事例紹介/リフォーム

プロとの出会いで
納得の内窓リフォーム

窓から快適、リフォームレポート -千葉県 I邸-

Profile Data
立地 千葉県柏市
住宅形態 RC5階建集合住宅
リフォーム工期 2015年8月(1日間)
窓リフォームに使用した主なガラス エコガラス(内窓)
利用した補助金等 柏市エコハウス促進総合補助制度
省エネ住宅ポイント


32年の公団分譲住宅に内窓を

年月を経た中低層集合住宅群は、住棟配置もゆったりしている。住まう人々が積み重ねてきた暮らしの歴史が落ち着いた空気を醸成しているようだ
リビングと寝室、ふたつ並んだテラス窓。少し西に振れているため、西日は長い時間射し込んでくる
リビングの内窓は、もとからあった枠の上にそのまま載せた。下部を木で補強し、できた隙間にテレビのコードを通して隠している。現場の職人さんのアイディアだ

年月を経た趣ある建物が建つ敷地内は広々として緑が育ち、昔から知っているご近所さんと頻繁な付き合いがある…そんな集合住宅が、日本の都市部には少なくありません。

Iさんの家もそのひとつ。32年前に建てられた公団の5階建分譲マンション最上階で、ご夫婦と愛猫の3人で暮らす住まいです。2014年には大きな内装リフォームを行いました。

エコガラスに出合ったのは、その1年後です。
長い間、冬場の激しい結露に悩んでいたところへ、同じ敷地内で先にエコリフォームした友人から「すごくいいよ、って言われて、ああそうなんだ私もやりたいなって。朝から家じゅう拭いて歩いていましたから」

工事を請け負ったのは、同じ市内で50年以上ガラスやサッシ、アルミ関連などの施工を続けてきた木村ガラスです。寝室とリビングにある南南西向きのテラス窓と、北東の和室にある掃き出し窓にそれぞれエコガラスの内窓をつけました。

窓の手前にもうひとつ窓がつくのはどうでしたか? の問いに「全然気になりません。もともとカーテンボックスがあったので」とIさん。
担当した木村ガラスの木村眞由美さんは「リビングの窓はもともと下枠があって、立ち上がっていました。そこに内窓を載せたからでしょうね」と説明してくれました。

北側の和室は一般的な掃き出し窓ですが「もともと障子が入っていた敷居の部分につけたので、これも全然気になりません」

内窓は室内に出っ張るからどうかな? と考えてしまいがちですが、I邸の窓まわりのように、もとからある空間にはめ込めるケースもあるのです。


古い建物の弱点をエコガラスと内装リフォームでカバー

柔らかい日差しが射し込むリビング。内窓には防音効果もあり「今日は風が強いってテレビの天気予報では言っていたけれど、そうなの? という感じです。雨も、以前は車の走る音で路面が濡れているとわかったけれど、今は全然聞こえません」
和室の内窓は組子仕様とした。目隠しも兼ね、和紙風にデザインされた曇りタイプのエコガラスが入っている
障子の敷居にそのままはめ込んでいるため、内窓の出っ張り感はゼロ
内装リフォームではリビングと寝室を隔てる引戸を3枚引きにし、開口できる面積を1.3倍にして風通しを良くした

窓リフォームは真夏に、一日で終わりました。
工事後の体感を思い出してもらうと「日差しがカットされた、という感じ。内窓を開けているのと閉めているのとでは、明るさが全然違いました。日に焼けないのもいいですね」とIさん。

夏はとにかく暑かったという室温は「最上階だから、今も暑いことは暑いんです(笑)天井からもむーっときますから」と率直な一言が。でも、と続けて「前はもっとすごかった。夕方になって窓を全開しても、全然だめだったんですよ」

古い集合住宅の最上階は、下階と比べて日射の熱が天井から直接伝わります。断熱材は入っていても、厚みが小さくて防ぎきれないのです。
Iさんは朝夕、外出時にも窓を全開にして風を通しつつ「最上階だから暑さは仕方ない」と思い続けてきましたが、エコガラスの内窓設置で、同じ条件下でも「2℃くらい室温が下がった」といいます。外出時は愛猫のために少しだけ窓を開けるようにしたとのこと。

室内の快適さとは、窓だけでなく総合的な観点に基づく改善が求められる場合も少なくないと教えてくれるような話でしょう。

I邸の内装リフォームとエコガラスの相乗効果も、その好例といえそうです。
リフォーム工事では廊下とキッチンを隔てる壁を抜いて引戸をつけたり、リビングと寝室の間の2枚引き引戸を3枚にするなどして「遮るものをなるべく減らしました」
結果、居室間の風通しがよくなり、内窓設置後は真夏の夜もリビングのエアコン1台で快適に過ごせるようになりました。

