米田泰士(よねだ・やすし)
1980年生まれ。二級建築士、一級ガラス施工技能士。
昭和24年創業のヨネダ商店三代目として2003年より代表。西日本エリア屈指の売上高を誇るエコガラスのトップランナー。インターネットを駆使した機能ガラスの販売・施工事業のほか、NEDO、SII等各種の断熱リフォーム補助制度の活用に積極的に取り組む。関西リグラス温暖化対策地域協議会会員。素顔は家族思いのさわやか青年、関西のグルメ情報満載の個人ブログも魅力。
ガラスの現場一本でやってきた父が、12年前に病で亡くなる前に残した「店を頼む」の思いを受け取りました。今は母と妻と自分の3人を中心に、一般のお客さまに向けて小さくコツコツと仕事をしています。
僕は惚れちゃってるんですね、エコガラスに(笑)こんなにええもんはないって。
店を継いだときは景気が悪く、仕事を教えてくれる父もいなくて、どうやっていけばいいのか、いつも何かを探している状況でした。
一方で防犯ガラスのブームがあり、たまたま大きな現場があった4年前に売上が関西4位になりました。そのとき出席したメーカーの式典で少し意識が変わったんです。
それまで、同業者とは「どうですか」「いやあダメです」という会話しかなかった。でもそこで出会った優秀なガラス屋さんたちは、誰一人そんなことを言わなかったんですね。
それに刺激を受けて「何か自分の店のカラーを出さないと」と思った時期にエコガラスが出回り始めて。遮熱エコガラスのサンプルを見たとき「これほどわかりやすいものはない、これで行こう」と決めました。
最初はどうやってエコガラスを売ればいいのか全然わかりませんでした。いいのは実感しているのに、売り方も値段設定もわからない。
そんなときに、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の断熱リフォーム補助金制度が施行されたんです。
僕がピンポイントで売りたかったエコガラスが対象ですから、待ってましたと店のHPに情報を上げて(笑)すると3件くらいパッと問合せがあります。当時のNEDOは本当にマイナーだったので、補助金申請=決定という状況でした。
加えて、関西圏でNEDOの申請手続をやっている方がいなかった。問屋との付き合いがある何百ものガラス店の中で、ほぼうちの店だけだったんです。
お客さまへの細かい説明とか、書類を書かなきゃいけないなどいろいろ面倒なことがある、というのがあったようですね。
僕は自宅でもエコガラスをつけていたし、そこできちんと説明できることも大きかったみたいです。
そうやって来てくださるお客さまに、本当に多くを教えていただきました。
NEDOを希望される方は大抵こだわりをもってはるので、色やエコガラスの種類、工法まですでに決めているわけです。
サッシの色を額縁ではなく壁のクロスに合わせた方がいいときもあるとか、型板ガラスの窓につける内窓も透明ではなく型板にして古いガラスを見えないようにしたいとか、僕の発想にはないことをたくさん教わりました。
本当にそのとおりです。
ただ問題は、NEDOの制度がなくなってしまったんですよ。すでにインターネットでエコガラスしか売らなくなっていた僕はご飯が食べていけない(笑)これはどうしたものかと。
旭建硝の中西繁樹さんの講演を聞いたとき「あそこに立っているのは未来のオレや」と(笑)めざすべき道はあそこにある、と思ったんです。
そうです。しかも講演では、環境省が地域協議会経由でおこなう断熱リフォーム向けの補助事業についても話をされました。
その場で名刺交換させてもらい、後日お店を訪ねて、半日くらい思いのたけをしゃべり続けました。
自分が作ったHPを見せ、完膚なきまでに論破されて(笑)
そこで教わったのが「お客さまの悩みにお客さまの目線でこたえて解決することが僕らの仕事だ」という考え方です。100%お客さまの目線でとことんやって、最後までそれを貫く…自分の中でそう決めて今に至る、そういう感じですね。
たとえば見積でお邪魔するときは、エコガラスのサンプルなど持てる限りのものを持ち、すごい荷物でいきます。それを外に置いてお客さまに説明し、質問が出たら答えるためのものを取りにいってまた話す。2時間くらい出たり入ったりして説明します。
工事後に問題が出てきたときも、とことんやります。
以前、建物の湿度が高すぎてエコガラスでも結露が止まらなかったお宅がありました。
お客さまと一緒に話し合い、いろいろ調査もし、2ヶ月かけて窓が原因ではないことを確認しました。
そのとき、お客さまが最後に言ってくださったんです。「誠意を見せてもらい、100%お客さま目線という君の言葉を実感して納得した。これからは誰に対してもヨネダ商店が一番だと宣伝させてもらう」。
涙が出るほどうれしかったですね。
お客さまの方を向き、お客さまのために仕事をするのは当たり前なんです。でも、そのことをお客さま自身に感じてもらえなかったら、それは僕の考える"100%お客さま目線"にはなっていない。
お客さまに100%信頼してもらえたとき、そこには"値段ではないもの"が生まれる。そう思っているんですよ。