加藤秀与(かとう・ひでよ)
1967年生まれ。(株)加藤硝子店 代表取締役。
大手IT企業技術職を経て、18年前に家業の硝子店三代目として仕事を始める。防犯設備士・錠施工技師・建築施工管理技師などガラス関連以外にも多数の資格を保有。大学の専攻はロボット工学、勤務先では人工知能の開発を担当し「変わり者のガラス屋だと思うでしょ(笑)」
以前はご近所の割れ換えや、工務店さん・管理会社さんの工事を請け負う「普通の単板売りのガラス屋さん」でした。 4年ほど前からエコガラスを扱って、直売分ではもう8割くらい。お客さまはほとんど一般の方になり、売り方も変わりました。
エコガラスの工事は、原状回復・修理じゃなくて「グレードアップ」なんですね。お客さまに「前とこんなに違うんだ」と満足してもらえる仕事ができる。そこが一番いいところじゃないかなあ。
しかも、工事が終わった後も、お客さまと息長くおつき合いできるんです。
半年、1年経ってから「この冬はどうでした? 不具合はありませんか?」とアンケートやお手紙を送り、返事がいただける。それがうれしいですね。
「最初は高いと思ったけど、やっぱり換えてよかったよ」なんて言ってくださるお客さまもいます。年賀状もたくさんいただくようになりました。
お客さまのライフスタイルを大切にして、きちんと会話することですね。
窓リフォームは長い目で見るのが大事なので、あと何年住むのかという話もします。
築25年で古いサッシがついている家でも、まだ15年暮らすなら「この窓だけ思い切って全部換えませんか」と提案するし、5年でつぶすなら、また変わってきますよね。
はい。
エコガラスの説明では「赤外線を何十%切ります」ではなく「日差しの中の暑くなる成分の半分くらいがこのガラスで入らなくなります」という言い方をします。
換えた後どうなるか、をお客さまにわかる言葉で話し、専門用語は禁止。一般のお宅にお邪魔する以上、必然的にそうなりました。
きちんと話を聞き、そんなにいいものがその予算でできるならお願いする、と言ってくださるお客さまは多いです。
でも、やはり相性もありますよ。質よりも価格を優先にお考えの方もいらっしゃいますから。
展示会などのイベントに来場した方と話すのも好きなんです。
いろんな意見が聞けて楽しいですよ。「割れてもいないガラスを入れ換えてどこがエコなんだ」とか(笑)
売る側とは違う観点や興味があるんですね。
そう言われたらこっちもエネルギーコスト改善の数値を調べるじゃないですか。そして次には「これだけ違います、さわってってくださいよ」って言える。いろいろ聞かれるのは勉強になりますよ。そんな感じで話が進んで、仕事になったこともあります。
ご自分の家のことをきちんと考えるお客さまが増えた気がします。「ガラスが割れたから直して」ではなく、「定年で家にいる時間が増えるから、もう少し居心地よくするにはどうしたらいいの」というような方々。
そんなお客さまに、自分がいいと思っていないものは勧められないでしょう? エコガラスのほうがいいのに、相手の懐具合を見て「ここはペアガラスでいいんじゃないですか」という話はできないですね。エコガラスが良いとしっかり話した上で予算的にお客さまがペアを選ぶなら、それはいいと思うんです。反対に単板でいい場所ならそう提案しますし。
お客さまと長くおつき合いできるのが、僕にとっては一番。だからきちんと会話をして、嘘をついちゃいけないんです。