一方、何十年も悩まされてきた冬の結露はどうでしょう。「先日、ぐっと冷え込んだときに初めてできました。でも、前のようにタオルを何枚も使って拭いたのに比べれば、ほんのうっすらですよ」

鮮明なのは、室温感覚の違いです。
リビングには大きな温湿度計がかけられています。取材に訪れた12月の時期、朝の室温は工事前16℃、エコリフォーム後は17℃。たった1℃の差ですが、Iさんいわく「内窓を開けるとひやーっとしますよね。朝も全然違うの」パジャマの上に1枚はおるだけで大丈夫、とにっこりしました。


「信頼できる施工者を見極めるのが大事」

向かって左、幅の狭い部分が外窓のはめ殺しにあたる。枠は一致しているが、内窓は動くので掃除も簡単だ。これがあることで外窓と内窓の引き違いを一致させることができ、ベランダへの出入りも自然に。障子の幅が広くなる2枚引きでは、開口部分が狭くなる
外窓のクレセント部分。計算された内窓寸法によってストレスなく手が入り、開け閉めできる
ダークブラウンの和風内窓を見かけることは少なく、たいていは白木の木目調が選ばれる。しかしI邸は家具やまわり縁に合わせてこの色を選んだ。モダンな雰囲気が生まれ「すごく素敵。ショールームにしたいくらい」と木村さんも絶賛
さまざまな話題が飛び出し、笑顔の絶えなかった取材風景。実は内装リフォーム時、Iさんは業者から補助金関連の情報がなく、自ら役所に電話したら締切を過ぎていたという経験がある。プロとして助成関連にも詳しい木村さんへの信頼はなお厚い

木村ガラスへの依頼時、Iさんはリフォーム会社との相見積もしましたが「対応がはっきりしていて早く、ちゃんと説明してくれて、部材の見本も見せてくれた」のが決め手だったといいます。

迅速に対応し、不安をていねいに取り除いて一緒に考える。住まい手の側に立ったこの姿勢は、工事内容そのものにも現れました。

リビングのテラス窓は、引き違いの脇にはめ殺し窓が付随した幅広い開口となっています。ここに内窓をつける場合、通常の2枚引きにすると、どうしてもベランダへの出入り部分が狭くなります。そこで木村さんは、3枚引きの内窓を提案したのです。

外窓の枠の位置に合わせて寸法をある程度決め、さらに外窓のクレセントも開け閉めしやすいよう、引き開けたときの内窓の枠の位置を調整しました。
「クレセントのところまで内窓の枠がかぶってしまうと、開けづらいんです。引き残しってすごく重要なんですよ」

おさめて終わりではない、お施主さんはこれから生活が始まるのだから、それが不便では何の意味もないじゃないですか…一見あたりまえのようにも思える木村さんのこの言葉は、依頼内容をこなすだけにとどまらない、プロフェッショナルの矜持を示すものではないでしょうか。

Iさんが木村さんに寄せる信頼の源は、もうひとつあります。
今回の工事を担当する以前、木村ガラスにエコリフォームを依頼したIさんの友人に対し、木村さんは「あと半年待ってください」と言ったといいます。自治体からの補助金を得るタイミングを考慮しての提案です。

この話を聞いたIさんは「そういうこと言ってくれる業者の方って、なかなかいないじゃないですか。普通はすぐにやっちゃうでしょ?」
驚きとともに〈信頼のおける会社だ〉との印象を受け、夫にも「もう、木村さんに頼みましょうよ」と話したといいます。

そんなIさんから、窓のエコリフォームを考える人へのアドバイスは「ガラス屋さんと直接話をしてみて」。
いろんなチラシも入ってくるけれど、やっぱり一度必ず電話して信頼できるところを見極めるのが大切、と力説してくれました。
「木村さんは『やるやらないは別にして、一度見てもらったら』といろんな人に紹介できるんです。それって一番大事ですよね」

誠意ある施工者との出会いは、運だけでは決してないはず。楽しげに会話を続けるIさんと木村さんに、人と人とがじかに向き合い、顧客と請け負いを超えた信頼で結ばれる姿を見ました。


木村ガラス


取材日:2015年12月4日
取材・文:二階幸恵
撮影:中谷正人

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