藤井功貴(ふじい・こうき)
1985年生まれ。専門学校卒業後家を離れ、東海地方で別業界の営業職として働く。2006年、疎遠だった父(創業者藤井政敏氏)との対話を機に家業を手伝うことを決心。同年藤井建業に入社。現在はリフォーム事業部の要として日々現場を飛び回る。熱く誠実に仕事に取り組むその姿勢に、施主からの「担当が藤井さんだから頼んだ」の声も多い。増改築相談員
同社は2006年の日本建築仕上学会学会賞・技能賞をはじめ、外壁材メーカー主催のリフォームコンテストにおいて改修工事部門でコンスタントに受賞を続けている。2015年、平成27年度経済産業省『先進的なリフォーム事業者表彰』受賞
年間1000棟くらいの新築住宅外壁施工を請け負っています。そのほかに独自受注での既存住宅の外壁改修が年100棟ほどありますね。主に札幌・北広島・恵庭・千歳・苫小牧エリアが商圏です。
専門会社としてまず“外壁をいかに長持ちさせるか”が基本にあります。北海道の住宅は室内と室外の温度差が大きいので壁内結露が発生しやすく、木の下地材や断熱材が腐食・劣化して外壁にもダメージを与えるんですね。
そこで『外壁通気構法』が大事になってきます。
はい。通気構法向けの24mm厚・欠込み付きオリジナル下地材も開発し、自社で直接請け負う外壁リフォーム工事に使っています。
創業者である社長に「こういう施工はいい、これはダメ」という考えが明確にあり、そのうえで「やっている人がいないならうちでやろう」というスタンスをとり続けてきました。
一般のお客さま向けのリフォーム事業は、1995年立ち上げです。
リフォーム事業部立ち上げとともに「新しいことをやろう」となり、外壁改修を承ったお客さまからの「剥がすついでに断熱もお願い」というご依頼を思い出したのがきっかけです。
そうですね。個人のお客さまから直接仕事を受けるようになったことも要因としてあると思います。
最初は工務店さんより知識も浅かったので、新しいスタイルを探しながら黙々とやってきました。
「正しい施工をすれば健康を維持できる」という面があると思います。
通気構法を取り入れた外壁改修は内部結露をなくし、下地材の腐食や腐朽菌・カビの発生を防ぎます。断熱改修で家が暖かくなるのと同様に、住まいを快適・健康的に保てるんですね。
傷みの原因を追及して元から断つこと。見た目だけ化粧して意匠性をよくしても、中身に腐食が隠れていたら建物の状態はよりひどくなります。サッシが歪んでからでは費用も高くつきますし。
見えないところこそきちんとやっておかなければね。見えるところは誰でもすぐ気づきますから。
Low-Eガラスの採用は100%。予算次第でバリエーションの中から選びます。
サッシの下には水切りをつけますね。外壁の汚れや劣化につながる“伝い水”を防ぐためです。
外壁でも窓でも、工事後に違いがわかることが大事だと思っています。“直った”ではなく“よくなった”でなければ意味がない。変わっていなければダメなんです。だから、現状と同等の性能のものは提案しません。終わった後に感動があるのが大切です。
窓を改修した後「今年はあまり暖房をたかなくても家の中あったかいよ」と言われたら、それがいちばん嬉しいですよね。
一般のお客さまを対象とするリフォームでは、外壁だけでなくキッチンや建具、設備機器といった住宅内部まで、現場での経験と商品知識をもとにプランニング・ご提案しています。
外壁改修のご依頼が9割ですが、打ち合わせでお話を聞き、家を見せていただく中で不満や悩みを拾い上げて。社内もみんな勉強して、リフォームを始めた当初とは雲泥の差(笑)と思えるくらい、室内の提案もできるようになっていますよ。
外壁の張り替えに合わせ、色あせした古いサッシごと新しい窓に変える工事が多いですが、性能面では室内での“体感”を目安に提案します。
断熱の知識についてはマッサラなお客さまが圧倒的に多いので、数値や熱貫流率の話をするよりデモ機で体験していただくのがメインですね。
ただ、いろいろなご依頼があっても、現場を見て「まだ放っておいていいですよ」と申し上げることも少なくないです。
“無駄な提案はしない”というスタンスです。
うちは営業マンをおかない“一現場一担当”体制で、ひとつの現場にお客さま対応から実測・見積・現場の段取り・おさまりまで一貫してひとりの担当者がつきます。すべてを把握し、お客さまにとってよりよい提案をすると、ときには「あと3年は大丈夫ですよ」となる場合もあるんですね。
そのお客さまが3年後に「3年待ったよ、見てくれる?」と本当に来てくださる。こんなに嬉しいことはないです。
“売るのは商品ではなく技術である”と常に考えています。
商品知識だけでなく、今までこなしてきた現場の知識と技術が私たちにはある。売っているのは商品ではなく、それを備えつける技術なんです。
商品の説明はできても「じゃあどうやってつけるの」と聞かれてハテ? ではダメ。おさまりの説明ができなければ。
常に悩み、壁にぶつかりながらのご提案です(笑)
お客さまにとってどこがツボなのか、何にお応えしたら喜んでいただけるのかを探さなければならない。現状把握の力をつけていく道は、果てしないと思います。
人間相手である以上、ある意味で提案には正解がないとも言えます。
さらに、人を見るお客さまに対しては別の努力が必要ですよね。そこにはテッペンというものは絶対にないし。
そのとおりです。それだけに「担当が藤井さんだったから頼んだ」と言っていただけるのは感無量ですね。
すべてのお客さまから、この言葉をいただけるようになっていきたいんです。