事例紹介/リフォーム

エコガラスが保ってくれる
自由で快適な私の世界

東京都・M邸

Profile Data
立地東京都練馬区
住宅形態RC造3階建マンション
(1999年竣工)
リフォーム工期2002年~2012年
(計5回、いずれも工事は1日間)
窓リフォームに
使用した主なガラス
真空ガラス

4面採光のマンション角部屋の寒さと結露

練馬区は東京23区内で居住人口第2位です。武蔵野台地上に広がるこのエリアで行われたエコリフォーム住宅を訪ねました。

低層マンション内、最西に位置するM邸は角住戸。「風向きと日射とで季節がわかるんですよ」との住まい手の言葉からうかがえる通り、隣接住戸との境にベランダがついていて東西南北全方位に窓があります。

フラワーアレンジメントと刺繍の講師であるMさんは、竣工と同時に入居して以来、アトリエとしても使いながらこの自邸で長い時間を過ごしてきました。
「春は東向きのコーナー窓から朝日が入り、夏は西日が強い。冬は北向きの風が吹いて、陽の光は一日中部屋の中に射し込みます」とは、室内での一日を春夏秋冬見つめてきた人の確かな目線でしょう。

たくさんの開口部に囲まれ明るく広がりのある住居はしかし、外の冷気や熱気の影響を大きく受けてしまう一面もあります。

西面に窓が多いM邸の夏は、西日がもたらす厳しい暑さに毎年のようにさらされました。
一方、冬にはすべての窓が結露し、巾木の傷みも如実に。「とくに北の部屋は、扉を開けると冷蔵庫のようでした。窓際にはヒーターも置いていたのですが」

カーテンを引いてもその裏から冷気が流れ落ちてくるのがわかり、窓を背にしたダイニングチェアに座れなかったそうです。温度ムラも激しく、とくに玄関から続く廊下は寒かったとのこと。

部屋ごとに閉め切ってそれぞれエアコンを回していたのは、いうまでもありません。
しかしMさんは札幌出身で、セントラルヒーティングが普通な中で育ちました。「人がいる部屋だけ暖めるのは今でも好きではないんです。家中の扉を全部開け放しておきたくて」
あいにく、北海道ではスタンダードな二重窓や床暖房がこの家には備えられていませんでした。

我慢を続けていたある日、たまたま親しいご近所が見せてくれたのが、同じ練馬区内にあるガラスのプロショップ・南ガラス工業所のチラシです。エコガラスの一種である真空ガラスの効果や、エコリフォームについての説明が記載されていました。

窓ガラスで結露や寒さを解消する方法を初めて目にしたMさんでしたが「10年保証もあるというし、試しに北の部屋だけやってみようと思って(笑)」気軽に電話をかけたのでした。

エコガラスが保ってくれる自由で快適な私の世界-詳細写真02

隣接住戸との境にバルコニーを配置することで4面採光を実現しているマンション。南を向くリビングの窓をコーナーガラスにして東面に開口部を得た

エコガラスが保ってくれる自由で快適な私の世界-詳細写真03

和室から見る、リビングダイニングでのインタビュー風景。エコリフォーム工事を担当した南ガラス工業所の南 道徳さんにもご同席いただいた

エコガラスが保ってくれる自由で快適な私の世界-詳細写真04

バルコニーにつながる窓と腰窓がある北側の居室。もとはご長男の部屋で、現在はゲストルームになっている。バルコニーは北、腰窓は西向き。冬の冷気と夏の西日の熱とに、長くさらされてきた

エコガラスが保ってくれる自由で快適な私の世界-詳細写真05

工事依頼時から、Mさんは一貫して真空ガラスを希望。マンションの場合、共用部扱いとなる窓のリフォームは内窓のみとする管理規約が一般的だったが、ここ数年は規約を変更し、ガラス交換も可能とするところが増えてきた。M邸の工事も「とくに問題はありませんでした」窓リフォームを考える際には、まず確認したい

真空ガラスの窓リフォームで“快適を保つ力がある家”に変身

南ガラス工業所の南 道徳さんは「北の部屋はやはりヒンヤリしていました。全体に温度ムラもありましたね」と、現場を見にきた当日を振り返ります。
調査確認から日をおかず、バルコニーに出入りする北向きの窓を真空ガラスに入れ替える工事が行われました。

その翌日、南さんは再度、Mさんからの電話を受けます。もうひとつの西窓に加え、隣の部屋の窓もやってほしいとの依頼でした。
たったひと晩でエコガラスの効果を体感できたことを物語るエピソードです。

こんな調子でMさんは数年の月日をかけエコリフォームを行い、すべての窓を真空ガラスに替えました。
どの工事にも必ず立会い「「興味深いし、後でメンテナンスもしやすくなるから」とよく見ていたそうです。

「北の部屋はもちろん、どこも暖かくなりました。エアコンがリビングの1台で間に合うようになったので、家中の扉を全部開けて一室空間にしています。廊下も寒くないし、ダイニングテーブルの下にあった足温ヒーターも、もう使っていません」

夏は夏で「西日が和らいで、エアコンの効きも違います。廊下も均一に涼しくて、ムラがないですね」
各居室の扉は冬同様にすべて開け放っています。「冬でも夏でも、快適さを保つ力がある家になったと思います」

