるんですよ。そんな風景を取り込む窓、「その家でしか得られない何か」が住まい手の生活にいいものを与えてくれる。
良い居住性とは、そういう「人の感性に訴えかける」面もあると思います。
永遠の課題ですが(笑)
ここ20~30年の日本の家は室内を区切りすぎたかな? と思うんです。
なのでもう少し、昔日本人が持っていた家、建具をバーッと開ければ風が抜けて、そこに家族のコミュニケーションも形となって現れる家を。
極端に言えば「昔の田の字型」で、とりとめのないような(笑)家を、気持ちとしてはいつもつくりたいな、と。もちろん、区切りたいときはいつでも区切れる、そういう感覚でね。
窓のリフォームはよくやりますよ! でも広島は気候的に寒くないので、断熱よりも「隣にマンションが建っちゃったから目隠ししたい」とか「西日を防ぎたいんだけど」といったケースの方が多いですね。
エコガラスについては、全部の部屋に使うことはないと思いますが、ケースバイケースでいろんなところに使いたいと僕は思っています。
高齢者には寒い家は無理ですよ。遮熱のこともやはり考えますね。あと、ガラスに色がついていると外から中が見えにくいし、高級感も出て今までと違って見えるでしょう(笑)
何より、住宅を省エネ的にコントロールできるのは、こういうものしかないんですよね。
エアコン等以外でなるべくエネルギーを使わないようにするにはどうしたらいいかと考えたら、庇を伸ばして日差しを遮ったり、障子をたてるといった「熱環境をコントロールする手段」のひとつとして、エコガラスは必要だと思うんです。