Y邸のロケーションは清流・長良川にほど近い静かな住宅地の一角です。竣工から17年、外構を含む大きなリフォームを行いました。
「隣にあった古いアパートが解体されたので、土地を買い取って庭をつくることにしました。それが始まりです」と、住まい手のYさんは振り返ります。
医師として東京で多忙な生活を送るかたわら、折にふれてお父様が住まわれていたこの家を訪れる暮らしを長く続けていましたが、お父様の逝去にともない、新たにご夫婦ふたりの生活を念頭においたリフォームを決断したといいます。
2階建アパートは敷地ぎりぎりに建っていてY邸東面との間隔がほとんどなく、午前中の日差しもほぼ入らず閉塞感が大きかったそうです。土地の買い取りがかない、竹林をコンセプトとする庭づくりと住まいのリフォームが動きはじめたのは、2018年の夏でした。
庭以外には「最初はキッチンだけリフォームするつもりだったんです」と語るのは、名古屋で仕事をしながら義父の暮らしをケアするためこの家に同居していた奥様です。
使い勝手が悪かったカウンターテーブルを改善する程度を予定したものの、小学校からの友人である設計室ないとうの内藤惠子さんに改修設計を依頼し計画が動き始めると「せっかく庭をつくるなら窓もリフォームしては」との提案を受けました。
庭に面して現在は掃き出し窓になっているリビング東面は、かつて腰高の出窓がついており、隣家の壁が目に入らないよう常にカーテンを引いていました。
Yさんは「窓を変えられるんですか? できるなら広くしてください、とは言いました。でも、ここまでぶち抜けるとは思っていなかった」
この選択が、リビングの空間を劇的に変えていきます。