印象的だったのは「保たれている感じがする」というMさんの言葉でした。肌で感じるエコガラスの断熱・気密力が、すっと伝わってくるようです。

エコガラスが保ってくれる自由で快適な私の世界-詳細写真06

2度目のエコリフォーム対象となった西窓。この部屋も含めてM邸の腰窓はすべて室内側に手すりがついているが、工事にはとくに支障はない

エコガラスが保ってくれる自由で快適な私の世界-詳細写真07

キッチンは独立型で、窓は手すりのついた縦滑り出しタイプ

エコガラスが保ってくれる自由で快適な私の世界-詳細写真08

複数年にわたるエコリフォームの最終箇所となったリビングのコーナーガラス窓は、ワイヤー入りFIXの真空ガラス。バルコニーに面した東側の1枚は、約1mの幅がある。また、先に工事した引き違い窓と連窓になっているため、リビングの南面開口幅は合計約2.4mとなり、東面窓とも連続して豊かな採光を実現している

エコガラスが保ってくれる自由で快適な私の世界-詳細写真09

南ガラス工業所では、窓のほかに玄関の大きな鏡や額縁用ピクチャーレールなど、M邸内で意匠性の高い施工も手がけている。「丁寧な工事はもちろん、技術面とは別の“センス”もお持ちなんですよ」Mさんの言葉に破顔一笑の南さん

家は自由で快適な自分の世界。不満をなくせるならエコリフォームを勧めたい

M邸では一年を通じてあまり窓を開けません。春や秋の中間期だけ、愛犬のために和室掃き出し窓を10cm程度開け、それ以外は換気扇をメインに室内の換気をしています。
「このあたりの外の空気は決してきれいではないし、砂埃も入りやすいので」とMさん。

エコガラス窓のある住宅を訪ねると、住まい手からしばしば「窓は開けない」との話を聞きます。しかも、断熱や省エネにこだわるというより「開けない方が快適だから」と言う人が多いのです。

開けない方が空気が澄んでいる気がする、何もしなくて気持ちがいいから開けようと思ったことがない、などなど。もともと開ける習慣がないのでもなく、どちらかというと“以前は開けまくっていた”人々が多いのも興味深いところです。
M邸もそんな一軒なのかもしれません。

窓に引くのは夜間を含めてレースカーテンだけ、とも。「せっかくの窓を、カーテンで覆いたくないですからね」
コールドドラフトが激しく、厚手のカーテンの下から冷風が流れ落ちるため近くにも寄れなかった、というリフォーム前の窓まわりががらりと変わったことが、この言葉からもうかがえるようです。

「この家、ここが私の世界です。どこへ行っても自由で快適。とても満足しています」
終始笑顔で続けられるお話を聞くほどに、Mさんのイメージする“良い家”の姿が少しずつ見えはじめてくる気がしました。

つながる空間を遮るものは少なく、いつでもどこにでも素足で歩けて、内から外まで気持ちよく視線が通る。心も体も自由になれる住まい方を強靭な快適さが支えている…そんな家なのではないでしょうか。

「家を買う=“満足を買う”ことです。せっかくの住まいに不満があるのは残念。エコガラスは冬暖かく夏涼しい効果が必ずあるので、入れた方がいいのなら入れちゃった方がいいと思います。
半纏着て着ぶくれながらコタツに入って動けない…そんな時間は、もったいないですよね」

室内を飾る花々のように明るく温かく、言葉爽やかに語るMさん。その佇まいに、家とは住まう人そのものが映し出される鏡でもある、と改めて思いました。

エコガラスが保ってくれる自由で快適な私の世界-詳細写真10

リビングダイニングと一体になった和室をMさんは寝室にしているという。畳にはカーペットが敷かれているが、バルコニーにつながるM邸唯一の掃き出し窓に耐候性の強いアクリル製の障子をつけ、木製箪笥とともに和の雰囲気を残している

エコガラスが保ってくれる自由で快適な私の世界-詳細写真11

愛犬アリスちゃんはこの家のアイドル。夫は単身赴任、ふたりのご子息は独立し、今は彼女のほかに「アカミミガメの“つるちゃん”との3人暮らしです(笑)」とMさん。M邸に見られるような窓開けのほか、住まい手不在時のエアコン運転継続や厳密な室温管理など“ペットを考慮した室内環境づくり”も、住まいにとって欠かせない要素になりつつある

エコガラスが保ってくれる自由で快適な私の世界-詳細写真12

リビング西面に切られた、高さ約1.2m幅約1.5mの大きな腰窓。窓リフォーム以前の冬は厚いカーテンが引かれ、それでも寒さで近寄れなかったという。窓外の風景、瓦葺きの家並みの先には光が丘団地のマンション群が並び、美しい夜景が楽しめる。奥行き30cmほどもある窓台も、飾り棚として使えるようになった

エコガラスが保ってくれる自由で快適な私の世界-詳細写真13

窓辺に置かれたフラワーアレンジメントの作者は、その作品同様のあでやかさと、自由でフランクな気風とで自らの住まいをコントロールしていた

エコガラスが保ってくれる自由で快適な私の世界-詳細写真14

北側の部屋から廊下を経てリビングを見通す。建具はすべて開け放たれている

取材協力有限会社 南ガラス工業所
URLhttp://minagara.sakura.ne.jp/index.html
取材日2018年10月26日
取材・文二階幸恵
撮影中谷正人
エコガラス