大きな窓から、六甲の山並みと大阪湾に浮かぶ六甲アイランドの高層ビル群が望めます。この風景を何よりも大切にしたい。住まい手の思いがこめられたエコリフォームをご紹介しましょう。
南北に長い芦屋市の海側、高速道路近くに建つ5階建賃貸マンションは、阪神・淡路大震災後の1997年に竣工しました。
Mさんは建物オーナーであるお母様に依頼され、住みながら建物管理をするべく最上階に居を定めたといいます。重責を引き受けた後、南北に軸がある建物最南の角部屋を自邸とし「自分で図面を引いて、他の賃貸住戸とは違った設計にしました」
最も存在感のある窓がつけられたのはリビングです。FIXと片引きとを組み合わせて6mほど連ねた掃き出し窓で「とにかくガラス面を取りたかった」というMさんの希望を映す大きな開口です。
建物の形状からほぼ真西を向く窓となるため、西日はもちろん紫外線なども考慮して、新築時は合わせガラスがはめこまれました。
入居当時から気になっていたのは激しい結露です。とくに今年の1月2月の状態はひどく、住まい手に工事を決心させました。
「朝、カーテンを開けるとびっしりついた結露で窓の外が見えないほどでした」流れ落ちる水滴はサッシ枠からあふれるほどたまり、巾木も傷んでニスがはがれかけていたとのこと。海に近い立地で山手より湿気が多いのでは、という感覚もありました。
エコガラスとの出合いは、そんな悩みが深くなったとき。
仕事で頻繁に訪れる大阪や神戸で以前から通っていた「住まいや建材関連のショールームで、複層ガラスを見かけたんです」
ドイツをはじめヨーロッパ諸国を訪れる機会も多いMさんは「高性能の窓で室内を暖かく保った石造りの建物の良さを知っていたので、これは入れようかなあ…と」思ったといいます。
そこでインターネットも駆使し、本格的に調べ始めました。
「あれこれ注文するからにはよく勉強し、素人としてできるだけの下調べをした上でプロとコミュニケーションして掛け合わないとね(笑)」
リフォームの発注者となる際の姿勢として、参考になりそうです。
情報収集を重ね、断熱ガラスについて学び続ける中で、お隣の西宮市でエコガラスを扱う窓とサッシの専門店・ヨネダ商店のHPを見つけ、迷わず現地調査と見積もりを依頼したのでした。