横浜市鶴見区、にぎやかな駅前から一歩入ると空気が変わります。永平寺と並んで曹洞宗の大本山である総持寺の緑が、視線の向こうで出迎えてくれました。
この境内の東端にあたる静かな環境がM邸のロケーション。「この地は戦前の住宅分譲地で、かつては私たちの祖父母が住んでいた平屋の家がありました」と住まい手のMさんご夫妻は話します。
そして今建っているのは、特徴ある三角屋根が目をひくRC造の住まいです。大手ゼネコン設計部に籍を置いていた住まい手が1990年に自ら設計した「実験住宅ですよ(笑)」
コンクリート建築ならではの存在感に圧倒されつつ招き入れられた室内は、たくさんの窓そしてガラスがあり、さまざまな方向から光が取り込まれる空間でした。
そんな中で長く抱えていた悩みは窓の結露、そして寒さです。奥様は「プラスチック素材の断熱シートを貼り、ブラインドを下ろしたりして、しのいでいました」と振り返りました。
リビングとダイニングスペースにはそれぞれトップライトがあり、とくにダイニングの天窓はキッチンから上がる湯気などの影響もあってか、結露が激しかったといいます。
竣工当初は、リビングの掃き出し窓の中央FIX部分を除くすべての窓がシングルガラスだったのです。
エコガラスへの窓リフォームは、実は10年前から始まっていました。
最初に着手したのは、リビング南側にある2枚の片引き窓。既存サッシをそのまま使い、真空ガラスに入れ替えました。
2度目の工事は5年後の2014年、主にダイニングまわりです。もっとも結露が激しかった、シングルの熱線反射ガラスの入ったトップライトを複層ガラスに交換しました。
そして3度目、満を持して対象となったのが今回の主役、両サイドの開き窓も含めたダイニングの大開口です。同時に一階の居室・寝室の窓4箇所にもエコリフォームを施しました。