設計を行う際、どんなことを基本とされますか。
(内藤惠子・以下K):住宅の場合は、デザインよりも住まい手の暮らし方です。
ヒアリングする中で「どういう生活をしたいのか、こだわりは何か」といった“その人のありよう”をお聞きし、心豊かな暮らしになる家にと考えます。少し大げさに言えば「何が幸せにつながるか」ということでしょうか。
それから、六畳があって四畳半があってリビングがあって、というような考え方は最初に壊します(笑)
そんな中で、窓はどのような存在でしょうか。
K:内と外とをつなげ、開放感をつくり、風を通すもの。気持ちの良い風通しを大事にしています。
配置については、敷地の環境を見て考えますね。山並みが見えたり、きれいな借景があるなど、その立地で一番良い景色を取り込める位置や向きに窓をあけます。どうしてもないときには、壁面緑化など人工的につくることも。
(内藤太一・以下T):ただ、せっかく窓をつくってもカーテンを引かれてしまうことも多いですね(笑)やはり、外から見られてしまう心配がありますから。
K:そんなお施主さんの意識に配慮しながら、開けてもらえる環境・仕掛けをつくるんです。
T:高い位置につけて視線を外したり、隣家の窓からずらしたり、建物の形や位置を工夫してお隣との距離を確保したりしています。
接骨院の案件では、壁の真ん中は閉じて患者さんのプライバシーを保護し、上と下を窓にしました。
住まい手・利用者の性格や暮らし方使い方にもよりますが、やはり“窓は外から見られるもの”という意識を常に持っています。
建築物の性能面から見ると?
K:設計時に性能を考えるのは当たり前で、住まい手それぞれの暮らしを考え、生活の仕方に合わせて性能を考えていきます。
比較的に規模が大きいリフォームではとくに断熱について考えますし、結露が激しい建物には窓の断熱を提案します。
コスト面から内窓を提案することが多いですが、場合によっては真空ガラスもお勧めし、結露対策として評判が良いです。エコポイントを利用したこともありました。
でも、窓について最初に考えるのは風通し。この地域は東京の都心と違い、窓を開けることで気持ちよく風を通せる環境ですから。
省エネルギー基準といったものについてはどうお考えですか。
K:都市部・郊外・山間部は自然環境も含めて地域ごとに違い、それぞれの快適性はデータで表せないものもあります。数値上の縛りでやりにくい場合もあり、全国一律の法律は違うのでは、と思います。