加藤秀与(かとう・ひでよ)
1967年生まれ。(株)加藤硝子店 代表取締役。
大手IT企業技術職を経て、18年前に家業の硝子店三代目として仕事を始める。防犯設備士・錠施工技師・建築施工管理技師などガラス関連以外にも多数の資格を保有。大学の専攻はロボット工学、勤務先では人工知能の開発を担当し「変わり者のガラス屋だと思うでしょ(笑)」
メインはチラシで、月1回の新聞折込とポスティング。ユニフォームの色と合わせたピンクチラシです(笑)2万部くらいかな。
それ以外に、リフォームの見積や実際に工事をさせてもらったお客さまには、定期的にお手紙を送っています。
最近ジレンマになっているのが、お客さまが「モノとして窓を考えた時」の価格イメージです。40インチのテレビがいくらで買えるのに、どうして窓ひとつが15万するの? という。物価の感覚として窓はもっと安いんですね、おそらく。
チラシやお手紙で「窓を換えると、実はこれだけ違うんですよ」という情報を少しずつ提供し続けています。顔をつき合わせて話すより、徐々に認識していってもらう感じ。
チラシはけっこう取っておいてもらっているようで「2年くらい前のチラシに書いてあった内容だけど、まだやってますか」と問い合わせてくださるお客さまもいますよ。
ひと現場をひとつの商品でおさめないことかな。窓の向きや大きさ、形状の組み合わせでそれぞれいい商品があるじゃないですか。だから一軒のお宅にいろんなメーカーの商品が並んで入っちゃうこともありますね。
窓以外にもなんでもやります。必要なら大工さんや左官屋さんと組んで、外壁を切ったり額縁をやり直したり左官を塗ったり。窓の仕事で行ったのに、いつのまにかキッチンのレイアウト変更してたりとか(笑)
そう、ピンクのボタンダウンシャツがずっとうちのユニフォームです。
ガラス屋さんは必ず家に上がる仕事だし、僕たちは作業員兼営業なんだから、きちんと襟のついたシャツで行こうよって。毎シーズンごとに半袖長袖とつくっています。
数年前まで、ここで額縁や絵の販売もしていたんです。額装やガラスの修理も受けていました。
部屋という環境を居心地のいいものにしていくリフォームにまで仕事を広げていけたらと、日々模索しています。くつろげる部屋をつくるひとつのパーツとしてエコガラスがある、そんなことができるといいなあって。
お客さまの隣にパートナーとして居て、空間も設備もきちんと考えて人を動かす。住まい手にとって居心地のいい空間と住宅の性能を組み合わせてベストな空間をプロデュースする。将来的には、そんな立ち位置を取れたらいいと思いますね。
住まい手が大事にしてきたものを残しつつ、耐震や省エネといった基本性能を出し、使い続けられるようにするのが住宅リフォームの理想だと考えていますから。
最近はスケルトンリフォームの流れになってきているけれど、僕はそこに住んでいる人の思いを大切にしたい。残したいものを壊さずに直す、そうでなくちゃいけないよね。
そういうところにこそ、お客さまはお金を払ってくれるんじゃないかと思うんですよ。
きちんと建った古い家に、時代に合うよう手を入れて、住む人の思い出はそのまま残す。
もっとプランニングの力をつけて、常にお客さまの側に居て話をしながら…いずれはそういう仕事をしていきたいですね。