君山 毅(きみやま・つよし)
1960年生まれ。他業界での勤務を経て、アルミサッシメーカーでは設計業務に従事。2007年、創業者である父の後を引き継いで千代田興業代表取締役社長に就任。2010年、特定建設業の許可を受け、2015年にはグループ会社チヨテクにて総合リフォーム事業を本格化。地域に根ざす企業姿勢を貫きながら、業務の幅を広げ邁進する。
歯に衣着せず法整備の遅滞を突き、ガラスメーカーには「“素材”ではなく機能とデザインを兼ね備えた商品を作ってほしい」と注文。社内では従業員にはざっくばらんに声をかけ、年齢にこだわらない実力主義を標榜、楽しく仕事に取り組める環境づくりに心を砕く。風通し良く明るい社風は、この人の姿勢あってのものだろう
エコガラスの提案による商売は拡大化傾向にあると思っています。弊社では省エネ法施行の前から積極的に行ってきました。
新築に対してはLow-Eガラスを提案するのが常識です。ビル系では半分以上で採用されますよ。
環境保全に関する法律が整備されてきて、いろいろ変わってくる時期なんだろうと思いますね。経済産業省等による“縛り”もだんだんきつくなってくるでしょう。
住宅についても、早い義務化が必要でしょう。
海外でも複層ガラスが主流になっている中で、なぜいまだに単板ガラスの家があるのでしょうか。補助金を出してでも住まいの性能を上げさせるような政策が必要ではないか、とも思います。
建築基準法の変更も含めて、法整備はもっともっと必要ですね。
これからのビルは、大きさに応じた“エコ化率”が求められてくるのではないかな。そんな時にこそ、エコ提案のプロとして頼りにされる企業にならなければいけないんです。
関連会社『チヨテク』は特定建設業許可を受けています。業務の自由度を上げ、さらに社内技術者のレベルアップをも図ることが目的でした。
今年の春からは新たに社長を迎え、住宅もビルも手がけるリフォームのプロとして本格的に始動しています。
窓だけでなく、環境を考えた全体的なリフォームもできますよ、ということですね。
リフォームって訴訟などの問題が起こりやすいでしょう?トラブルの原因は、お客さまのニーズ把握と一貫した施工監理ができていないからなんです。フランチャイズだとどうしてもそうなる。
地域の特性などに関する知識のない方が都合のいい提案のみを行い、いざ着手したら予算がない、だからできない。もしくは茨城弁で言う“おっつけ仕事”(笑)になってしまうんです。
それを解決するために、地域に根ざす企業としてチヨテクをつくりました。
工務店さんや大工さんと情報共有・連携しながら“協業・協働”できるスタイルをめざしています。
提案から見積・材料供給・工事監理・施工まで、地元の大工さんと一緒に仕事をし、人が足りなくて工事の受け皿になれない地元のゼネコンさんの手助けもします。困っているところに手を差しのべる感じ。
地域密着でやりたいんです。ガラスだけでなく、防水や塗装、設備関連まで、地元ならではのネットワークを活かしながら受発注し仕事をすることで、WINWINの関係を築きたいですね。
いいものが出てきたら、まず自社で使いたいです。お客さまに見ていただきたいから。机の上だけで「これはいいですよ」と言われるより、実際に経験することが一番重要ですから。
ほかにも太陽光発電パネルの設置や、トイレのLED照明もありますよ。 お客さまに来て見ていただいて「こういうの、いいね」と感じてもらう ためです。
お客さまだけでなく、社員が自分で見てさわって感じることも大切ですね。
エコリフォームを普及するには、常に言葉を発すること、いろんなところに行って話をすることこそが重要だと思っているんです。
「建物のエコ化が始まりますよ」「省庁からの縛りがきつくなりますよ」「やるなら今でしょ」…そんな話を、営業担当者が日々の会話の中でごく自然に話せば、違ってくるはず。
“世間話”になるようにエコを発信することです。
百万円の費用をかけて大々的にアピールし、百万円の仕事をして十万円の利益を得るのではなく、家庭を守る奥樣方ひとりひとりがなにげない会話の中で「ガラスを換えると結露しないのよ」と話すようになる…そんなイメージをもって、常に発信していくのが大事ですね。
社内でのPDCAサイクル構築や、グループでの勉強会とその成果を随時発表する場を設けています。若い営業担当者も多く参加していますよ。
3年連続で新卒者を採用しています。若い世代を育て、夢を持ってもらいたいんです。
人の暮らしに欠かせないのが衣食住。その中の“住”の仕事である建築に携わり、形になって残る仕事ができる喜びを感じてほしいですね。
“喜びがある”とは、“物事を継続して考えられる”ということでもありますから。