2020年も押し迫った師走、神奈川県のT邸を訪れました。丹沢山系南東端、江戸庶民の『大山詣り』で賑わった信仰の山・大山の足下に広がる住宅地の一角です。
住まい手は昨年春、地元のプロショップ・諸星硝子店に依頼して窓のエコリフォームを行いました。
希望したのは、エコガラスの内窓を使った窓リフォーム。
ピンポイントともいえる選択の理由を、Tさんは「2年前、和室の窓にエコガラスの内窓を入れたんです」と話します。
1階の和室には東と南の2箇所に掃き出し窓があります。以前は障子が入っていましたが、お子さんが幼い時期に「ベリベリに破られてしまって(笑)」。どうにかしたいとあちこち調べる中で、和風のデザインを施したエコガラスの内窓があることを知ったといいます。
早速使ったところ「破れないし、寒さによる結露もなくなりました」もともと障子があったため、窓が増えた違和感もありません。
この成功体験が2度目のエコリフォームのベースになりました。
今回リフォーム対象としたのはダイニング、浴室そして2階東南側の寝室の3箇所です。どれも窓が原因で寒さや暑さを強く感じるところで、それぞれにエコガラスの内窓をつけることにしました。
窓のエコリフォームでは、既存のサッシを生かしてガラス面だけを交換する方法などもあります。しかしTさんは「ガラスだけ換えてもサッシが結露するから」と、性能の向上を第一に考えて工事手法を選んだのです。
この姿勢は、エコリフォーム時に「住まい手としてどんなスタンスをとるか」という面で参考になりそうです。
現実味を持って窓リフォームを考えはじめると、予算・必ず解消したい悩み・新しくする窓に求める性能・工事後の使い勝手などなど、指標となる要素がたくさん出てきます。そして多くの場合、すべてを満たすのは難しい。
どこを残してどこに目をつぶるか。決めるのは施工者でも設計者でもなく、その家で暮らす人にほかならないのです。