前橋市は榛名・赤城・浅間といった北関東有数の山々に囲まれた盆地に位置し、全国に58ある中核市のひとつ。冬は“赤城おろし”の名で知られる冷たい季節風にさらされ、夏は最高気温40℃の記録もある内陸性の土地柄で知られています。
築42年の2階建住宅をエコリフォームした住まいを、このまちに訪ねました。
迎えてくれたのはIご夫妻です。もとの家は奥様が生まれ育った実家でしたが、ご両親が逝去されて数年、建替か改修か時間をかけて検討し、最終的に改修を選びました。
「古くて寒くて暗い家でした」とIさんは振り返ります。厳寒期はー3℃近くまで下がる気候風土に耐えてきた高経年の木造住宅は、大きな窓や壁からも冷気が入り込み、石油ファンヒーターをつけても場所によっては室温が0℃だったとのこと。
相談をもちかけたのは、兼ねてからご主人と知り合いだった新井政広さんでした。
お隣の高崎市にある工務店(株)アライの代表取締役として高断熱・高気密の家づくりに長年取り組んでいる新井さんは、旧I邸の現地調査を綿密に行い、耐震と断熱の性能を念頭に置いた減築・改修を提案します。
「建物が傾いていて、2階は歩きづらくなっていました。そこで、断熱と耐震改修、さらにはできるだけ廃材を出さないよう減築を提案し、おふたりに受け入れていただいたのです」
減築によって2階部分を除去し、1階も基礎と柱以外ほぼすべて新しくする大規模な改修は2018年9月に始められました。そして4ヶ月後、新年の訪れとともにI邸は新たな姿で住まい手に引き渡されたのです。