事例紹介/リフォーム

ガラス交換&内窓で極寒マンションが変身

窓から快適、リフォームレポート -神奈川県 K邸-

Profile Data
立地 神奈川県横浜市
住宅形態 RC造6階建マンション
(1991年竣工)
住まい手 夫婦+子ども1人
間取り 3DK
リフォーム工期 2011年3月(1日間)
窓リフォームに使用したガラス エコガラス
利用した補助金等 住宅エコポイント

ガラス交換&内窓で極寒マンションが変身



マンションなのに厳しい寒さと結露が

K邸北側窓からは、高台から国道に向かって傾斜している地形がよくわかる。北向きの風がよく通り、夏は比較的過ごしやすい。
マンションの正面は、2階が前面道路と同じレベル。K邸の真下は居住者用のピロティになっている。

マンションなのに寒さが厳しくて…今回のエコリフォームレポートは、ガラス交換と内窓設置、2種類の窓リフォームで困りごとを解決した、Kさんのお住まいにうかがいました。

高台の分譲マンションは傾斜地に建ち、西向きの入口はK邸のある2階と同じレベル。自転車が趣味でレースにもしばしば参戦するKさんは「階段がなく、自転車でそのまま入ってこられるという部分でこの住まいを選びました」と笑います。
反対に東側は国道に向かって一気に下り、部屋の高さは隣の建物の3、4階とほぼ同じ。「谷になっているので、風通しはいいですね」

ご夫妻と1才3ヶ月の息子さんが暮らすこの家の問題は、マンションでは通常考えにくい「冬の寒さ」でした。
原因は北西向き住戸であること、階下に室がなくピロティになっていること、そして大きな単板ガラスの窓。リフォーム前に室温を測ったところ、人の頭の高さと足元とで10度もの温度差があったそうです。

「ベランダの掃き出し窓にひいたカーテンの下から、冷たい風がすーっと吹いてくるんですよ。最初は家のどこかに穴があいているのではと、本気で探しまわりました」
典型的なコールドドラフトが起こっていたようです。

結露にも悩まされました。エアコンをつけても、温風が床まで届かず足元は冷えたまま。しかたなく回し続けると今度は部屋の上半分だけが「頭がボーッとするほど」暑くなり、その熱が冷たい窓に触れてできる結露は、カビの発生も招きました。

この家にKさんがおひとりで住み始めた3年前から家族も増え、2度目の冬の気配が訪れる頃、「子どもにこれ以上寒い思いはさせられない。どうにかしなければ」Kさんの気持ちは窓のエコリフォームへと、急速に進んでいきました。


掃き出し窓はガラス交換、腰高窓には内窓。2種類のエコリフォーム

西に掃き出し窓、北に腰高窓と2面採光のリビング。明るい反面寒さは厳しく、リフォーム前の3月に窓際の床部分で測った室温は、最低値で7℃を記録した。
ベランダの掃き出し窓は出入りが多いため、開け閉めにひと手間かかる二重窓を選ばず既存のサッシを生かしてガラス交換を実施。管理規定の緩和で、今は多くのマンションでガラス交換の窓リフォームができるようになっている。

工事は2011年3月、窓やドアのエコリフォームのプロ・加藤硝子店に依頼しました。
「加藤さんは、ガラスの性能うんぬんではなく、実際にわが家にはめこむ窓としてどうなのか? 効果は? 価格は? というところでわかりやすく説明してくれました。夫婦一緒に3人で話ができたので、非常に助かりましたね」

話し合いの中では、さまざまなパターン・組み合わせのガラスが提案されました。
結果、北と東にある合計4枚の腰高窓にはエコガラスの内窓を設置し、ベランダに面した2つの掃き出し窓は、既存のサッシを生かしたエコガラスにガラス交換。

リフォームの方法について、Kさんの選択理由は明快です。
「北側の窓はあまり開け閉めしないので、多少の不便は気にせず」寒さ対策メインで内窓に。反対に掃き出し窓は「洗濯物の出し入れなどでよく使うので、ここの開け閉めが面倒なのはたまらない」と、二重窓にせずガラスの交換を選んだのでした。

マンションの窓はガラス交換できないのでは?と思いがちですが、実際には多くのマンションで管理規定が緩和されています。外観が変わらなければ、管理組合全体や理事会の承認といった煩雑な手続なしで窓リフォームができるようになりました。
Kさんの場合も、管理組合の理事長さんに問い合わせたところ、工事内容を明記した紙1枚のやりとりだけで簡単に承認されたとのこと。「リフォームを考えるなら、あきらめずに確認するといいですよ」


温度計ではなく、自分の体でエコガラスの効果を実感!

