公共建築から病院、学校、店舗まで多様な建築物の設計を手掛けておられます。設計の基本に何を置いていますか。
実用性、です。カッコいいだけで中に入ると暑くて寒いような建物ではなく、クライアントに長く使ってもらえる建築をめざしています。
近年は“未来につながる建築”を考えますね。
国産材の使用やZEB、CO2排出量など、建築も数字で評価される時代になってきました。地球環境への影響や求められる耐震性能なども、従来よりハイレベルになっています。
そんななかで、数十年後の将来も通用するように。「あの頃は法律がゆるくて低い性能でもよかったが、今はそうじゃない」と言われない建築にしなければなりません。
ZEBプランナー登録もされています。性能面でとくに重視する要素は?
不可欠なのは耐震性能です。また、外壁の断熱性能についてはきっちり確保しています。窓ガラスなどはあとで換えることもできますが、壁の取り替えはそうそうできませんから。
それ以外はクライアントと譲り合いながら、いい方向にもっていく。イニシャルコストはどうしようもないところがあるので、予算次第ですね。
もし性能とデザインが相入れない場合はどうしますか。
性能を重視します。新型コロナウイルスへの対応と一緒ですよ。
デザインと違って性能に問題がある場合、クライアントは設計者のいないところで「寒い、暑い、ひどい設計者だ」と怒る(笑)それではいけない、そうならないように“良い加減”で設計していきます。