訪ねた12月の初旬、冬を迎えてNさんは「お風呂は結露もなくなって暖かくなりました」今回は工事を見送った洗面所の窓もやっぱりやろうかしら、とにっこりしました。
夏同様に、室内の寒さもエコリフォームで改善されたようです。
寝室の窓もすべてエコガラスに交換されました。昨年までは就寝前に1時間ほどオイルヒーターをつけており、今年は「まだよくわかりません。でも、去年よりは寒くないですね」
ここは南北と東面に窓がある三面採光で、そのぶん外気の影響も受けやすい部屋。寒さが本格化することで効果もより見えてくるのでしょう。
オイルヒーターを使用していることも、ここではひとつのポイントとなります。
エアコンやファンヒーターと違い、オイルヒーターは温風を出さずにパネル内のオイルを暖めて放熱し、壁や床など空間全体をじんわりと暖める暖房機器。部屋自体の断熱力がその効果に直接関わる、言い換えれば窓や壁が冷えやすいとなかなか能力を発揮しづらい面があるのです。
“静かで安全”と寝室や小さなお子さんのいる部屋で人気ですが、選ぶ際には部屋そのものの断熱力も合わせて考えるとよいでしょう。
一方ダイニングの出窓では、西日を逆手に取ったパッシブな暖房が実行されていました。
「西日が差してきたら内窓を開けるんです。あったかいですよ!」
もともとNさんは、一年を通じてひんぱんに窓を開ける暮らしをしてきました。冬も夏も起床したらまず窓を開け、家事の合間、外出からの帰宅時などことあるごとに窓開けをして家に風を通します。エコリフォームを終えた今もそれは変わりません。内窓もその一部なのでしょう。
内窓でエコリフォームをした住まい手が、窓をほとんど開けずに一年を過ごすようになったという話を聞くことがあります。
外から入ってこようとする冷気や熱気をしっかり遮断されるため、室内は夏も冬もエアコンやヒーターで空調することで“外部と隔絶された快適さ”を保てるようにもなるのです。断熱性能の高いエコガラスや壁に厚く断熱材を入れた建物であれば、確かに一理ある方法ともいえるでしょう。
しかし、室内外をきっちり分けずに自然の力を上手に利用する手もあるのです。
たとえばNさんのように、冬場に西日や南からの日射を内窓を開けて迎え入れれば、部屋に陽だまりをつくれます。日差しが弱くなったところで内窓を閉めれば、暖まった空気が外に逃げることもありません。エアコンの稼働時間が短縮され省エネにもつながります。
“開け閉めできる”のは、光の透過とともにガラス窓と壁との決定的な違いです。どんなに断熱力が高かろうと、開けたいときや開けて気持ちがいいと思ったらどんどん開けていく。高性能のガラスを自らのライフスタイルに合わせて気持ちよく使いこなしていくことが、エコガラスによる窓リフォームの極意のひとつかもしれません。