腰高窓にはすべてエコガラスの内窓を設置。キッチンを明るくしたいという奥様の希望で、明るい木調デザインのフレームが選ばれた。
前面道路に真正面で向き合うベランダ。庇で直射日光は差さないが、外部からの強い照り返しが掃き出し窓を直撃する。

半日で終わった工事の当日から、室内の環境は変わりました。
「足元の冷えや、暖房で頭がボーッとすることが本当になくなって驚きました。実は、こんなにわかりやすく体感レベルで効果を感じられるとは思っていなかったんです。温度計の数値で差が見える程度だろう、と考えていて」

窓を通して部屋に入り込んでいた冷気はエコガラスで遮断され、床にたまらなくなりました。室内の暖かさも外に逃げずに保たれ、常にフル回転だったエアコンが低い設定温度で止まるようになったのです。
足元の温度も目に見えて上がり、手放せなかった奥様の室内履きも「いつのまにか行方不明になっています」

結露も即日で消え、カビの心配もなくなりました。
加えて、頭ばかりを暖められずにすむため、家から外に出たときの温度差にふるえあがることもなくなったそう。健康面でもよい効果が表れています。

エコガラスの断熱力は、夏も実感されました。

K邸のベランダは西側の前面道路に面し、庇のおかげで直射日光は入ってきません。にもかかわらず「掃き出し窓の近くに立つと、顔に熱を感じていたんです。外から暖められているのがはっきりわかった(笑)」強い日差しであぶられた道路や向かいの建物の熱気が、窓を通って部屋に届いていたのです。

工事後は、休日の朝に冷房を切って家族で買い物に出かけ、その後夕方帰宅しても、閉め切った室内は涼しさが保たれているといいます。「エアコンを回したまま出かける必要もなくなりました」


「じっと我慢」の寒さにさよなら。室内スペースも増えた

今はゆったりもたれかかることができる、窓を背負った大きなソファはK邸の特等席。「エコリフォームして、ようやく家をフルサイズで使えるようになりました」
Kさんの書斎を占拠する自転車と周辺ギア。しばしば参戦するレースでも好成績をおさめるハイアマチュアだ。窓にはもちろんエコガラスの内窓が。

「何よりも"我慢"がなくなったんですよね」
エコリフォームで変わったことは? の問いに対するKさんの即答です。
「足元の冷えも、暖房で頭がボーッとしても、この家を選んだのだから仕方がない、とあきらめていました。それがまったくなくなったのが一番よかった」

さらに、生活スペースが増えた、とも。
「リビングのソファは、冬は全然くつろげなかったんですよ。背もたれに寄りかかると、背後の窓が天然のクーラーになって肩口に冷気が降りてくる。暖房しているのにソファそのものもよく冷えているし(笑)」
いつも前かがみの姿勢では、くつろぎも何もあったものではないでしょう。

息子さんをリビングで安心して遊ばせられるようになったことも大きいそうです。
リフォーム前は「掃き出し窓は結露とカビでベチャベチャで、冷気もすごい。でも子どもはおかまいなしで触ろうとしますから、いつも気をつけていて、近くまでいったら連れ戻すんです」
リビングがやっとリビングらしくなって、今はほったらかしですよ、と、父親の笑顔を見せました。

Kさんいわく、窓のリフォームを考えているなら、悩むより今すぐ換えた方がいい。「自信を持ってそう言えますね。職場でもみんなにそう言っています」。
なんだか伝道者みたいですね、と返すと、笑いながら「自分で体感すればこうなりますよ。悩んでいる1ヶ月分が損、その間ずっと寒いんですから。工事も1日かからず終わるから、とくに面倒もないし。自分でテレビ買ってきて配線するほうがよっぽど大騒ぎです!」

取材の間じゅう満ちていたスポーツマンの爽やかな空気は、最後までとぎれることがありませんでした。


株式会社 加藤硝子店

取材・文:二階幸恵
撮影:中谷正人
エコリフォーム成功のポイント
  • 窓の使い方に合わせてリフォーム方法を選択
  • 住まい手目線の施工者と、夫婦一緒に相談

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