-東京都・K邸-
立地 | 東京都葛飾区 |
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住宅形態 | RC造7階建マンション (1995年竣工) |
住まい手 | 夫婦 |
リフォーム工期 | 2017年2月(1日間) |
窓リフォームに 使用した主なガラス |
エコガラス(内窓) |
利用した補助金等 | 《個人住宅用》かつしかエコ助成金 |
江戸川と荒川、2本の河川に東西を挟まれた葛飾区は江戸時代から多くの用水路が走り、お江戸の経済を支えた水のエリアです。下町情緒を楽しむ人々でにぎわう柴又帝釈天や堀切菖蒲園も、この頃からすでに庶民の憩いの場でした。
Kさんご夫妻の住まいは区の西寄り、細い路地を進んだ中に建つ7階建マンションです。1995年の竣工から暮らし続ける中で、窓の結露に悩まされてきました。
迎えてくれた奥様は「ひと窓でタオル3枚分ですよ! 毎朝、出勤前に拭いてまわっていました」一週間分の結露用タオルをストックしておき、休日に一気に洗濯した、と話してくれました。
エコガラスの内窓をつけたのは、2017年2月です。ずっと我慢しながら、なぜこの時期だったのでしょう。
「二重窓の効果は知っていました。埼玉県に住む姪の家の窓が複層ガラスで、まったく結露がなかったので。ただ、後からつけられると思っていなかったんです」
きっかけは、ポストに入れられた一枚の紙でした。
エコガラスの内窓による結露・寒さの改善と、葛飾区のエコリフォーム向け補助金について書かれたチラシです。お隣の墨田区で窓ガラスから住宅設備の改修まで手がけるリグラスショップ・ウチヤマがポスティングしたものでした。
22年目にして“断熱力の高い窓ガラスを後づけできる“ことに加え、“居住区独自の補助金がある”ことを知ったご夫妻は、苦しめられてきた結露を撲滅すべく動き出します。
「補助金の詳細はインターネットで調べ、ウチヤマさんがどんな会社なのか知人に聞いたりしました。工事についてはホームセンターの見積もとって、相見積に」
最終的に以下の3点が決め手となり、おふたりはリグラスショップ・ウチヤマに工事を依頼しました。
インターネット全盛の現代、パソコンのキーを叩けば、工事を請け負ってくれるお店は無数に出てきます。そんな中でご夫妻が挙げたこの3ポイントは、とくに“価格よりも工事の質や安心”を重視する際に、参考となるのではないでしょうか。
リフォーム対象としたのは寝室と書斎。窓は計3箇所です。
リビングダイニングにもシングルガラスの掃き出し窓が2箇所ありますが「ここは結露しません」
ベランダに続く開口部は真東を向いており、よく当たる朝日のおかげで窓は露を結ばないといいます。
その一方で寝室の北向き窓は、K邸最大の結露箇所。就寝中の夫婦ふたりの呼気のほか、ノドを保護するために加湿器をつけて休むため、起床時に目にする結露は激しいものでした。
「まわりの壁紙がカビたり、木製の窓の額縁が傷むだろうと、とても心配でした。外のベランダにも毎朝大量の水が流れ落ちていて気になりましたね」
西と北に窓があるKさんの書斎も、水分を多く発生させる石油ファンヒーターを使っており、結露の状況は同じでした。
工事した3箇所のうち2箇所は掃き出し窓で、ベランダへの出入り口になっています。
実は掃き出し窓をエコリフォームする場合“開け閉めの手間が倍になる内窓は不便”と、ガラス面だけエコガラスに換える方法を選ぶ人が少なくありません。
Kさんご夫妻はどうだったのでしょうか。
「面倒だとは思いますよ(笑)」と奥様。「でも、内窓にすればガラスが合計3枚になるでしょう? 効果が高まると考えたんです」
リグラスショップ・ウチヤマの海老原 僚さんは、工事前には内窓とガラス交換双方の長所短所を説明したと振り返り「内窓の設置は気密性も上がるし、防寒や防音の効果も高くなります。既存のサッシにはやはり結露がつきますしね」と、内窓のメリットを話します。
工事会社を選んだときと同様、エコリフォームにあたってのK邸のスタンスがここにも現れています。“使い勝手以上に性能を優先したい”という考え方が、内窓を選択させたのです。
そんな施主に、施工側も誠意を持って応えました。
K邸の内窓には、室内側への張り出しがありません。もとからあった窓の額縁にすっぽりとはまっているのです。
「工事する場合は、できる限りふかし枠を出さないように検討を重ねています」と、海老原さんは胸を張りました。
奥様も「ホームセンターで採寸してもらったときは『ここに5mmくらい出っ張りが出ます』と言われたんですよ」とにっこり。
工事の“質”の相違は、こんな面にも現れているようです。
たった2時間で終わったエコリフォーム、効果はどうだったのでしょう。
「結露は、木部の傷みが心配なのでさっと拭きますが、それだけ。以前よりも全然負担にならなくなりました。外窓はまったく結露しませんね。ベランダに水が流れませんから」
省エネ面にも効果が現れています。
「ファンヒーターの石油消費量が少なくなりました。タンクに入れる回数が違うんです」
設定温度は工事前の20~22℃から変えていないといいますから、二重になった窓から暖かい空気が逃げなくなり、うまく室内に保たれているのでしょう。「すごく暖かいですよ」
結露の心配がない夏期にも、良い出来事がいくつも起こっています。
書斎にふたつのエコガラス窓を持つことになったKさんは、実は“嫌エアコン派”。真夏でもリビングからの冷気を扇風機で取り込むだけでよしとしているといいます。
そんなKさんいわく「工事してから、同じ室温なのに感じ方が違いますね」
取材に訪れた日、都内は最高気温約34℃の真夏日でした。書斎はいつも通り扇風機のみ、室温は30℃です。ところが、確かに暑いものの、そこにいた誰もが「30℃って、もっと暑いんじゃないかなあ」と感じたのです。
Kさんの言葉に一同思わず納得。窓から入り込もうとする外の熱気が遮断されていることを、温度計の数値以上に“人間の感覚”はしっかり認識しているのかもしれません。
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Kさんご夫妻が選んだのは、一番大きな困りごとだった“結露”の解消に特化したピンポイントリフォームです。工事後も暮らしぶりは変えず、日によっては家じゅうの窓を開けて風を通します。
それでも悩みは解決し、省エネが実現され、住まいの快適さはアップしました。
手に入れたガラスと補助金の情報を逃さず、予算を考え、気負うことなく必要なだけの工事をする。賢くてシンプルな等身大エコリフォームがさわやかでした。