-愛知県・Y邸-
立地 | 愛知県一宮市 |
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住宅形態 | RC 10階建マンション (2000年竣工) |
住まい手 | 夫婦 |
リフォーム工期 | 2013年(全棟で約14日間) |
窓リフォームに 使用した主なガラス |
真空ガラス |
利用した補助金等 | 平成25年度 住宅エコポイント |
愛知県北西部に位置する一宮市は、木曽川を挟んで岐阜と隣り合い、濃尾平野の一端を担うまち。夏は高温多湿、冬は伊吹山から吹きつける冷たい風で気温は氷点下にもなるという、寒暖の差が激しい地域でもあります。
訪ねたYさんの住まいは、市内中心部に建つマンションの一角です。この建物では2013年、41ある住戸の南向き窓をエコガラスに換えるエコリフォームを行いました。
「結露がひどくて、ベタベタでした」当時、修繕委員長を務めていた現管理組合理事長のYさんは、全棟一斉改修を決断させた困りごとをこう振り返ります。
結露や寒さに悩み続けていた中で、4年前にエコガラスの存在を知り「最新の技術を導入して問題を解決し、マンション全体のクオリティを上げたい」と、管理会社の担当者に相談したのです。
マンションでは窓は共用部で、住まい手独自の判断だけでリフォームすることはできないのが普通です。工事をするには、住民で構成される管理組合の承認をとったり、管理規約の改訂などが必要になってきます。
これを踏まえ、管理会社は住民に向けたエコリフォームの説明会を計画しました。
講師としてやってきたのは、愛知エリアでマンション全棟のエコリフォームをいくつも手がけてきた(有)伊藤硝子の伊藤健一さんです。
説明会は、管理会社ではなく“ガラスのプロ”が住民に対して直接、話をする場になりました。
伊藤さんはオリジナルの資料や体験用デモ機も持参して、結露や寒さに対するエコガラスの断熱効果を説明。聞いている住民から出てくる質問にも対応し、住まい手側の不安をその場で解消していきます。
その後、管理組合は理事会から提出された改修案を了承し、ここに全棟一斉のエコ改修が決定しました。
改修工事で採用されたのは、エコガラスの一種である真空ガラスです。
工期は2週間ほど。マンション内の全住戸で、リビングダイニングとバルコニーを隔てる大きな掃き出し窓がエコガラスに取り替えられました。
大規模修繕の一環として行われる工事のため、費用は管理組合の積立金から出ています。さらに当時国土交通省が行っていた住宅エコポイント制度にも申請し、交付対象となりました。
いくつかの住戸では、この工事と並行しオプションの形で別のエコリフォームもなされたといいます。5つの世帯が希望し、共用廊下側にある部屋の窓にエコガラスの内窓をつけたのです。
目的は主に防音。マンションにほど近い位置に救命救急センターをもつ病院があり、救急車が頻繁に通行します。そのサイレン音への対処を望んだのでした。
これとは別に、Yさんの住まいではすべての窓を真空ガラスに交換しています。
Y邸は角部屋で、南側バルコニーのほか東面に5つ、北側にふたつの窓がある明るい住戸です。その一方で室内は外気の影響を受けて冷えやすく、結露対策も大変でした。
自身が性能を確信したエコガラスで全開口部を断熱し、自邸全体を快適にすることをYさんは選んだのです。
Y邸でエコリフォームの対象となった窓があるのは、バルコニー以外に東側はダイニング・キッチン・寝室・浴室そして奥様の部屋。北側では二面採光の奥様の部屋のもう1枚と、Yさんの自室です。
エコリフォーム後の窓や室内の状態はどうですか? の問いに、Yさんいわく「このリビングダイニングスペースで、暖房は電気ファンヒーターひとつになりました」
隣接する対面式キッチンのほか、襖を取り払った6畳の和室も含む広い空間が、小さなヒーターひとつで暖められているといいます。
以前はつくりつけのエアコンに加え、ガスヒーターやオイルヒーターも一緒に使っていたそうですが「今はエアコンすらいりません」
もちろん、結露も解消されています。
南の掃き出し窓からは日差しがいっぱいに入り、エコガラスの断熱力がこの熱を外に逃さず保っています。取材日は12月初めでしたが、この日は無暖房でも室内は快適でした。
このマンションでは現在、大規模修繕の一環として共用廊下側のすべての窓にエコガラスの内窓を設置することを検討しています。
今も続く結露の悩みを住民みんなで解決して、より快適に暮らそう。「最新のものを使ってクオリティを上げたい」というYさんの思いが、もう一度形になる日も近いかもしれません。